書の歴史18/北宋の書(4)

黄庭堅(1045-1105)
字は山谷。
蘇軾を師と仰ぎ深い親交が有ったが故に、政治家としては不遇であった。
豪放磊落にして自然流の蘇軾に比して、
黄庭堅はひたすら古人に学ぶ努力の人であったらしい。
その書風も
肉が薄く痩せているが骨格が露で強く、
逸機の強い精神性を示す。

草書七言絶句
張旭、懐素を学び切って到達した黄庭堅独特の境地を見る。
奔放そうで繊細、力強いが風韻を感じる。

草書七言絶句
草書七言絶句臨書

王史二墓誌稿
王と史の二人の墓誌銘の草稿、
一巻に二つの墓誌銘が装丁されている。
楊守敬は、これぞ黄庭堅の真蹟であると声を大にしたと言う。
巻末には、董基昌はじめ楊守敬等の跋に混じって犬養木堂、中村不折の観記がある。

王史二墓誌稿
王史二墓誌稿臨書



李太白憶旧遊詩巻(1094以降)
晩年の黄庭堅はこよなく草書を好んだという。
変幻自在な筆の動きに、
何事をも達観した境地が覗われる。

李太白憶旧遊詩巻
李太白憶旧遊詩巻臨書
初入水花明萬



寒食詩巻跋(1100)
蘇軾の寒食詩の後部に黄庭堅が入れた跋である。
歴史上の名蹟が並んだ珍しい例である。
私は気迫の濃さで黄庭堅に軍牌を挙げる。

寒食詩巻跋
寒食詩巻跋臨書



書与張大同巻(1100)
なんとも大胆不敵な書だ。
遠く南宋の皇室に伝わったいたものを、
戦後、張大千と言う人が大金を積んで入手したと言う
現在、細川家に有ると言う。
一度、この目で見てみたいものだ。

書与張大同巻
書与張大同巻臨書



伏波神祠詩巻(1101)
唐の詩人、劉禹錫の詩を書いたものである。
末尾に黄庭堅の自跋がある。
その中で「背中にできものが出来て思うように書くことが出来なかった」
あるが、暗に自負した謙遜であろうとされている。
それ程に円熟の境地にある書なのだ。

伏波神祠詩巻
伏波神祠詩巻臨書



范滂伝(1105)
清節な人物として名高い漢の范滂の伝を請われて書いた。
流謫中であった黄庭堅が漢の同類の先覚先人を偲んで書く気になったのであろう。

范滂伝
范滂伝臨書



松風閣詩巻(1102)
黄庭堅が四川に流されてからの作に秀作が多いが、
この書も最も著名な書の一つである。
自作の詩を書いたものだが、
黄庭堅は、
詩の世界でも名高い江西派の祖でもあるのだ。

松風閣詩巻
松風閣詩巻臨書





引用文献
講談社刊:古筆から現代書道まで墨美の鑑賞
東京書道研究院刊:書の歴史
芸術新聞社刊:中国書道史
木耳社刊:中国書道史(上卷)(下巻)
二玄社刊:中国法書選
芸術新聞社刊:中国書道史の旅
大修館書店刊:漢字の歴史
平凡社刊:字統
平凡社刊:名筆百選
講談社刊:古代中国
創元社:書道入門
平凡社:書道全集第8巻、第10巻
講談社:現代書道全集
二玄社:書の宇宙


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