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新日本キック2002年5月26日

お疲れ様です。高倉です。
新日本キックボクシング協会の興行を観戦してきました。

今回の新日本キックの興行の目玉は、なんと言ってもエース・武田幸三の、
ムエタイ二大スタジアムの一つ・ラジャダムナン・Jrミドル級王者への挑戦です。
K−1・W−MAXの開催で、再び隆盛期を迎えつつある日本キックボクシング界。
小比類巻選手や魔裟斗選手は、残念ながら世界の頂点に立つ事は出来ませんでしたが、
ギャラの良いK−1への出場を辞退し、打倒ムエタイに専念する彼なら、
きっと、この偉業を成し遂げるでしょう。

ルールについては「K−1+ヒジ打ちアリ」だと思えば良いでしょう。
また、体重別の設定がかなり細かいレベルで設定されています(5kg刻み)。
ちなみに、ムエタイルールでは、パンチやローキックより、
ミドルキックやハイキックが重要視され、ダメージより手数がポイントになります。

では、観戦記です。

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14:00
こんな時間から、後楽園ホールにて立見席を4000円で「無事」購入。

何と言っても、今日の新日本キックの興行は「武田の『ムエタイ王座挑戦』」がメインイベント。
前回の前哨戦ですら、後楽園ホールにはその「武田人気」で、
ギュウギュウになる程の人だかりが出来ていたのに、
いざ、その本番興行ともなれば、そりゃあ、前回以上の客が入るのは陽の目を見るより明らか。
となると、今日は立見席の購入は「かなり難しい事になる」と考えていた。
だから今日は、興行の開始時間は17:00ではあったものの、
この時間からチケットを購入しないと、
当日しか発売しない立見席は安心して買えないように思ったのだ。

逆に言えば、今の「武田が参戦する『新日本キック』興行」は、それくらい人気がある。
ひたむきにムエタイに挑戦する武田。応援する各雑誌や関係者。
たったそれだけの事が、後楽園を超満員にする。日本は「武道の国」である。

とりあえずは、無事チケット購入。いざ観戦モードに突入!



…するには、まだ時間がありすぎる。どうしよう。

14:30
昼飯も食わずに移動したので腹が減った。
食事すべく、JR総武線にて秋葉原へ移動。

秋葉原で食事…とは言っても、もちろん電気街口の方へは足を運ばない。
その足を神田方面へ向ければ、そこは国会議員達もご用達の料理屋がゴロゴロしている。

今日は老舗の蕎麦屋である「まつや」にて、
「胡麻そば」でも食べようかなぁ…、なんて思っていた。
ところが、「まつや」の前に来ると店は真っ暗。

「あれぇ、『まつや』って日曜日は休みだったっけ?

 ・・・。

 まぁ、いいや。いつもの所に行くか…。」

と、更に老舗の蕎麦屋である「藪そば」へと向かう。

14:45
「藪そば」に入店。
お昼には並ばなくては入れないこの店も、この時間ならスンナリと入れる。
店の奥から「いらっしゃいぃ〜〜〜〜〜」という、
この店独特の節のついた挨拶が返ってくる。

ここの蕎麦は旨い。
どれくらい旨いかと言うと、うどんばかり食っていて、
そばとは無縁だった僕が、その味から蕎麦の旨さに目覚めた程だ。

「せいろそば(もりそば)」は、一つ600円とさすがに高めのお値段。
しかも、量が少ない。メチャメチャ少ない。
大口を開ければ、恐らくは二口で食える程の少なさ。
したがって、一人前を食べるなら、二つは注文しなくてはならないのだ。
高々「もりそば」を食べるのに、貴方は1200円を払えるか?
ここは、読んでいるあなたは、迷い所でしょうな。

んで、書いている僕は、そんなあなたの事を想像しながら、
蕎麦を食べるわけですよ、ズルズルと音を立てて。
イヤイヤ、旨いねぇここの蕎麦は!

