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2002,3/31 シュートボクシング後楽園大会ルポ


註:高倉仮面氏のルポは、「会場周辺の観光案内」と「試合そのもののルポ」のふたつが
絶妙に融合し構成されている。私は便宜上、前者のほうに重点を置きコーナーにおいているが
そこだけに注目するのはあまりにもったいないと言えよう。
両者ともにご注目いただきたい。ただし読者の便宜のため、実用性の高い観光案内を太字にした。


お疲れ様です。
高倉です。

今回はSBを観戦して来ました。SBは「シュート・ボクシング」の略です。
「シュート・ボクシング」は、キックボクサーだったシーザー武士が、
「より実戦に近いキックボクシング」として作った格闘技です。

SBは、K−1・J−MAXにて魔裟斗選手を1回戦で大いに苦しめた、
現大阪プロレスの村浜選手が所属していた団体であり、
準決勝で、やはり魔裟斗選手を追い込んだ後藤選手が主戦場とする団体です。
…K−1・J−MAXのお陰で、SBも少しは競技自体が有名になったかも。

大まかなルールを挙げると、基本的には「K−1」と同じですが、以下の点が「K−1」と違いま
す。
・投げが有効である(有効な投げはジャッジ時の点数にもなる。後方から投げた方が点が高い)
・肘が有効である…が、今回はヒジなしルールが殆ど。
・立関節が有効である(有効な立関節はジャッジ時の点数にもなる。後方から極めた方が点が高い)

では、観戦記です。

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15:30頃
遅い起床。『春眠、暁を覚えず』とは良く言ったもので、
春先は寝ようと思えば幾らでも寝る事が出来る。
…が、確か昨日も僕はこんな感じで一日を過ごしてしまったのだ。
ネットの書きこみを見るまでもなく『人は他人には厳しく自分には甘いもの』だと思うのだが、
幾らなんでもこんな過ごし方しか出来ないのは、人としてどうか?どうなのか?

「何か、面白そうな事はないかなぁ…」等と思いつつ、
SRSや格通(最近は多少面白くなったので、買い始めた)にボーッと目を通す。
…と、どうやら今日は後楽園ホールにてSBの興行があるようだ。
昔は村浜が所属していて、今は2mのシリルがいて、
RINGSにも参戦した前田がいて、K-1・J-MAXで大活躍した後藤がいる団体、か…。
嗚呼、完全に忘れていた。そう言えばそうだった気がする。
どうせ、今日は他にやる事もない。一丁、行ってみますか。

17:00
身支度を終え、簡単な食事を済ました後に後楽園ホールへと向かう。
電車の中から見える東京の桜は、週末の愚図ついた天気のせいで散り始めてしまっている。
そう言えば、今年は武蔵小杉〜元住吉あたりの川原に咲いている桜を見逃してしまった。
「綺麗だなぁ、これが東京の桜かぁ。北海道の桜とは根本的に違うなぁ。」と、
あの桜並木に感動してから早5年。
「東京は3年間だけ勤務してもらいます」という会社との約束は、
未だ果たされそうにない。

18:00
後楽園ホールに到着。お隣の東京ドームは巨人vs阪神戦の第2戦だ。
そう言えば『基本的に地元球団のない北海道には巨人ファンが多くいる』と聞くが、
実際はどうなのだろうか?
少なくとも僕の親父は『大のアンチ巨人』だし、
周りにも巨人ファンらしい友達はいなかったのだが。

コレを読んでいる北海道の方々、情報を求む。

18:30
会場入り。今日初めて気付いたのだが、SBはチケット代が大変安い。
立見席3000円・B席4000円・A席5000円・S席6000円、と、
1000円刻み価格設定。これは大変良心的な設定だと思う。
んで、僕はいつものように一番安い席にて観戦。

客入りは7割〜8割程度。前回観戦した時と比べると、家族連れや若者の顔も多少増えた印象。
それでも、最近のSBは中国・散打との業務提携、RINGS参加選手の招聘、PRIDE関連選手の招聘、
と、地道な企業努力はしているのだが、もう一つ爆発的な観客動員数に結びついていない印象。
「K-1・J-MAXで名前を売った後藤が参戦すれば、もう少し客足も伸びたかもなぁ」
と感じつつ観戦開始。

