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8月某日
「揺れるユダヤ人国家 ポストシオニズム」立山良司。
イスラエルという国は、中東紛争とナチのホロコーストで片付けられがちだが、実は「民主国家における宗教と政治」という面のほうがむしろ知的に面白い。
宗教裁判所の権限はどこまで及ぶか。一宗教(ユダヤ教)の祝い事やタブーをどこまで世俗政府が認めるか。
信じないものの自由、少数派の権利、連立政権のキャスティングボートを握る見に宗教政党・・・・。対極的ともいえる日本とイスラエルだが、日本自身の問題もはっきりイスラエルという鏡から見えてくる。
また、米国人だがユダヤとして、イスラエルに情報を流した男が米国に逮捕された、彼はどこに忠誠を誓うべきだったのか?
どこを裏切ったのか?ギリシャ悲劇をも髣髴とさせる。

「戦争学」
軍隊の歴史を陣形や武装など、専門的なこともf含め解説した本。類書が少ないので貴重といえる。
バトルオブブリテンで、都市防衛の戦闘機をチャーチルは決して分散させず、民間被害を放置してでもドイツ軍迎撃のみに使ったから
最終的に勝ったのだ、というくだりは、銀英伝へのアンチテーゼともいえるか。



8月某日
「司馬遼太郎の『かたち』」関川夏央。
「この国のかたち」連載時、原稿と一緒に送った一言の手紙(これが時評になっている)を集め、関川が読み込んで解説したもの。
ところどころ司馬の鋭さとは別に、関川独自の分析と語り口が良。しかし、この版元文春だけど、週刊文春で花田軍団が大暴れした時代ってのは、文春社内でも腫れ物に触る感覚があるのかな?司馬や関川のそれぞれのスタンスを比べると面白い。

8月某日
久保祐一「笑う新聞」
B級ニュースを集め、おもしろおかしいツッコミを入れたもの。類書が多く、これは可もなく不可もなしか。
作者は西原理恵子漫画にキャラクターとしても登場している。阪神ファンというそこでのキャラは、今回は
押さえ気味だったな。

8月11日

今日はリングス有明大会・大混雑、大過密だという話でゆりかもめは避けて日の出桟橋から水上バスを使ったが、これがどんぴしゃ。悠々有明に乗り込んだのであります。コロシアムは桜庭・ホイラーのP-8以来だ(ディファはUFCJで来た)。いや、笑い話だったけど「会場が一番すいている」というのはホントだった(笑)。試合自体もアクシデントなどあり、KOKトーナメントなどとは及ぶべくもない。ヒョードルはババルを完封したが、彼が客を呼ぶことができるだろうか・・・
会場を出ると、お台場のライトアップが夜空にくっきり浮かんでいた。

初盆の 花輪に似たり 観覧車


北村薫「空飛ぶ馬」。
日本推理小説に「日常の謎」という分野を切り開いた男のデビュー作だ。
やはり成功の理由は、落語家探偵・円紫師匠だろう。密室やら童謡に合わせて殺人が起こるというおどろおどろしい事件でない限り、そこから「人生」を語るようなカタチにならないとうまく収まらない。噺家なら、人間の何気ないしぐさや台詞から深い意味をくみとり、それを伝えるというのにうってつけだったであろう。
また、「私」という造形も良かった。女子大生だが、本や古典文学のあれこれに没頭するタイプで、気立ても見た目も?悪くないが、やや色気に欠けるきらいがある・・・というのは、まあ学級委員タイプの変種とでもいうのだろうか。
こういうキャラクターが中心的な存在になるのは珍しい。(唯一私が思い出せるのは、川原泉の一連の作品)。
彼女の心理描写や家族・友人との会話があまりに丁寧に作られていたので、作者は(若い)女だ!と思ったファンは、実際の作者が中年男だと分かったとき3日三晩寝込んだとか(笑)。

8月某日
宮崎哲弥「新世紀の美徳
再読である。
この人も「宝島文化人」のひとりであり、まだ肩書きが「評論家見習い」(笑)であったころから読んでいる。
ビビッドな話題をもとに、さまざまな論考をしているが、まあ大方は異存がない。
ということは逆に、驚くような斬新な見方もない、ということだ(笑)。とはいえ、フツーの人にとっては相当に刺激的で類を見ない論だと思うかもしれないが、これはなにしろ「呉智英・応用編」だからなあ(笑)。彼の発想を知っていれば驚かない、ということだ。これは彼自身が評論の師匠は呉だと言っているから問題ないね。小林よしのり批判ももうひとつキレがない。すべての死は犬死だ、というのを戦争論の眼目に持ってくるのはいいとして、しかしそれでは全ての生を「それだけで意味がある」とするわけにはいかないではないか。また、死がそんなに絶対的無であるなら、ここで彼自身が取り上げた池袋の通り魔やサリン事件のオウム信者も、死刑になってしまえばそれは「絶対的無」なのだから悪も善もなく、それを止める根拠も無になりはしまいか。
むしろ、国民という限定をなぜ公とするのか、という論のほうを進めたらよかったのではないか。

