お台場案内 & 2002・4/7 SMACKGIRLルポ

註:高倉仮面氏のルポは、「会場周辺の観光案内」と「試合そのもののルポ」のふたつが
絶妙に融合し構成されている。私は便宜上、前者のほうに重点を置きコーナーにおいているが
そこだけに注目するのはあまりにもったいないと言えよう。
両者ともにご注目いただきたい。ただし読者の便宜のため、実用性の高い観光案内を太字にした。


お疲れ様です。
高倉です。

毎度、毎度、の観戦記。
本日は「SMACK GIRL」を観戦してきました。

「SMACK GIRL」は2000年末に突如誕生した、日本初の「女子総合格闘技団体」です。
旗揚げ当時は、「ReMix」という大会名で世界中の女子強豪格闘家を集めて大会を開いていました。
そんな中、J'dの藪下めぐみ選手が女子格闘技界の強豪・グンダレンコ スベトラーナ選手に勝利、
「ReMix」の名は一躍女子格闘技界を席巻します。

やがて「ReMix」は「SMACK GIRL」と名称を変更。
渋谷のCLUB等を中心に興行を行い、選手レベルもアマチュアに下げて興行を開始しました。
これに合わせて、参戦してくる選手の経歴も自ずと多種多様となりました。
今回はそんな選手の経歴も掲載しています。そちらも是非注目してください。

…とまあ、一見は「順風満帆」に興行を重ねている団体に見えますが、
同団体のエースだった「天然格闘娘」星野 育蒔選手は、
「SMACK GIRL」から派生したライバル女子総合格闘技団体「AX」へ転出。
代ってエースとなった「力道山を刺し殺した男の娘(本当)」篠原 光選手は今回の興行は欠場。
と、最近は同団体からも暗い話題が出てきてしまいました。
…が、日本初の「女子総合格闘技団体」という事もあり、
話題性という意味では、まだまだ注目を集めている団体と言えるでしょう。

第1試合は特殊ルールなので別記。
第2試合以降のルールについてですが、
総合格闘技としてはSMACK GIRLはルールがちょっと特殊です。
・グラウンドによる一切の顔面への打撃を禁止。
・ヒジ、ヒザは全面的に禁止。
・選手がグラウンド状態になると、レフェリーが「グラウンド」と宣言。
 ここから30秒以内に関節等を極められない場合はブレイクとなり、
 スタンド状態からの再開となる。
・打撃によるダウンの概念は存在するが、関節によるロープエスケープ等はない。
と、実は結構複雑なルールだったりします。

では、観戦記です。

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18:00
ゆりかもめにて、国際展示場正門駅へ到着。
今日はお台場付近の天気が快晴だった事もあり、西日の差したビル郡の光景がやけに綺麗だ。
気分が良くなりつつ、いつものように有明コロシアムの横を素通りして、
ディファ有明へと向かおうとする。
…ん?普段は死んだように暗い有明コロシアムが、今日はなにやら照明がついているではないか?
玄関口には警備員の姿。何であろうか?何か催し物でもあるのだろうか?

…NOAHだった、全然知らんかった。我ながら、長らくプロレスを見ていない事を痛感。
コロシアム正門近くには、BSだかCSだかの宣伝テントがあり、
用意されていたモニタには、コロシアム内部で行われている試合の様子が生中継されていた。
おかげで、ここにはちょっとしたクローズド・サーキットのような人だかりが出来ている。

「どれどれ、見てみるか。」とモニタを覗くと、
三沢の技を食らってアップアップしている、冬木の姿がアップになっていた。
でっぷりと丸いお腹に、黄色いタイツ。
必要以上に長い髪、干し柿を食べたおばあちゃんのような顔。

…醜悪だ。醜悪すぎる。
こんな映像は写すべきではない、モザイク処理して欲しい。
「プロレスがゴールデンに進出するのは、
 こういう体型の選手がもっと減ってからだな。」
先ほど見た夕焼けの景色の美しさなどすっかり忘れ、
ゲンナリしながらディファへ向かう。