ちなみに「まつや」の外観参考資料
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/cybersoba/images/Shop/Matsuya01.jpg

「藪そば」の外観参考資料
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/cybersoba/images/Shop/Yabu.jpg

15:30
食事も終えて、秋葉原を散歩。

散歩向きじゃないよなぁ、この街。殺風景な上に、無意味に人が多い。
ゲーセンにでも入って、ボヤボヤ時間をつぶすかぁ。

ん?
このゲーム、面白いな。

16:35
年甲斐もなく、やり始めたゲームに夢中になってしまい、
気がついたらこんな時間。

「・・・。

 しっ、しっ、しまったぁ〜っ!
 折角、今日は『メチャメチャ混雑する』って予想してたのに…、

 あああああ、良い場所が残っていれば良いんだけど。」

立ち見なのに、こんな時間にこんな所でボヤボヤしてはいけません。
慌ててJR総武線にて水道橋へと戻っていく。

16:55
会場入り。立見席を見てみると…。

「お、お、遅かった…。」

もはや、2F南口の立ち見も、3F西口も東口も、
見易い場所は、既に人でごった返していた。
さらには、その後ろに、そのまた後ろにですら人の山がある始末だ。
ああ、僕は何の為に早く来たのか?
まさにこの光景の中でも楽に観戦するために、早く来たのではないのか?
竜頭蛇尾とは、まさにこの事。

「チケットを買った所で満足した僕がバカだった…。」
人々の山から僅かに覗くようにしながら観戦開始。

---

前半戦はダイジェストで。

第1試合 ライト級 3回戦
○鈴木 裕(治政館) vs ショットガン 栗山(野本)●
[1R 2分49秒 KO]

一方的展開。若い鈴木(17歳)が膝と右ストレートで栗山(27歳)を圧倒した。
最後も右ストレート。栗山2度目のダウンを立てず。

第2試合 フライ級 3回戦
○山下 雄介(伊原) vs 林 ライス(ホワイトタイガー)●
[3R 2分23秒 KO]

両者ガンガン打ち合うが、2Rには共にスタミナ切れ。
それでも3R、組んでからの膝連打で立て続けにダウンを奪った山下の勝利。

第3試合 ヘビー級 3回戦
△田久保 克己(伊原) vs 宮崎 隆一(藤本)△
[判定 0−0]

田久保の方が、左ストレートと膝とミドルでプレッシャーを与えていたように思えたが、
宮崎もよく粘って反撃。3Rは両者のスタミナ切れのせいでクリンチのシーンが目立った。

第4試合 ウェルター級 3回戦
○中澤 賢(治政館) vs 小林 昇平(宇都宮尾田)●
[3R 1分56秒TKO(レフェリーストップ)]

最初は若さに勝る小林が右腕を軸とした攻撃で圧倒したが、
2R中盤、中澤は右ストレートとアッパーをカウンターで食らわせた。
これで一気に動きが悪くなった小林を中澤は良く攻めた。
3R、小林のストレートで目尻をカットした中澤ではあったが、
最後は右フック連打と肘攻撃。棒立ちになる小林、レフェリーが試合を止めた。

第5試合 ミドル級 3回戦
○青木 克真(トーエル)vs 山崎 康臣(宇都宮尾田)●
[判定 3−0]

守りに入るとガード一辺倒になる山崎を大振りなフックで攻めたてる青木。
一方的な展開だったのでKOが期待されたが、固いガードの山崎を攻略出来ず。
ちなみに、山崎は1Rにドロップキックを出していました。
一応、これはキックの範疇に入るのか?

第6試合 55.5kg契約 5回戦
△小川 和宏(治政館) vs 愉 正善(韓国・博光)△
[判定 0−0]
※「愉」の字は、正確には「小」の部首が無い文字です。

ここからは5回戦。さすがに両者共、最初からは打ち合いません。
1Rは軽い打ち合いであっという間に流れていきました。

んで、残りの2R〜5Rは、
両者、距離が開くと打ち合って、距離がつまるとクリンチからの膝合戦。
ラウンドが進むたびに、クリンチの割合いは高くなっていった。

この時、小川の膝の方が破壊力で勝っていたのか、
愉は5Rになると、クリンチするとコヒばりの背向けを何度も見せた。
でも判定はドロー。立ち技の典型的膠着試合。

第7試合 ライト級 5回戦
○マサル(トーエル) vs ジャッカル黒石(治政館)●
[判定 3−0]

1Rは、前の試合と同じく様子見ラウンドに。
お互い、距離を空けての簡単な打撃に終始。

2R、エンジンのかかったマサルが仕掛けた。
距離を空けてからの打撃、組んでからの回転式の肘打ち。
3Rからは、旗色の悪くなった黒石は投げを多用するようになるが、
マサルはどんどんプレッシャーをかける。
4R、組み合ってからの肘と膝を繰り出す両者、勝っていたのはマサル、
これを上手く切り返して投げを打っていたのは黒石。
5R、マサルはミドルをクリーンヒットさせ、石黒の動きを鈍らせる。
が、お互い、決定力を欠いたまま試合終了。
「ドローもありえるかな?」と思ったが、ジャッジは3名共にマサルだった。
でも、この試合も、膠着試合の類だと思う。