8月某日
鈴木美勝「小沢一郎はなぜTVで殴られたか」
副題「視える政治と視えない政治」にあるとおり、小沢自由党が前の総選挙で殴られて顔がぐにゃりと変形(CG)するシーンに「痛みを恐れていていては、前へは進めない」とメッセージを沿え効果を挙げた、というところから日本の政治もTVを中心としたショー政治「テレポリティックス」に動いていくと論じた本。
ネガティブキャンペーン、ファッションアドバイス、気さくさを演出するため車の後部座席には座らない(笑)など、どれもある種の滑稽味が漂うが、しかし肝心なのは、それがかつての根回し・駆け引き・談合の政治を消滅はさせないまでも、圧倒的に小さくしていったという明るい側面だ。
小泉政権も、この「軽薄さ」がなければ生まれなかっただろう。

あ、そうだ、政治の世界で「あれは○○の陰謀」という噂が断つと、その○○がホントに実力者になっていく(笑)という経緯には笑った。


8月某日
西原理恵子「どこまでもアジアパー伝」
いや西原は挿絵マンガであって、著者じゃないんだけどさ、俺はサイバラ漫画立ち読みするだけで十分だ(笑)。
かなり西原マンガの中でも、シャレにならないイタタなドキュメントが続くが、その中でひとつ心に染み入る話があった。
西原とダンナ・鴨ちゃん(この本の作者)の野球チームが草野球をしたとき、相手チームのレフトは手に障害があってフライがうまく取れず、エラー続出。
鴨ちゃんは障害なんてコトは全然気にせず、すっかりムキになって「レフト穴だ、レフトを狙え!!」と絶叫。その甲斐あって?チームは大勝。
西原が試合後、相手チームに「なぜ彼を他のポジションにせず、レフトにするの?」と聞くと、相手は笑って「彼、レフトが好きなんですよ」----不覚にも立ち読みの最中、涙が出そうになった。

8月18日
「DEEP2001」横浜、である。
2階席を早めに買っておくのがよかったな。ダフ屋もアリーナ席しか売っていない、かなり高い席に座ったがアリーナは極めて見にくかった。
後の世に伝説となるであろうドスカラスJr vs謙吾を見ることが出来た、ということでいいのだろう・・・か。
となりの席は近藤の個人的な知り合いらしい、初めて見に来た感じの品のいい老夫婦。VTは刺激的過ぎるかも。
近藤は残念。でも実は、下での防御は格段の進歩を見せていたと思う。ティトぐらい一発一発が重いやつじゃないかぎり、KO負けはなさそうだ。
でも判定負けは、今回のようにありそうだ(笑)。3ラウンドの猛攻がもう少しはやければなー、といいたいとこだが、あれはアレでフィリョのほうも計算づくだったんだろうね。フィリョがパンクラスに定着するとも思えんし、だれか首をとらないとあかんよ。

その後会場に来ていた皆さんと宴会。時間が短いのがもどかしい。
ホテル代わりに深夜焼肉屋に入り、延長戦に付き合てくれた人たちと雑談。みなさまどうもありがとうございました。
この手の会に参加するのも、以降難しいだろうな・・・。


8月某日
「リアル国家論」教育資料出版会
やっぱりこれも小林よしのりに対抗する、というテーマのアンソロジー。俺もいい加減飽きたわ。おまけに論者の水準がバラバラ。
網野喜彦氏の議論は、かなり反論の余地がありそうだがそれを含めて面白かった。が、とにかくもうこの手の本は賛成反対ふくめいーや。
と言っている間に、教科書問題は採択1%にも届かず、というところで自体は終了した。暑い夏、である。

8月某日
映画「ビヨンド・ザ・マット」を渋谷で見る。非常にイイ出来で、客も多い。
これは「芸人伝」でもあるのだ。だれかの言だが、「一番驚いたのは、ビンスの裏側を撮ったらそっちもやっぱりビンスだったこと」
というのは正しいか。こいつ、アリを極めた男でもある。ロバーツの腹のだぶつき方は悲しい。でもスポットライトこそが、ギャラ以上にそういう選手をリングにしがみつかせる力なのだろうな。ロバーツと対極的なメキシコの「フライトルメンタ(暴風神父)」だってそうに決まっている。


8月某日
「解決できていない科学のテーマ」飛岡健
うーん、「語り口」がよくない。この手のでは「未来史閲覧」「つかぬことをうかがいますが・・」がよかった。
「アシモフ博士の100冊」を口直しにパラパラめくる。科学読み物と言うのは本当は、アシモフ博士の本を読めばそれで足りるのだが。
これはアンソロジーである。




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