コンデンサ考 2007.11.7

アンプの音質を決める大きな要因は電源部であり、コンデンサである点は周知のことだが、
メーカによってはコンデンサの考え方はまちまち。
大半が大型のブロックコンデンサを用いているが、一部のメーカでは小容量のコンデンサをパラに使用している。


小容量のコンデンサを14パラにした電源部      ブロックコンデンサ使用例


ブロックコンデンサ使用例

見た目上は大きな電解コンデンサが載っていると、迫力満点だし、なんとなく安心感もある。
でも、本当はどちらがいいのだろう?

ちょっと、アマチュア的な切り口で両者の得失を考えてみたいと思う。

1.性能は?
コンデンサの性能を表す1つの指標がタンデルタ(tanδ)である。
これはコンデンサの損失を表すもので、小さい方がいい。

日ケミのカタログからリードタイプの標準小型品について眺めて見よう。

まず、傾向があるが
1.耐圧が高い方がtanδの値が小さい。
2.同じ耐圧なら容量が小さい方がtanδの値が小さい(6.3V,10V品だとよくわかる)

といことが全体的にいえそうだ。すなわち同じ容量を得る場合でも
3300uF/16Vのものより330uF/16Vのものを10パラにした方が性能が良さそうである。

次に大型コンデンサも眺めてみる。とくにオーディオ用と謳われているものである。

こちらも電圧が高くなるとtanδが小さくなっている。しかし気になるのは、小型標準品に比べてtanδの値が大きい。
容量がこちらの方が大きいので、仕方がないのだろう。

しかし、
tanδだけで比べたら小型のコンデンサを並べた方が性能がよさそうである

2.値段は?
某通販サイトをみると
10,000uF/35Vのものが630円で1,000uF/35Vのものが84円である。すなわち、大容量品の方が割安である。

3.サイズは?
たとえば上の表のKME(小型品)で比べてみると
1,000uF/35の場合:φ16.5×31.0=6600mm3
100uF/35の場合:φ10×16.0=1300mm3
ということで、大容量品の方が単位容量あたりのスペース効率がいい

4.実装面積は
これは比べるまでもないでしょう。大容量品の方が実装面積は小さい(その分高さは大きい)。

ここまで調べてみると、性能以外は大型コンデンサの方が良いようだが、
言い換えれば
性能を得るには小型コンデンサをパラにした方がよいことになりそうだ。

メーカ製で大型コンデンサをつかう理由はコストとスペース的な問題が大きいからのように思えてきました。
しかし小型コンデンサをパラに使う場合、なんらかのデメリット(落とし穴)を見逃しているのだろうか?

8054 アンプのコンデンサ ヒロ  - 2007/11/07 23:13 -
10,000uFを得ようとした場合、10,000uFのコンデンサを1個つかうか1000uFのコンデンサを10個パラにするのとどちらがオーディオ的にいいでしょう?後者の方がよさそうですが、メーカ品は前者が多そうです。好みの問題かな?
8056 re:8054 R.  - 2007/11/08 00:55 -
性能的には10個パラですよね。
オーディオ的ということなら、より振動を抑える方向の形状がよいらしいです。
リード型のものよりはねじ止めできるような端子構造がよいらしいですし、コンデンサ下部の封口材の素材も
音質的には影響が大きいそうです。
10パラを基板上に実装してさらに振動を抑え込むように、電解コン頂部に接着剤をつけて、
板材を貼り付けることで一体化し、1組のブロックコンとして使用できると
理想的なオーディオ用コンデンサになりそうです。
昔の高級な電源用ブロックコンデンサは2本連結する部材で振動止めしているものが多いですよね。
あれの応用です。

肝心なことを忘れていました。
コンデンサに振動は大敵です。
ということで

5.振動防止策は
これはブロックコンデンサに分があります。専用の固定バンドもありますし、ネジで固定できるものあります。
ただし、小型コンデンサも接着剤で固定することもできます。面倒ですが、手間さえ惜しまなければ振動対策はできそうです。
ただし、頭頂部は防爆弁がついているので、その部分をフリーにしおいて、側面を固定したほうが安全です。


閑話休題 2007.11.13
この週末の土曜日から月曜日まで東京におりました。
自由時間がとれた日曜日にぶらっと秋葉や銀座付近を歩くと、なんとホコ天!
ホコ天なんて死語かと思ったら東京はやっているのですね。
大阪での日本橋あたりとホコ天にしたらどうなるだろう?人が少なくて閑散として、ちょっと寂しいかな?