---

休憩前には、ちびっこによるエキシビジョンマッチが開かれた。
1R1分による試合が2試合。客席からはヤンヤの歓声が上がる。

それにしても、歳で行けば12歳位であろう子供達でも、
ちゃんと自分のスタイルを持っていたのには驚いた。
・カウンター待ちタイプ
・猪突猛進タイプ
・パフォーマンス優先タイプ

三つ子の魂、百まで。
恐らく歳を取っても、彼らのスタイルは変わらないんだろうなぁ。

---

10分の休憩の後で、伊原会長がリングにジャンプイン。
名物にもなっている挨拶が始まった。

伊:「武田幸三は、勝ちますかぁーッ!」
客:「ウオォーーーッ!」
伊:「勝ちますかあああぁぁぁーッ!」
客:「ウオオオォォォーーーッ!」
伊:「勝ちますかああああああぁぁぁぁぁぁーッ!」
客:「ウオオオオオオォォォォォォーーーッ!」

相変わらず、気合入ってるなぁ。

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第8試合 セミファイナル第1試合 68kg契約 5回戦
○北沢 勝(藤本/日本ウェルター級チャンピオン) vs 頼信(トーエル/日本ウェルター級3位)●
[4R終了時点 判定3-0]

前回は鷹山を終始圧倒しながら、不可解な判定でドローになってしまった北沢。
今日はすっきり勝って、中年パワー(32歳)の本領を見せたいところだ。
対する頼信は22歳。14戦9勝7KO。
若い上に戦跡も上々、KO率も高いファイター。この先が期待できる。

ちなみにこの北沢という人、
プロフィールがかなり面白いので紹介。

(以下、3/24新日本キック興行用パンフレットから9割9分引用)
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元々はスラッシュメタルバンドのメンバーだった北沢。
ある日、自分の姿を鏡で見て「気持ち悪いなぁ」と思い、
ダイエットの為にキックボクシングを始めたのだそうな。
ちなみに新生UWFのファンだった北沢は、
安生 vs チャンプアにおけるチャンプアの動きに魅了されていたんだそうだ。

この時の北沢の年齢は25歳。格闘技を始めるにはちょっと歳を取り過ぎている。
故に、本人もプロデビューする気はなかったらしい。
入門後3ヶ月で腹筋が割れたので、本来の目的であるダイエットの方は大成功。

そんな北沢に転機が訪れる。
入門してから一年、自分の師匠格だった鴇稔之が、
ワンダーマン室戸戦で2連敗してしまったのだ。
「この野郎!室戸、ぶっ飛ばしてやる!」と心に誓った北沢は、
94年11月にライト級でデビューする。
最初はタフネスと根性を武器に破竹の快進撃を続けたが、
第10戦以降は勝ち星に恵まれなくなってしまった。

これは、現在の北沢の階級を見ると分かるとおり、
本来ウェルター級の体格である北沢が、
ライト級で戦う事に対する「ムリ」が出てきてしまったのだ。
試合の1ヶ月半前からほとんどまともなものを食べず、
一日に摂る食事はポテトチップス一袋という、かなりトンパチな自己流減量方法。
時には利尿剤まで使って体重を絞り込んだそうな。
そのおかげで、体は次第にボロボロに。
体内の水分は不足し、目が開かなくなったり、膝関節もガタガタになったりしたらしい。
試合どころか、練習もロクに出来ない状態になった事も。

何で、そこまでしてライト級にこだわったのか?
室戸戦の事もあるのかもしれないが、決定的だったのは、
酒の席で元ライト級王者だった新妻聡の一言。
「俺の(持っていた)ベルト、お前が捕って来てくれるんだろう?」
憧れの先輩の言葉に、嬉しさのあまり「そりゃあもう、やりますよ!」と言った手前、
階級を上げる訳にはいかなかったらしい。なんだか「蒲田行進曲」みたいな話だな。