18:15
ディファ有明到着、待っていたのはの長蛇の列。
そして、その興行の特殊性や会場の交通の便の関係か、年配の客は殆どいなかった。
…と、この列を撮影しているテレビ局のカメラが一台。
良く見ると、列の若者達にインタビューを取っているではないか。

しかしこの若者達、判で押したように同じようなコメントの羅列だな。
何て気の利かない連中なんだ。そのインタビューなら、俺ならこう応えるね。
「女性同士の意地の悪さを前面に押しだすような泥臭い戦いを期待したい…」、
…駄目だ、これでは視点がマニアックだ。
「女性ならではの、女性にしか出来ないファイトを期待したい…」
…これも駄目、ド素人すぎる。
う〜ん、いざとなると、人間、気の利いた言葉と言うのは出ないものだなぁ。

…飛ばされた。

18:30
この日の席の料金設定は、一般4000円・SS席5000円。
1000円しか違わないのであれば、リングに近いSS席に座らない手はない。
5000円を払って会場入り。
…それにしても、大会には経費が掛かるのはわかるのだが、
大会パンフくらい作っておいて欲しかった。

さて、入ってまず驚いたのは、小さいディファを更に小さく使っている事だった。
貧弱なヒナ段席には垂れ幕が掛かり、反対側のステージフロアにはスクリーンを準備していた。
正味、500人も入れば良い会場になってしまっている。

んで、客が入ってくるのだが…、
先ほどの長蛇の列が全観客だったらしく、
ちょうどこの会場の席が埋まる程度の客入りだった。
話題性は結構大きいものの、まだまだ浸透度は低いと言うことか。
一人で妙に納得しながら観戦開始。

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オープニング:
某電話会社の新ブロードバンドCMが、大型スクリーンに流れる。

…って言うか、長い。長い。まだ終わらない。
正味15分〜20分の気合の入ったCM。
終了後にわずかに起こった拍手は、
このCMの長さに対する皮肉か、このCMのスポンサー達の煽りか。

その後、SMACK GIRLの歴史映像が流れる…、音声が出ない。結局、途中で放送中止。
天下の某電話会社の映像技術のイメージも悪くなってしまうような失敗だな。

篠代表挨拶:
挨拶の内容に、先ほどの長いCMの宣伝がちらつく。
「SMACK GIRLも、新時代に向けて映像配信を…。」
多分、会社からたっぷりと出資してもらっているのであろう。

第1試合 『ROYAL SAMCK 2002』 時間差式バトルロイヤル特別ルール

出場順
1.ナナチャンチン(147cm/43kg) 北の最小兵器。連敗記録更新中。
2.Lay-Ho    (155cm/50kg) アクション女優。目指すは日本版「サモハン・キンポー」
3.照井 和瑛   (167cm/62kg) 受付嬢。柔道経験者。
4.川又 尚美   (167cm/62kg) 高校大学とレスリング三昧。
5.金子 真理   (150cm/52kg) 禅道会所属。幼児期に虐待を受けていた。
6.酒井 真紀   (167cm/62kg) 得意技は『歯磨き指導』。打撃系歯科衛生士。
7.滝本 美咲   (155cm/49kg) 禅道会所属。「ただ、何となく空手を始めた」らしい。

退場順
1.照井 2.ナナチャンチン 3.川又 4.Lay-Ho 5.酒井 6.滝本
[勝者:金子 11分48秒 (滝本に)腕ひしぎ十字固め]

世界初?!の総合によるバトルロイヤル。そのルールは、
・スタンド、グラウンドによる打撃は一切ナシ。投げ、関節のみ。
・最初は選手は2人だが、1分ごとにカウントダウンと共に新しい選手が入場。
・最後の2人になった時点で10分一本勝負。10分で決着がつかない場合は判定。