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第1試合 SBプロ公式戦・フレッシュマンクラスルール・3分×3R(スーパーライト級)
○長島 光輝 vs 朽岡 裕輔● [1R 2分35秒]

第2試合 SBプロ公式戦・フレッシュマンクラスルール・3分×3R(ライト級)
○高久 雅祐 vs 雨宮 栄治● [判定 2−0]

前座試合の為、詳細は割愛。
第一試合は決まり手がなんと「首投げ」。プロレスの基本技が決め手になるとは。
ちなみに、第1試合・第2試合共に「ガードを忘れた若手同士の殴り合い」になった。
それ故、早い段階でスタミナ切れしてしまう。
第1試合は1分30秒で、第2試合は1Rは1分30秒、2Rは1分、3Rは30秒で、
両者ともにスタミナ切れを起こしていた。

第3試合 SBプロ公式戦・エキスパートルール・3分×5R[80kg契約]
○YU IKEDA(190cm 77kg) vs 渡邊 和則(183cm 78.9kg)●
[5R 39秒 KO]

この試合は、素人にも判りやすい程にYUの技術がピタリと嵌った試合だった。

YUは右の半身に構えて右腕を落とし気味に構え、時折牽制のパンチを繰り出すという、
いわゆる「フリッカースタイル」だ。そして決め手になるのは、左のパンチ…ではなくミドル。
この構え方だと、左のキックを思いっきり打ち易いのだろう。
試合は最初は互角の打ち合いをしていた両者だったが、
ラウンドが進むにつれてYUの思いっきりの良い左ミドルが渡邊を蝕んでいった。

3Rからは、YUは上記に加えてローを絡めたコンビネーションで渡邊を圧倒。
組み合ってからもYUは優勢だった。フロントネックロックを2度決めたり、
膝を打ちこんだり、首投げを決めたりと、攻めのバリエーションも豊富だ。
渡邊も3Rまでは、相手のパンチを良く見てのカウンターを決めたりと、
どうにか反撃する場面もあったが、4Rからはもうフラフラだった。
結局、5R開始と同時に打ちこまれたローキック1発でダウン。
何とか立ち上がった渡邊ではあったが、
さらに追い討ちをかけるYUの1・2・ローでダウン、そのままKO。

第4試合 SBプロ公式戦・エキスパートルール(肘なし)・3分×5R[70kg契約]
○宍戸 大樹(174cm 67.5kg) vs 小谷 直之(173cm 69.95kg)●
[2R 2分40秒 KO]

RINGS軽量級最強の男、修斗ランカーをも秒殺する男、末恐ろしい20歳の小谷直之。
その入場時に、僕を含めた一部RINGSファンから歓声が起こる。
相手は昨年度は無敗街道を爆進した男、13戦12勝、現役SB日本Sライト級王者の宍戸大樹。
その入場時には、この観客席を埋めるほとんどのSBファンから大歓声が起こる。
今日の小谷の戦いは、試合形式だけではなく客を含めて完全にアウェーなのだ。
それ故、僕の声も自ずと大きくなってしまう。

1R、ゴングと同時に小谷はパンチを頼りにセオリー無視の猛ダッシュをかけ、
あっと言う間に宍戸をコーナーに追い詰めて慣れないパンチの猛ラッシュだ。
あまりの勢いの良さに客席は騒然となる。反対に、一部RINGSファンは大歓声だ!
しかし、これをどうにかかわした宍戸はハイキック一閃、これが顔面にクリーン・ヒット!
グラつく小谷だったが、それでもお構いなしに猛突進によるラッシュは続く!
そして組み付いていっての投げを狙うが、宍戸もそれを簡単には許さない。
今日の小谷の作戦は「組み付いての投げポイントで勝利する」事だったと思われる。
しかし、宍戸はそれを許さない。上手く距離を空けると、パンチとミドルを的確にヒットさせる。
それでも小谷は愚直なまでに突進ラッシュパンチ&組み付きで攻めていく。
結局1Rはひたすらこの攻防に終始。
この間にも、ラッシュがかかれば小谷ファンの声援が、
距離があいてミドルが決まると大多数の宍戸ファンから歓声が起こる。
この雰囲気は、完全に対抗戦のそれだ。SBでこんな空気に触れることになるとは。