これで北沢は同階級のチャンピオンになれば話はキレイなのだが、
現実はそうは行かない。98年11月、鷹山真吾戦にて北沢は痛恨の体重オーバー。
この頃には、利尿剤を飲んでも尿が一滴も出ない状態だったそうだ。
脳の水分すら不足し、下手したら命も危ない状態。
見かねた小野寺力が「体重を落とす競技じゃないんだからっ!」と一喝。
新妻も「お前ねぇ、次からはウェルター級でやれよ。」とお許しを出す。

んで、体重をウェルター級に調整したら、これが破竹の快進撃!
3連勝の後、武田幸三とも判定で敗れたが互角の勝負を演じてしまう。
これでは、関係者の中には「早くウェルター級にすれば良かったのに…」
と呆れていた人もいただろうなぁ。

ところが、この後4連敗。
スランプに陥った北沢だったが、まったく別な方向から朗報が飛び込む。
それは、活動休止中だったバンド仲間からの話だ。
「レコード会社から、バンド復活しないかって話があった。
 他のメンバーはOK、あとはお前だけなんだ!」
これまでもCDを4枚リリースしていたバンドのドラマーだった北沢は、この話にかなり迷った。
「負け続きな上に、年齢も年齢なだけに、もうキックも潮時かなぁ…。
 ま、次の試合が終わってから考えることにしようっと。」

問題は混迷化する。次の試合でTKO勝ちしたからだ。
さらには、今年1月には米田克盛を下して、ウェルター級の頂点に立ってしまった。
これにはバンドメンバーも呆れ顔。「お前は好きな事やれよ…」と半分諦めているらしい。

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今年で33歳になる北沢。
愛すべきトンパチが、キック界にも存在する。
ちなみに対戦相手の頼信は、前チャンピオンである米田の弟。兄のカタキは討てるか?

1Rは、距離を置いての打撃戦。お互いにパンチとローを繰り出していたが、
優性に進めていたのは頼信。身長を利してのコンビネーションで北沢からポイントを奪っていく。

この攻撃の突破口を見出せずにいた北沢だが、
2Rになると、頼信の攻撃を見切ったのか急に動きが良くなった。
至近距離からの右肘の連打、カウンターのパンチ、ローキックで逆に頼信を苦しめる。
3Rでは距離を詰めてのローと膝、そして得意の右肘をガンガン叩き込んでいく。
頼信はこの攻撃で顔もボディも真っ赤だ。それでもパンチと膝で良く応戦している。

4Rになっても、北沢の攻撃は止まらない。
この選手、決してKO性のある一撃が出せる選手ではないものの、
とにかく技が多彩だ。投げも上手いし、肘も上手い。
ミドルも良いのが入っているし、膝も数が多い。
頼信もパンチや膝で良く反撃してはいるものの、
僕は「こりゃ、北沢の判定勝ちは動かないかなぁ…。」なんて予想をしていた。

5R、組んでからの肘と膝合戦、ブレイクした後に頼信が誤って北沢に肘一閃。
これで北沢は左目を負傷。ドクターストップ。
但し、ブレイク後の攻撃による負傷の為に、4Rまでの試合結果によるジャッジ判定へ。
勝者は北沢だったが、しきりに謝る頼信と「仕方がないさ」と諭す北沢の姿がやけに痛々しかった。

第9試合 セミファイナル第2試合 日・韓ライト級62.5kg契約国際戦 5回戦
○石井 宏樹(藤本/日本ライト級チャンピオン)
   vs
●朴 炳圭(韓国・博光/韓国ライト級チャンピオン)
[判定3-0]

1Rから両者は打ち合う。石井は重いパンチとローキックを主攻撃に、
朴はボクシングのようなボディから顔面パンチへのコンビネーションを主体に打ち合う。
石井のローキックは重く、朴の足に当たる度に乾いた良い音がする。
対する朴のコンビネーションも素早く、決して侮れない。
両者共にKO率は低いものの、この試合は1Rから好勝負の予感がする。

2R、石井がローキックを基点とした左右パンチのコンビネーションで攻めれば、
朴は左右のパンチ、左による下から上への連続パンチで攻めたてる。
パンチを出せばパンチが交差し、キックを出せばキックが交差する。
ガッチリ組み合った両者ファイトは、観る側を次第に虜にしていった。