出場選手が大型スクリーンに次々に紹介されていくのだが…、
ナナチャンチン。どうでも良いがこの人のキャラ・コンセプトは何なのか?
マグナム・TOKYOのマスク、セーラームーン(古いなぁ)のバトン。
カメラに向かって「RVD」宜しく、自らに親指を立てて、
「優勝するのはこの私、ナナッ・チャンッ・チンッ!」。
…俺にはわからん。この人が何故戦うのか、さっぱりわからん。電波系キャラか?
ちなみに、滝本のインタビューは編集の不手際で途中で切られ、Lay-hoは凄いロリータ声。
あとの選手達は月並みなコメントに終始。

「試合前の厳選なる抽選の上」、
リング上に最初に登場したのはナナチャンチンとLay-ho。お約束だな。
ゴングと共に試合開始。2人で組み合って投げを打ち合おうとするが、
お互いふんばってこらえている。と、ここでアナウンス。

「カウントダウン10、9、8…」って、オイオイ、もうかよ!

観客は1分という時間の短さに愕然としている。
いや、リング上の2人も愕然として組み合うのをやめている…。
「いいから、戦えよ!」という観客のもっともな突っ込みと共に、
思い出したかのように戦う2人。

そうは言っても照井登場。
3人で組み合うのだが、すでにワケがわからん。
照井はLay-hoをアキレス腱にとらえて、
これを後ろからナナチャンチンがスリーパーで締め付け…。

とかやっているうちにカウントダウン、で川又が登場。ヤバい、凄くヤバい。
3人の時点で把握不能な戦いは4人になって完全にこちらの理解を超えた。
川又は最初こそ3人の団子状態を笑いながら傍観していたものの、いざ組みあうともうダメ。
何せグラウンド主体なので、リング上の攻防が本当にわからん、さっぱりわからん。

全然わから…、なくてもカウントダウンの時はおとづれ、金子が登場。
「5人だワッショイ、5人だワッショイ、バンザーイ!」
ここで、一応選手同士が相手を一人絞っての攻防が見られたが、
それでも初めて見る選手たちをノートを取りながら見るのだから、こちらとしては理解不能。
「せめて知っている選手達がやってくれればまだ把握できるのだが…」とは思っていても…、

「あ、ゴングが聞こえたぁ。誰か極められたんだぁ、バンザーイ!」
「…何て考えてたらカウントダウンだぁ。誰か来るぞぉ、バンザーイ!」
「わ〜い、女の人たちがなんかみんなで団子になってるぅ、バンザーイ!」

…申し訳ありません、もうダメです。GIVE UPです。ずうっと飛ばして…。

収集がつかなくなったこのバトルロイヤルも、
残り3人くらいの頃にはスッキリとしていました。
酒井が極められて退場し、最後は予想どうり禅道会所属選手同士の対戦。
ここで金子は終始グラウンドのポジションで滝本を圧倒、最後は逆十字で勝利した。

勝利者である金子のインタビュー中に、
MCは「この試合形式はどうですかぁ〜?お客さん!」と煽る。
しかし、観客は微妙な「半笑い」。
しかし、「半笑い」だったのは、なにも観客だけではない。
選手ですら、試合中に「半笑い」で戦っていました。

ヘタにグラウンドになると、
極めている間に極められる可能性が出るので技もヘタにしかけられない。
かと言って、客の前に出ている以上、
何かしらのアクションを起こさないと試合が成立しない。
「自分は何をすれば良いのだろう?まあ、いいや、とりあえず組み合おう」
という中途半端な結論から来る「半笑い」。この表情が全選手に出ていました。

観客も選手も「半笑い」。
この試合形式自体の是非を何より物語っていると思います。

ただ、俺としては、
「女子プロレスのように選手の知名度や衣装の派手な団体の選手が、
 同じ形式でガチでやれば、かなり盛り上がったのではないか?」
と思います。これをネームバリューのない選手どうしでやってしまうと、
その選手が自己主張をする前に消えていってしまうので、
見ている側としては、選手に対して申し訳無いくらいに一人一人の印象が残らなかったです。