2R、開始直後からやはり小谷はパンチのラッシュで宍戸に突進する。
そして、次の瞬間!なんと左フックがクリーンヒットし、王者がダウン!
これには館内騒然、そしてRINGSファンはここぞとばかりの歓声をあげる!
ここはなんとか立ち上がった宍戸だが、ダメージが残っているようだ。
これを見た小谷はさらにパンチのラッシュで攻めつづける。
そして、またしても右ストレートがクリーンヒット!宍戸はこれで2回目のダウン!
館内に悲壮感が漂うが、僕やRINGSファンは全くお構いなしの大歓声だ!
「いけるぞ小谷!あと1回でお前の勝ちだぁ!」、メモを取るのも忘れて僕も声援を送る。

しかし…、宍戸はここからが冷静だった。
さらなるラッシュで攻めて来る小谷に対して、
宍戸は確実にガードを固めてカウンターのストレートとミドルで反撃する。
これが、パンチで突進する際にどうしてもガードが甘くなる小谷の顔面やボディに的確にヒットす
る。
見る見る内に、小谷の動きが悪くなっていく。
元々攻めてばっかりだったから、攻め疲れた事も手伝ったのだろう。
気がつけば攻守は完全に逆転、イケイケムードの宍戸に館内は大歓声だ!
そして、宍戸はストレートをヒットさせて小谷をダウンに追い込む。
…と、小谷はもう立てない。完全にダウンしてしまっている。
それでも僕は必死に声援を送る。しかしついに10カウント。
館内を揺るがす「宍戸コール」は、僕の「チクショーッ!」の声を完全に飲み込んでいた。

それでも、慣れないルールにも関わらず小谷は本当に良く頑張った。
今はとにかく「お疲れさん」を言いたいね。

第5試合 SBプロ公式戦・エキスパートクラスルール(肘なし)・3分×5R[契約不明]
○ローカス スタンブラスカス(185cm 95.6kg) vs トレイル ドーウィン(198cm 103kg)●
[判定 3−0]

会場に行って始めて気付いたのだが、「SBのシュルト」シリル・ディアバデは欠場だった。
お目当ての選手の欠場はなんとも残念だ。
そして代役のトレイルが登場…、って、これまたデカい人だねぇ!
会場中が、そのデカさに騒然となる。これならシリルの代役になる。

…と思っていたのだが、このトレイル、実力はサッパリだったが変な味がある。
なんていうか、試合に茶目っ気があるのだ。
顔は長くて鼻が高くてホリが深い特徴的な顔もさる事ながら、
その表情が試合中に何度も変化する。
3Rには自分で放ったローキックで苦悶の表情を浮かべたり、
4Rではスタミナ切れの為にえらく疲れた顔をしてみたり。
体が大きい事もあってその表情が会場中に伝わりやすいのだ。
表情を変えるたびに騒然としたり失笑したりと、
会場は先程の試合とは違う意味で盛り上がっている。

そんな中、1Rはソバットでダウンを奪い、
2Rには組み付けば体格差ももろともせずに首投げ、
3Rにはフロントネックロックでポイントを奪い、
そしてパンチとミドルで散々攻めたてたローカス。
ところが、トレイルも長いコンパスから打つローキックやパンチで終始抵抗していた為に、
5Rにはローカスは攻めきれずスタミナ切れ。もちろんトレイルも早々にスタミナ切れ。
そして観客もダレた試合にスタミナ切れ。とりあえず判定でローカスが勝利した。

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19:50
10分休憩後、「♪シィーザー、シィーザァー」と「泣きのシーザー」ことシーザー武志登場。
ここでは8月に中国にて「散打vsSB」の興行を打ち、その模様が中国にて国営放送される事、
そして7月7日に横浜文体にてS−CUPを開催する事を発表。
と、これを発表しながら既に涙ぐんでいるシーザー。
「相変わらずだなぁ」と思っていたら、今日の涙はちょっと意味が違っていた。