銀座あたりから上野まで歩きましたが、結構つかれました。
それにしても人が多い・・・・・





ところで

閑話休題って、〔脇道に入った話を本筋に戻す時,または本題に入る時に,接続詞的に用いて〕
という意味であるご指摘をいただいた。いままでまったく逆の使いかたをしていたようです。
まあ、どちらが本題であってもわからないようなHPの内容ですが・・・・・


では、一応本題にもどって(笑)

6.必要な容量は? 2007.11.15

コンデンサの容量は経験というか、いい加減というか、適当に決めることが多いものです。
大体では10,000uFあれば十分という認識をもっていますが、本当に大丈夫なのかな。

ちょっと考えてみましょう。

出力20Wのアンプを設計すると仮定しよう。最近のミニコンですら「総合出力50W!」と謳っているものも
あるくらいなので、20Wは出力としては小さめですが実用上はまったくもって十分なはずです。
そもそも、普通に聞いているときは出力1Wも出ていないはずですからね。

さて、計算してみましょう。
8オームの負荷で20W得るためには、必要な電流は
I×I×R=I×I×8=20(W)から
I=1.6(A) という値がでてきます。

ということは必要な電圧はI×R=1.6×8=13Vになります。
これらは実効値なので、波高値で換算すれば1.4倍して電流は2.3A、電圧は18Vということになりますね。
電圧自体はトランジスタの電圧降下等を含めて余裕をみないといけないので、最低でも20Vは必要になります。
トランスの出力は、すこし余裕をみて整流後に25Vになるように波高値25V出力としてます。

ということで、等価回路を考えてみて下記のようになります。
負荷は直流抵抗と考えて正負電圧出力の両側につけているのでそれぞれ1.6^0.5=1.3Aに設定しています。
またトランスの巻き線抵抗は1.5オームにしています。40Wくらいのトランスならこの程度の値でしょう。

(1)無負荷のとき
 出力電圧は24V強です。ダイオードの電圧降下で少しさがりますが、こんなものでしょう。

  



(2)20Wの負荷時(C=10000uF、トランスコイル抵抗1.5Ω)
電源電圧は17.5Vまで下がっています。また電圧リップルは0.5V程度でていますね。
リップルはいいとしても、電圧が17.5Vまで下がるようだと20Wの出力は難しいことになります。
あまり経験でコンデンサの容量を決めてもよくなさそうです。ひょっとしてトランスの容量が小さいのかな?
 



(3)20Wの負荷時(C=22000uF、トランスコイル抵抗1.5Ω)
では、コンデンサの容量を22000uFに増やしてみましょう。
リップルは1/2程度に低くなりました。電圧は幾分高くなりましたが依然たりません。
 



(3)20Wの負荷時(C=22000uF、トランスコイル抵抗0.5Ω)
では、トランスを大型のものにしてみましょう。トランスのコイル抵抗を0.5オームくらいにしてみましょう。
リップルはあまりかわりませんが、電圧出力が大幅に改善され21Vくらいまであがっています。
これならばOKです。
  



(4)20Wの負荷時(C=10000uF、トランスコイル抵抗0.5Ω)
では、トランスのコイル抵抗を0.5オームはそのままにして、コンデンサを10000uFまで減らしてみましょう。
リップルは増えていますが、電圧出力は問題ありません。20V以上確保できています。

 

ということです。おそらくコンデンサの容量としては4700uFくらいにしてもリップルは大きくなるでしょうか、
最低電圧はクリアできそうです。コンデンサは容量的には10000uFもあれば十分な感じですね。
だけど、トランスには余裕が必要だということになります。できるだけ巻き線抵抗の小さいトランス、
すなわち大型のトランスをつかえことが電源部としての余裕をもたせるためには必要なようです。

よくオーディオにはばかでかいトランスをつかう場合がありますが、決して無駄じゃなくて、
大きいメリットは享受できるということですね。

気をつける点はダイオードの容量でしょうか。出力が大きくなるとダイオードに流れる電流も増えますが、
6A位はピーク値で流れます。みあった容量のものの選定が必要です。

ダイオードに流れる電流(A)