ちなみにこの試合のレフェリーはJ'dの高橋洋子がやっていました。
…やりにくそうでした。

第2試合 SGS公式ルール ライト級 5分×3R
○大門 まい子 (151cm/54kg) 愛称は「浪速のオッサン」。レスリング・インカレ4位。
●渡邊 久江  (160cm/47kg) 元テニス少女が、新日本キック・伊原会長に直訴して入門。
[1R 2分12秒 反則(グランド顔面パンチの反則2度)]

渡邊は、選手紹介VTRでは
「金に染めたショートへアーに大きな瞳」で、とてもボーイッシュなイメージがあったのだが、
いざ入場して来ると、髪はロングのキャラメル・カールになっていた。
さらには「花の髪飾り」と「豹柄のコスチューム」。
必要以上に女性を意識した姿で登場してきたが、これがなかなかカワイイ。
…なんて思っていたら、おもむろにリング上で髪の毛を外していた。付け毛だったのね。
でも、それで逆に「女は化ける生き物なんだねぇ」と感心してしまったよ。

対する大門は…、愛称通りの「オッサン」顔、以上。

試合は…、何ともあっけなかった。
「オッサン」は打撃で勝負しようとする渡邊に組み付き、インサイド・ガードを奪うのだが、
この時、思わず渡邊が下から顔面パンチを出してしまう。
恐らくこの大会に合わせて、彼女は総合用の練習をしてきたのだろう。
でも、SMACK GIRLでは下からでも上からでも、グラウンドの顔面パンチは反則。
これを2度繰り返してしまった渡邊が、あっさりと反則負けを取られた。

ちなみに、この試合の中で「オッサン」は応援団と思われるオヤジに、
「オッサン,行け〜っ!オッサン、倒せ〜っ!」と応援されていた。
このオヤジに対して「お前も『オッサン』だろ!」という野次が飛ばなかったあたりに、
今回の興行観戦者のビギナー度が垣間見える。

第3試合 SGS公式ルール 無差別級 5分×3R
○杉本 由美子 (160cm/60kg) 禅道会所属。普段は看護婦さん。
●張替 美佳  (156cm/61kg) SMACK生え抜き選手。普段は建築現場で働く「ガテン系」。
[2R 3分47秒 アームロック]

杉本さん、看護婦です、グラマーです。世のお父さん方、要チェックですぞ(小沢正一風に読む事)。
対する張替、キリッとしたオッサン顔。自己紹介では三瓶のモノマネやってました。

1R、張替は首投げで杉本を投げる。張替はこの状態から上になった場合は袈裟固め、
下になった場合は、下から首を取ってのフロント・ネックロック。
んで、杉元が微妙にポイントを外してこれを極めさせず、そのまま30秒経過でブレイク、
再びスタンドから首投げで投げ…の繰り返し。観客の盛り上がりも今一つだ。

それにしても「30秒」という時間は、本当に短い。
グラウンドで、たとえばインサイドからすんなりパスガードしたとして、
見ている側が「さあ、ここからどう展開するのかな?」と思い始めた頃にはブレイクがかかる。
この「グラウンド・30秒ルール」は膠着をなくす為のルールなのだろうが、
見ている側としては、もう少し時間が長い方が落ち着いて見れると思うのだが。

2R、このラウンドから杉本が始動し始めて、実力が拮抗し始める。
杉本が下からのフロント・ネックロックを抜けて、インサイド・ガードからサイドを奪えば、
張替は得意の首投げから、ガッチリ逆十字を極めた。
…が、いずれも「グラウンド・30秒ルール」に助けられブレイク。
「う〜ん、この30秒ルールがある限り、
 試合はなかなか極まらないんじゃないの?」と思っていたら、
組み合った状態から、杉本が体重をかけて浴びせ倒し上になり、そのままアームロック。
んで、張替はタップ。でも、MCは「ギロチン・チョークにより…、」とアナウンス、おいおい。

勝った杉本、泣いて喜んでます、興奮してます。
初参戦で初勝利。勝利者インタビューでは嬉しそうにコメントしてました。

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休憩10分。

…それにしても、今一つ盛り上がらない。
恐らく今日観戦している若者達は、
「女性版「PRIDE」」のような興行を期待しているんだろう。
でも実際は「アマチュア・総合格闘技大賞」のノリだからなぁ…。
特に、大会の初っ端は限りなく「ドロレス」に近いノリだったしねぇ…。