シーザーと同期でデビューし、
SB旗揚げ時からレフェリーとして活躍してきた人(名前失念、大変失礼)が、
先日病気の為に死去。そして、ここでシーザーは男らしい一言。
「キックボクサー時代に引退式の出来なかった彼の為に、皆さんのお時間をお借りして、
 今ここで引退式を行いたいと思います!」
選手としての経歴、SBでの活躍について語られた後、
リング中央に飾られた遺影にスポットライトがあたり、静かに10カウントゴングが鳴る。

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第6試合 SBプロ公式戦・エキスパートクラスルール(肘なし)・3分×5R[60kg契約]
○アルフォンソ アルカレス(164cm 59.56kg) vs 前田 辰也 (162cm 59.67kg)●
[判定 3−0]

これまでも僕は、前田の試合を何試合か観させてもらったが、
前田はパンチ力のあるタイプの選手ではない。
手数で攻勢を取ってクリーンヒットを狙うタイプの選手だ。
対するアルフォンソはドラッカの王者。UFCやK-1にも参戦経験があり、
しかもUFCではジェンス・パルバーと引き分けている。文字通りの猛者。

1R、前田は距離をおいてローキックで牽制。
ここから不意に組つくと、バックを取ってジャーマンで投げるがブリッジが崩れてしまう。
幸先の良いスタートだったが、アルフォンソはタックルで前田に組み付き、
サイドバスター気味の投げを決める。
どうやらアルフォンソも先ほどの小谷と同じで、
「パンチで突進していき、組み付いての投げでポイントを稼ぐ」戦法らしい。
そしてまたしても組み付いたアルフォンソ、
今度はフロントからの投げで前田を宙に一回転させてしまう!
場内が騒然とする中、この投げには1ポイント。
しかし前田はまだあせらない。距離をとると1・2・ローで攻めたてる。

2R、コンビネーションで攻める前田だが、アルフォンソは再び組み付きサイドバスター。
また、アルフォンソのパンチがさらに前田を苦しめる。それでも前田はこつこつとローで攻めたて
る。
それでも終盤、潜り込んでの膝十字を極めようとしたのは同階級のSB王者としての意地か。
3Rも同じ展開。前田のコンビネーションは多彩なのだが、パワーがないのが素人目にもわかる。
それでもコンビネーションの中にローを織り交ぜる事は忘れていない。
対するアルフォンソ、今度はサイドバスターに加えて柔道風の裏投げが爆発。

4R、いきなりスパインバスター風の投げが決まり、アルフォンソにまたまた1ポイント。
しかし、ここまで決定力に欠けていた前田のコンビネーションが、
このラウンド終盤からようやく実を結び始めた。アルフォンソは明らかに打撃を嫌がっている。
5Rには完全に前田が優勢になるが、アルフォンソは組み付きを利用して前田に決定打を与えない。
前田はこのラウンドでダウンを取らないと、これまで奪われたポイントが響いて負けてしまう。
組み付いてくるアルフォンソに必死のヒザで攻めたてたが、結局ゴングに逃げられてしまう。

判定は3−0でアルフォンソ。
前田はこの選手にリベンジするべきだ。
こういうタイプに勝てるようになれば、前田はもっと強くなるはずである。

第7試合 SBプロ公式戦・エキスパートクラスルール(肘なし)・3分×5R[70kg契約]
○緒方 健一(172cm 69.9kg) vs トニー バレント(188cm 69.8kg)●
[3R 2分54秒 TKO]

テーマ曲に乗ってトニーが入場…って、Sウェルター級でやるにはデカイ上に細すぎるなぁ。
本来、この身長ならヘビー級やライト・ヘビー級に体重を合わせるべきではないのか?
でもこの人は何をやっても運動神経のよさそうな体だよなぁ。
黒人の体は非常にしなやかで良いねぇ。
そりゃそうと、何でブルース・リーのジャージ風のウェア&タイツ着ているのだろう?
…と思っていたら、試合後その理由が明らかになる。
対する、SBのエースの一人・緒方の入場曲は「ファイナル・カウントダウン」。
僕はこの曲を聞くと、その選手がどうであれつい感情移入してしまう。歳だな。
緒方には激励の花束が送られたが、なんと花束を贈ったのがジョーダンズの三又。
この人、最近はTVで見なくなったかも。