8122 コンデンサー考   - 2007/11/17 23:15 -
47研究所の4706と言うアンプはコンデンサーの容量が世界最小だそうです。

世の中にはいろいろな製品があるようです。
製品をクグってみると、ここにありました。→ http://www.47labs.co.jp/4706.html
結構大きな出力がでますね。25W+25W(8オーム)のようです。
つかっているコンデンサの容量は1000uFのようです。
真空管アンプに使われるコンデンサに比べると容量は大きいのですが、半導体アンプとしては少な目です。
コンデンサを小さくする理由として

コンデンサー容量を極小とし、電気的エネルギーの蓄積を排除
エネルギーの供給をコンデンサーの容量ではなく、電源トランスそのものの容量に依存

という宣伝文句が並んでいます。私にはよく理解できませんが、
いろいろな製品があることは選択子が増えてよいことです。
リップルノイズはある程度許容された製品のようですが、
どの程度のリップルが電源ラインに生じそうか試算してみましょう。

25W8Ωのアンプということなので、
必要な電流、電圧は実効値で1.8A、14Vになります。
波高値で換算すればそれぞれ2.6A、20Vという値です。
トランスの巻き線抵抗は小さいような感じですので0.1Ωと仮定しましょう。
そうするとトランスの出力は28Vあれば最低電圧20Vをクリアできそうです。
ただし、リップルは6V程度発生しそうです。アンプのオープンループゲインが大きくて、NFBがどっぷりかかれば
電源電圧の変動なんかはあまり気にする必要はないでしょうが、結構大胆な設計です。

もっとも連続で25Wの出力はまずあり得ないので、実用出力では1000uFでもOKということでしょうか。

 
コンデンサ容量1000uFで計算してみると。

ほんとうに小出力のアンプでよいなら470uF程度でもよいでしょう。
となると、あっというまに世界記録更新!(って、あまりにもしょうもないことですが・・・)。

しかし、トランスの出力が交流である以上、コンデンサのチャージが電源電圧のすべての源。
トランスの出力電圧のみでアンプを駆動することはあり得ないわけですから、電源のリップルを小さくする
意味からもコンデンサの容量は大きい方がよいでしょうね。

理想の電源とは?

上記ではコンデンサの容量やリップルについて考えてみましたが、本来の目的はできるだけ
よい電源を構成することです。そこで、原点に立ち返り理想の電源とは何かを考えてみると、
次の2点でしょう。
 1.電圧変動がないこと
   すなわち、電圧の経時変化がないことですね。
 
2.出力インピーダンスがゼロであること。
   これは1.と関連しますが、負荷変動があっても電圧出力が変わらないということです。

これだけで判断すると、コンデンサだけの平滑電源より、オペアンプあたりをつかってNFBをかけた
定電圧電源の方が遙かに性能は優れています。しかしながら、音質で比較すると、定電圧電源は
あまり評判がよくありません。定電圧化するにしてもツエナーあたりでnon−NFBタイプの電源が好まれたり
します。
 このギャップはなんだろう?
実際のところよくわかりません。電源電圧が負荷で変動すると、少なからず出力のひずみが増えて、
それによって聴感上は好ましい方向にむかうのでしょうか?
ん・・・・(ちょっと休憩)。

8160 re:理想の電源とは? R.  - 2007/11/23 01:52 -
安定化電源の難しいところは、安定性が出力のコンデンサの容量とESRに依存するところだと思います。
負荷変動が発生したときのレスポンスが共振しているように尾を引くと音的にはダメなんでしょう。

アンプの方で十分NFBが掛かっているなら、安定化電源はNON−NFBの方が負荷変動に穏やかに
追従してくれて自然な音になりやすいのではないかと思います。

平滑コンの容量をほどほどで抑えて、NON-NFBの安定化電源を使用してリップルを除去するのは
結構いい方向ではないかと思います。

NON-NFBの安定化電源なら出力コンデンサに固体電解コンを使用しても安定性に影響ありませんから、
高い周波数部分では非常に性能のよい電源になりそうですよ。

そういった議論をどこかでしましたね。忘れてました。
ということは、OPアンプをつかうにしても、 フィ-ドバックゲインを落としてやればなだらかに負荷に追従してよいのかもしれません。


出川式電源ってなに?