…と、ここで「ドロレス」という単語がトリガーとなって、俺の脳裏にある考えが思いつく。
「あっ、そうかっ!『何か物足りないなぁ』と思っていたが、
 それは『おつまみ』と『ビール』だっ!これは間違いない!」
そうなのだ。興行全体から押し出てくる雰囲気が「格闘技を観戦してもらう」と言うよりは、
「女同士の戦いが見れて、会計は3500円から」って感じなのだ。

こうなると、お酒を入れた方が絶対に面白く見れる。早速お酒を飲む事にした。
でもビールは苦手なので、売店ではウィスキーを購入。
必要以上に水で割ってある薄いウィスキーだったが、
かえってそれが、この興行の「『格闘キャバレー』感」を推し進める。
空きっ腹にアルコールが染み渡り、あっという間に酔いが廻る。

いや〜、おかげでここからは声も良く出ましたよ〜(笑)。

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休憩後、MCがSHOW・大谷とワンギャル軍団を紹介。
この試合の模様は、TBS系列の深夜番組「ワンダフル」の4月22日の放送分で流れるらしい。
会場前のインタビューは、番組用の撮りだったのね。

次に、リング上に「邪道姫」工藤めぐみが登場。
「参戦か?!」と思われたが、それはナシ。
その代わりに、これからは「女子格闘家養成機関」を作る事を発表。
早速、次回SMACK GIRLに選手を送りこむ模様。

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第4試合 SGS公式ルール・『1vs3・ハンディキャップマッチ』 5分×3R
○ドレイク 森松 (163cm/82kg) J'dの現役レスラー。レスラー生活12年。

 坂口 一美   (150cm/42kg) 女子レスラーとしてデビュー経験あり、しかし逃げ出した。
●金井 広美   (165cm/66kg) 女子レスラーを目指していたが挫折、やはり逃げ出した。
 市村 幸恵   (160cm/58kg) 女子レスラーに憧れていたが挫折、
               でも強い自分を目指す。逃げてない。
[3R 2分1秒 アームロック]

この試合は1対3のハンディ・キャップマッチ。
こういう無茶なカードが実現するのがSMACK GIRLの魅力か。
それにしてもこの試合…、
大会案内には「『猪木 vs 国際軍団』のオマージュ」って書いてあったけど、
肩書きを見ればわかるとおり、3人組はいずれも「女子レスラー崩れ」。
これでは、どう見ても「ガチンコ・女子プロレス」のオマージュとしか思えん。

選手入場、3人組はファイティング・ポーズが全然サマになっていない。
対するドレイク、レスラーとしては大成しているとは言い難いが、
さすがは毎日客の前で戦ってきた「女子レスラー」だ、
モハメド・ヨネばりの「よっしゃ、行くぞー!」のガッツポーズには、
静かな観客が反応したぞ!

1R、3人組の先発は一番体が大きい金井だったが、ドレイクの体はさらに大きい。
パンチの打ち合いから組み合うと、あっさりと金井を投げてサイド・ポジション。
ボディにパンチを落とす、これが重い。でもここは30秒でブレイク。
金井はなんとかパンチを当てようとするが、ドレイクの突進力はどうにもならない。
またしても投げられてしまい、今度はチキンウィングを掛けられる。
どうにか30秒ねばったが、スタミナを奪われた金井は、
ドレイクに悔し紛れのパンチを一発食らわせた後で、一番体の小さい坂口にタッチ。

しかし、これはドレイクにとっては好都合。
13cmの身長差、そして2倍の体重差にモノを言わせて、大振りパンチのオンパレードだ!
あまりと言えばあまりにも容赦のない攻撃に観客は驚きの声が上がる。
この攻撃の嵐を前に、坂口は何も出来ずにロープ際でただ体を縮めて怯える一方。
この姿を見たレフェリーがすかさずダウンを取ったが…。