1R開始…、なのだが、
ブルース・リーのタイツを履いているトニーはおもむろに半身に構えて、
お約束のブルース・リーのポーズ。
いぶかしげに様子を見る緒方が足を使って回り込もうとすると、
トニーはブルース・リーばりに左右の構えをスイッチして顔を作る。
期待通りの動作に場内はヤンヤの歓声。

と、ここでトニーはバックスピンキックを繰り出す…、な、な、長い!
緒方との身長差が16cmあるのもそうなのだが、そうでなくてもこの人は元々足も腕も長いのだ。
そのあまりのリーチの長さに会場は騒然となる。
そしてトニーは自分からは動かずブルース・リーの構えを取りつづけて、
緒方が近づくとバックスピンキック、ハイキック、ローキックとリーチの長い攻撃で緒方を牽制。
緒方は今日は本当にやりにくい相手と戦っているなぁ。
それでも緒方は、半身に構えたトニーの出ている足を、
ローキックで崩していくことだけは忘れていなかった。

2R、やはり半身に構えるトニーだが、どうも自分から攻める様子がない。
緒方は「それなら…」とばかりに、
足へのローを主目的としたコンビネーションを繰り出していく。
半ばトニーの戦法を見飽き始めていた観客は、この緒方の攻めを支持する歓声。
それでもいざトニーが大振りなアッパーやソバットやかかと落としを見せると、
その見栄えのよさに会場が騒然となる。
…が、時間が進むにつれ、ガンガン当ててきた緒方のローが効き始めた。
明らかにローを嫌がり始めたトニー。
ここぞと緒方は組み付いていき、首相撲からのヒザで苦しめる。
緒方押せ押せムードの中、このヒザでトニーはダウン。
これはなんとか立ち上がれたが、もはや緒方に傾いた試合の流れは止まらない。

3Rには、トニーはもはやローを打たれやすい半身の構えを捨てていた。
オーソドックス・スタイルで緒方のコンビネーションに対応しようとするも、全ては後の祭り。
緒方は、このラウンド積極的に組み付き首相撲からのヒザをバンバン繰り出す。
このラウンドのトニーの見せ場と言えば、浴びせ蹴りが出た程度だった。
結局、このヒザの勢いを止められずに3ダウンを立て続けに奪われてしまった。

いやいや緒方、難敵相手によくやったなぁ。
対するトニー、映画の見すぎです。いや、面白いからOKなんだけどさ。

第8試合 SBプロ公式戦・エキスパートクラスルール(肘なし)・3分×5R[68kg契約]
○土井 広之(173cm 67.9kg) vs アーテム スケグロフ(173cm 67.9kg)●
[延長判定 2−0]

SB屈指の実力者、「キラー・ロー」土井の今日の相手は、
「北の最終兵器」イゴール・ボブチャンチンの盟友。
メインイベントとして文句の無い肩書きを持つ二人の対戦は、屈指の好勝負に。

1R、手足の長いアーテムは1・2からのミドル&ローのコンビネーションで土井を攻める。
対する土井は、得意のキラー・ローとハイででこれに対抗。
このラウンドは、お互いの実力を確めるべく両者共に距離を離して戦っているが、
打ち合った時の衝撃音が、両者共に重い。こうなると、一発が怖い。
それにしてもアーテム、ボブチャンチンの盟友という割には、
きちんとしたキックボクシングができている選手だなぁ。

2R、土井は「これがSBだ!」と言わんばかりに、
コンビネーションから組み付きバックドロップ気味に後方へ投げ捨てた。
これは鮮やか!土井には2ポイント加算。
しかし次の瞬間、アーテムの右ストレートがクリーン・ヒットし、土井は不覚のダウン。
折角ポイントを稼いだが、今ので帳消しになってしまった。
そして、ここからアーテムは一気に土井を攻めたてる。
左右のパンチにソバットを繰り出していたが、この時の圧力がなかなかスゴイ。
それでも土井は重いローで反撃して、どうにかこのラウンドを凌いだ。

3R、このラウンドもアーテムが押していたが、
起死回生を狙って放った土井の浴びせ蹴りがアーテムの股間にヒットしてしまう。
悶絶するアーテムを尻目に、場内から何とも言えない笑いが起こる。
…イヤ、それにしてもマジで痛そうだ。