8161 出川式電源はどうなのでしょう? nhaka  - 2007/11/23 16:45 -
(中略)
電源がらみですが, 出川式電源は効果があるのでしょうか?
( ttp://www.ne.jp/asahi/sound.system/pract/cont_frame2.html
の「21世紀の新・オーディオ電源回路理論」の下のほうに回路が載っています).

!そんな電源があるんですね。ちょっとクグってみましょう。
とキーワードに出川式電源といれるといっぱいでてきました。
いろいろと探していると、本人のレポートもあるようです。→ここ

最初のアブストででてくる play the audio signal in all frequencies
とか in question rising 46% ってなんていう意味だろう?

また、
負荷に供給する電流が欠落して、この間の音楽信号は再生されない
という一文もあります。どうやら普通のダイオードをつかった整流回路では、
出てくる音楽信号はブツブツに切れているということかな?

世の中にはいろいろな主張をされる方がおられるようです。



電源性能を評価してみよう。

コンデンサだけではリップル除去は限界がどうしてもでてしまいます。
理想電源を目指すには、定電圧化が必要なようですが、今一度どのくらいの性能がでているか検証してみよう。

まずは模擬負荷を準備。

電源部の評価には、模擬負荷器がかかせません。以前につくったものをパーツ箱から引っ張りだしてきました。
100mAの負荷電流を矩形波で与えるものを以前つくりましたが、ちょっと改造して定電流負荷にも対応できるようにしました。

回路図は下記のようにシンプルです。FETで発生する電力をすべて吸収するので放熱板をとりつけています。
回路にコンデンサを搭載すると、何を評価しているのかわからなくなるので、パスコン以外は搭載していません。

電流検出抵抗は2Ωの高精度抵抗(秋月)をつかっています。


こちらは上の回路の実物です。


負荷電流波形はこんな感じです。電流検出抵抗(2Ω)の両端の電圧をモニターしていますが、
1.7kHz程度でフルスイングした波形となっています。

負荷電流波形
(0〜100mAでスイング)


1.シンプルにコンデンサのみ。

まずは簡単に平滑コンデンサのみの構成です。コンデンサ容量は2200uFと1000uFを並列にしています。
今後、このコンデンサの間に定電圧回路をくみこんで、その効果を確認していきましょう。

まずはシンプルな構成から

全体の接続の様子はこんな感じです。トランスにはRA40-072の0-18Vの出力をつかいます。
電源基板はMINIディスクリ電源を流用しました。回路図も併せて記載していますが、トランスの線抵抗は2.08Ωです。
 
 実験の様子                                             等価回路

(a)定電流負荷(100mA)
 上の回路で100mAの定電流負荷をかけた場合の出力はつぎのようになりました。
絶対値はシミュレーションとは若干違いますが、概略は一致しているでしょう。

無負荷時電圧 100mA定常電流 100mA矩形波負荷時
実験値 23.4V 20.9V
リップル幅220mA
21.3V
リップル幅150mA
シミュレーション 23.6V 22.0V
リップル幅180mA


 定電流負荷(100mA)のリップル                 シミュレーション結果

変動電流負荷を与えると、さらに負荷に合わせた電圧の変動が生じている様子がわかります。
リップルの全体幅が小さくなっているのは、負荷の実効電流が小さくなっているためです(矩形波なので実効負荷電流値は1/2)。

(b)変動電流負荷(100mA矩形波1.7kHz)

 変動電流負荷(1.7kHz 100mA矩形波)の場合

コンデンサのみの場合だと、結構なリップルが発生するのはしかたのないことです。


2.ツエナーをつかった定電圧電源 2007.12.13

つぎは簡単にツエナーをつかった定電圧電源です。ツエナーは16Vのものをつかい、
制御トランジスタはダーリントン接続にしています。

回路図はこんな感じ。


制御用トランジスタをとりつけました。


(a)定電流負荷(100mA)

まずは一定負荷(100mA)をかけたときのリップルです。さすがに小さくなっています。
だいたい1mVppくらいに収まっています。やはり、定電圧化の威力は大きいです。
1mVppが大きいが小さいかは議論がのこりますが、ツエナーをつかったオープンループ系の制御なので、
こんなものでしょう。

定電流負荷時


(b)変動電流負荷(100mA矩形波1.7kHz)
次は変動負荷時ですが、やはりリップルは大きくなっています。
波形の上側が出力電圧変動で約20mVppくらいのリップルが生じています。

下側は負荷電流波形です。


変動負荷時

(つづく?)

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