ここで我々は、信じられないものを目にする事になる!(ガチンコ風に読むこと)

「な、な、泣いている…。」

多くの客が唖然とする中、自分が格闘技の大会に出ている事も忘れ、
坂口は泣いていた、さめざめと泣いていた…。
さすがの俺もこれには酔いが一気に醒めた…。
ダウンカウントが進む中、泣きながら坂口は自軍のコーナーに戻りファイティング・ポーズ。
市村にタッチし、以降彼女はこの試合に参加することはなかった…。
凄い、凄すぎる…。
まさか、こんな所で「ガチンコ・女子プロレス」の完璧なオマージュが見れるとは…。

閑話休題、試合再開。相手が誰でも、ドレイクの勢いは変わらない。
グラウンドでは市村を崩してサイドからマウントを奪い、
スタンドでは坂口にも見せた大振りパンチで圧倒する。
さらに投げを打ってサイドを奪ったところでゴング。

2R、開始早々に金井にタッチ。ここで金井のパンチがドレイクに当たり始めた。
金井のパンチは大振りだが、ガードの甘いドレイクに良く当たっている。
これに怒ったドレイクは再び大振りなパンチで反撃。
ここで抵抗出来ない金井にスタンドダウンが取られた。
しかし金井は、ダメージもなくそそくさと自軍コーナーに戻ってからファイティングポーズ。
試合再開と同時に市村とタッチ。なんとなくズルイ作戦だが、まあ有効な作戦ではある。

ドレイクと市村は再びパンチ合戦から両者組み合う、
しかしここでドレイクに異変が。明らかなスタミナ切れだ。
ここに付け入るように市村がパンチで攻撃すると、観客はドレイクに「頑張れ!」の声援。
あらら、ベビーとヒールが入れ替わってしまったよ。
この声援に答えて、組み合ってからフロント・ネックロックを極めるドレイクだったが、
グラウンドに持ち込まれ30秒で逃げられる。
再びパンチの応酬、ドレイクはスタミナ切れが著しい。
それでも組み合えばパワーで勝る。
投げからサイドを奪いチキンウィングを極めるが、ここでゴング。

3R、ここで金井が登場。3人組(事実上、2人組)は当然ながらスタミナ十分だ。
金井はパンチでドレイクを苦しめる。ドレイクも必死に反撃し、
組み合って投げてサイドまで奪うが、どうしても30秒ルールに逃げられる。
インターバルの間に戻した体力も、あっという間に使ってしまったドレイクは本当にキツそうだ。
逆に金井は勝機を掴んだかのような大振りのパンチ、
これがヘトヘトのドレイクに良く当たっていたが、
ここでドレイクはプロレスラー魂が爆発。彼女はこのパンチに笑ってみせたのだ。
これでビギナー客を含めた観客の心は完全にドレイクに掴まれてしまった。
ここから掴みかかったドレイク、倒して一気にチキンウィング、金井がついにタップした。
現役プロレスラーの意地を見た観客が、これに歓声で答える。
ドレイクは試合後、3人の健闘を称えてリング上で腕を上げる。

試合後の勝利者インタビューでは「いや〜、甘く見てた!」とテレ笑いの後で、
「自分は総合ではヒヨッコなので、もっともっと練習します」と殊勝なコメント。
出来上がった観客からの「頂点目指せ!」の声には、
「頂点?言われなくてもわかっているよ!」の女子プロレスラーの模範的回答。
観客からは、またまた歓声が起こる。


第5試合 SGS公式ルール 47kg契約 5分×3R
○しなし さとこ (150cm/44kg) サンボ世界選手権銅メダリスト。
●小池 亜伊子  (160cm/49kg) 禅道会所属。滝本の従姉妹。
[1R 1分11秒 腕ひしぎ十字固め]