とりあえず一分のインターバルを置いて試合は再開。
アーテムはめげずに1・2からのミドルで土井を攻める。
動きを見る限りでは、股間のダメージの影響はなさそうだ。一安心。
これに対して、土井はキラー・ロー&ハイで対抗。
そして組み付いて投げを狙うが、この時アーテムは思わずロープを掴んでしまう。
さっきのローブローで稼いだポイントはここで帳消しだ。もったいない。

4R、土井にチャンスが訪れる。
カウンターで放ったハイキックがアーテムにクリーンヒットしたのだ。
ぐらつくアーテムに、土井はロー&ボディーブローで一気に攻めたてる。
…が、アーテムの圧力はこの程度では落ちない。しっかりと反撃してくる上に、
大技・上段後ろ回し蹴りを土井にクリーン・ヒットさせる。
ここまでのラウンド、両者互角か?良い試合だ。

5R、両者に僅かな差が出始める。土井はロー・ミドル・ハイと足が走りまくりだ。
これに加えて、ボディへのパンチもカウンターでクリーン・ヒットしている。
対するアーテムはローが結構効き始めているが、それでもパンチ&ミドルできっちり反撃してくる。
最後のラウンドだったが、比較的距離を取りつつの打撃戦は一進一退のままゴング、試合は判定に。

この試合、どちらが勝っただろう?
2Rの投げポイントとダウンポイント、3Rのローブローとロープ掴み、試合全体の流れ…、
う〜ん、あまりにも要素が多すぎて、素人には判断がつかんなぁ…。
と、思っていたら、すっかり忘れていた。
マスト・システムじゃないから、無理に勝敗を決める必要はないのね。
土井は1ポイント先取したものの、2ポイントの差はつかず試合は延長に突入。
この名勝負がもう1ラウンド見れるとあって、場内は大歓声だ。

延長Rは開始直後から、「きっちりケリをつけようぜ!」と言わんばかりの乱打戦。
大歓声の中、土井はローを、アーテムはパンチをクリーンヒットさせる。しかしまだ両者に差はな
い。
ここから両者組み付いて投げを狙うが、もはやお互いに投げにいく力が残っていない。
…と、ここで両者に差をつけたのは、土井が打ちつづけた得意のキラー・ローだった。
段々とアーテムは棒立ちになるシーンが多くなってきたのだ。
それでも最後の力を振り絞ってアーテムはパンチで反撃する。
その心意気やアッパレだが、やはり土井のローはかなり効いている様子。
結局、延長はこのままゴングを迎える。
直後に両者腕を挙げたが、死力を尽くした両者に客席から惜しみない拍手が起こる。

判定は2−0で土井。でも、アーテムも良い選手だった。またこのカードは見てみたいね。

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雑感:
いや〜、それにしてもSBは観客の雰囲気が良いです。
格闘技の興行なのに、その空気はかなりプロレス会場のそれに近いですよ。
チケット代も安いし、子供達の声援もあったり、若い女性も観に来ていたりで、
観戦する敷居自体はかなり低いと思います。
こういう「観せる努力」を惜しまない団体の客入りが7〜8割程度だとは、ちょっと寂しいです。

前にも言いましたが、下手なプロレス会場よりもよっぽど楽しめる興行なので、
もっと注目を浴びて欲しい団体ですね。

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21:15
後楽園ホールから出る…、と、何やら東京ドームの方が騒がしい。
良く見ると、黒と黄色の縞のハッピを着た人だかりが、
鳴り物を鳴らしながら応援歌を次々に歌い上げている。

「…成程、どうやら今日も阪神は勝ったんだな。
 それにしても、この阪神ファン達のエネルギーはスゴイなぁ。
 今、プロレスファンにこんなエネルギーは出せないんじゃないかなぁ。」

それが「良い事」なのか「悪い事」なのかは知らないが、
この宴はそう簡単に終わりそうに無い雰囲気だ。
反対に、通りすがる巨人ファン達は一様に暗い。原新監督は早くも正念場か?

21:20
最近は良く贔屓にしている「とんかつ・かつ吉」に入店。
この店は、JR水道橋駅をドーム側では無いほうから降りて、
左に曲がりまっすぐ3分ほど歩いたところにある。
都営地下鉄の水道橋駅なら、もっと苦労せずに着くであろう。

この店は内装がものスゴく豪華。
店内にはブランド物の焼酎のボトルキープがズラリと並んでいる。
下手な人間なら、この内装だけでかなり圧倒されるだろう。
もちろん僕は「下手な人間」なので、
初めてこの店に来た時は当然ながら度肝を抜いてしまった。
まぁ、今は慣れてしまったが。

席に案内されて、まず出てくるのは漬物の盛り合わせとメニュー表。
漬物はキュウリ・キムチ・菜の花の3種類。
どれも結構な量が出てくるので、無理に食べきる必要は無い。
そしてメニューだが、これがまたデカい。モノリスばりのデカさだ。
またしてもこれで圧倒される人間も出てくるし、僕も初めての時はご多分に漏れず圧倒されたが、
メニューを良く見れば「ひれカツ定食 1700円」とか「ロースカツ定食 1900円」、
定食としては少々高めだが、まあ別にそこまで高い訳ではない。
「とんかつ定食」の値段としてはまずまずだと思う。
(ちなみに、これらの「特上メニュー」は500円増しだと思って欲しい。)

今日の僕は、とりあえず「ひれカツ定食」を注文し、ボーッとする。
と、店員がニコニコしながら「読みますか?」と新聞を持ってきた。
そうなのだ。新富町の「かつ銀」もそうなのだが、
それなりに高級なカツ屋というのは、何故か店員が客に新聞を持ってくる。
どれどれ、スポーツ新聞でも読みますか。
『阪神・12年ぶりの開幕戦勝利』。
成る程ね。それが連勝ともなれば阪神ファンも浮かれるわけだ。

…と思っていたら「蕎麦茶」が来た。
これはサッパリしている中に、ほんのり蕎麦の味がして大変美味い。
次は定食に付いてくるサラダが出てくるのだが、
いつもながら鉢の中にタップリと盛られていて、とても一人では食べらそうに無い。
只でさえ漬物が3種類も出ているというのに、
さらなる大量の野菜を食べる理由がどこにあるのだろうか?
…とは思いつつも、人と言うのは「出ていれば、とりあえず食べるもの」らしい。
ちなみにドレッシングは和風のみ。味がちょっと濃いので、かけ過ぎにはご注意を。

いいかげん野菜に飽きてきたところで、いよいよメインのカツ&ご飯&赤味噌。
ここのご飯は紫蘇入り。紫蘇の苦手な人はあらかじめ店員に言っておこう。
赤味噌の具はナメコ&豆腐。茶碗と言うにはでか過ぎるような代物の中にたっぷりと入っている。
そして、ここで追い討ちをかけるように「とんかつ屋の常識」が適用される。
これらのご飯及び赤味噌は「おかわり自由」なのである。これで食べ盛りの人も安心。
…が、前出の野菜で既に腹が満たされつつある人にとっては「もう、カンベン!」な話か。
さて、肝心のカツだが、衣はキツネ色、茶色になる程には揚げ過ぎないのがカツの常識。
これくらいの方が、肉が柔らかくて美味しいのだ。もちろん、ここのカツも旨い。
「衣が肉から剥がれやすい」という欠点こそあれど、カツとしては上々の味。

…とまあ、こうして能書きをたれつつ、おかわりをしつつ、メインディッシュを食べ終えると、
タイミングを見計らったかのように店員が「紫蘇茶」を出してくれる。
これまた、塩味が利いていて大変美味い。
ちなみに、このとき「蕎麦茶」を飲んでも「紫蘇茶」を飲んでも、
空になったタイミングで店員が問答無用で「おかわり」を注いでくれる。
食前は野菜で攻められ、食後はお茶で攻められる。
たまらない。このサービス攻勢がたまらない。「お持て成しの『心』」に満ち溢れている。

どうです?これでも、これらの定食の値段を「高い!」なんて言えます?
ちなみに年中無休、ラストオーダーは10時。
「観戦の後は『王将』」コースに飽きた人は、一度行くと良いです。

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以上、長文失礼。

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