しなしのセコンドにはサンビストの若林次郎、
SBの土井広之と後藤龍治がついていた。何気に豪華だ。

小池は距離を空けての打撃戦を望んだが、あっと言う間に距離を詰めたしなしは、
ここからサンビストらしいアキレス腱固め。
これが駄目と見るや、すかさずポジションを移行、あっという間にサイドを奪って逆十字。
小池はタップしなかったが、もはやガッチリ極まっていて、どう見ても30秒間耐えるのは無理。
結局、レフェリーが試合をストップした。秒殺らしい秒殺だ。

しなしは勝利者インタビューで、
「浴びせ蹴りを練習して来たんですけど、足が短くてダメでした」とウケを取る。
また土井もマイクで喋る。「しなしさんには、関節で苛められています」。
それにしても、選手としての姿しか見たことのない土井だったが、
普段着は何気にオシャレさんなのね。


第6試合 SGS公式ルール 58kg契約 5分×3R
○辻 結花 (156cm/54kg) 職業は「老人介護」だが、
            レスリングではスウェーデンカップ・ポーランドオープンで優勝。
●岡 裕美 (154cm/59kg) 早稲田大学空手部出身。格闘空手大会で優勝。
[1R 3分43秒 スリーパーホールド]

セミもそうだが、さすがにメインともなると「肩書き」が全然違うなぁ。
辻は前回はエース・篠原に「逃げられて」しまい、やりきれないデビュー戦になってしまった。
この試合が再デビュー戦。気合が入る。

試合開始、辻は片足タックルで何度も岡からテイクダウンを奪う。
しかしここでクロスガードを取られ、30秒ルールで逃げられてしまう。
「しからば…」とタックルを胴タックルに切り替え、サイドを奪い袈裟固めを仕掛ける。
これも逃げられはしたものの、もはやグラウンドにおける岡と辻の実力差は明らかだ。
最後はやはりタックルからバックにまわり、スリーパーでタップを奪った。

勝利者インタビュー、
「ありがとうございます、ヘッヘッ」と関西なまりで話す辻、なかなかカワイイ。
「殴られるのはキライだけど、殴るのはスキだから殴りたかった」と、
関西人らしいウケもちゃんと取っている。

と、ここでセコンドが紹介される。
…なんと山本美憂だったのね、ビックリだ。
MCが「何かアドバイスとか、飛ばしたんですか?」と聞くと、
美憂姉さん「いや、何も。」とアッサリ。観客がドッとウケる。
ちなみに辻の試合はAXで行われるそうだ。
MCが「あの、憎きAXで…」と煽るのは良いが、
次の瞬間、篠代表に「言って良かったのかな?」とご機嫌伺い。
…ダメなMCだなぁ、自分の発言ぐらい自分で責任とれよ。

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雑感:
途中にも書きましたが、
「女同士の戦いが見れて、会計は5000円ポッキリ」って言うのが正直な感想です。
「格闘技を観に行く」という感覚で観戦すると、かなり肩透かしを食らうでしょう。

でも、この日訪れた多くのビギナー層は、間違いなく「格闘技」を観に来た人達。
彼等がこの興行を観戦した後で、リピーターとなって再びSMACK GIRLを観戦するか?
と聞かれれば…、明らかに「No」でしょうね。

こうなると、この興行から飛び出して行ったAXの存在が気になります。

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以上、長文失礼。

P.S.
やっぱりバトルロイヤル部分は文章化不能だった…(涙)。

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後味の悪い話。

文中にある冬木 弘道選手が、本日「大腸がん」であることを公表。電撃引退を明らかにしました。
体の不調を訴えたのは今月5日。
横浜市内の病院で診察を受けると「大きな病院での精密検査」を薦められ、
8日に「大腸がん」と診断されたそうです。
すなわち僕が「醜悪だ」と言った時には、彼の体は既に病に侵されていたのです。

現在、冬木は現在「腸閉塞」を起こしており、
16日に入院し、18日に手術を受けるそうです。
彼は、来月の5日に自らの新プロレス団体・WEWの旗揚げ興行を控えており、
手術に成功しないと、自身の旗揚げ興行が「追悼興行」となってしまうのです。

手術の成功を願うばかりです。




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