3R、石井、今度はハイキックを散りばめながらローキックを打つ。
対する朴も、1歩も引かずにパンチの連打。
石井がキックを織り交ぜたラッシュを繰り出せば、朴はパンチによるラッシュで答える。
噛み合った試合だったが、両者の均衡がやや崩れる。
石井のローキックが朴に効き始めたのだ。
ローキックで体がぶれてしまった朴に、石井はさらにローキック。
しかし朴も負けてはいない。ハイキックを出しつつ、パンチで相手に威勢良く飛び込んでいく。

4R、石井はここで徹底したローキックの連打。
パンチからのロー、ミドルを打ってロー、相手のハイをスウェーでかわしてのロー。
さすがの朴も、パンチで良く応戦はするも下がる場面が目立ってきた。
5Rも変らず、石井はロー、ロー、ロー。とにかく執拗なまでのロー連打。
朴は棒立ちになる場面が増えてきたが、決してダウンせず、
しかも最後までパンチのコンビネーションで石井に向かっていった。
試合終了のゴング、良い試合をした両者に万来の拍手が起きた。

判定は3−0で石井。しかし負けた朴にも惜しみない拍手が起きていた。
それにしても、ここまでクリンチのないキックの試合も珍しいなぁ。

第10試合 セミファイナル第3試合 日・泰フライ級52kg契約国際戦 5回戦
○深津 飛成(伊原/日本フライ級チャンピオン)
      vs
●トーンバンチャン サックテーワン(タイ/泰国フライ級)
[判定2−0]

前回の興行では、挑戦者を一方的に下してタイトル防衛、
天国に行ったトレーナーに捧げる試合を白星で飾った深津。
今日の相手は、深津の苦手なムエフィームタイプ。勝つことは出来るのか?
(ムエフィームタイプとは、ミドルキックでポイントを稼いで勝利するタイプの選手の事…だそうな)
それにしても…。深津は24歳、44戦30勝。
この年齢にしてこの戦跡は日本人では中々いないと思うのだが、
トーンは年齢23歳、79戦60勝。ムエタイという競技の底の深さを感じる。

1Rは距離を置いての打撃戦。
組みつかれて、トーンに首相撲で簡単に投げられてしまったりしたものの、
深津はストレート、ボディ、ローと打撃で勝負する。
対するトーンはムエタイ式のミドルキックやハイキックで応戦。
2R、やはり距離を置いての打撃戦に終始。
深津はパンチ主体、トーンはミドルキック主体だ。

3R、試合が動く。
トーンのミドルキックのカウンターで出した深津のミドルキックがクリーンヒット。
スタンドでうめくトーンに対して、
深津はさらにローキック、ミドルキック、パンチラッシュで攻め立てる。
しかし、トーンもミドルキックで応戦するのを忘れない。

4R、パンチのコンビネーションで向かっていく深津だが、
イマイチトーンを攻めきれない。トーンのミドルを警戒しすぎている印象。
5Rも、プレッシャーを掛けているのは深津なのだが、
トーンは下がりながらもハイキックやミドルキックで抵抗している。
これに対して深津は、やはりあと一歩の間合いで躊躇している。

結局終了のゴング。深津、トーンに逃げられる。
判定で勝ちを得たものの、深津はこの勝利に不満げだった。

第11試合 メインイベント第1試合 日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦
○小出 智(治政館/日本フェザー級チャンピオン) vs 鈴木 敦(尚武会/日本フェザー級1位)●
[判定3−0]

両者の応援団の激しい声援と共に始まったタイトルマッチは、波瀾の展開に。

1R、リーチに優る鈴木はローキックとパンチのコンビネーションで、
ガンガン小出を攻めたてる。そんな中、鈴木の右ストレートがクリーンヒット。
ぐら付く小出を鈴木はさらに攻めたてる。試合のペースは完全に鈴木のものだ。
これには、鈴木応援団から大歓声が巻き起こる。

2R、さらに鈴木はローキック、顔面前蹴り、肘でチャンピオンを追い詰める。
特に、顔面前蹴りは何発もヒットしていた。もはや鈴木の勝利は時間の問題か?
しかし、ここからが王者の意地。
接近戦に持ち込むと、小出はパンチのコンビネーションで逆に鈴木を攻めたてる。
これには、落ち込んでいた小出応援団から大歓声が起こる。

3R、2R中盤からの小出ペースがさらに続く。
右フックは連続ヒット、鈴木は1Rや2Rで見せたローキックがすっかりナリを潜めてしまった。
こうなると試合は小出のもの。ボディ&顔面へのパンチ,
腰の入らない鈴木のローキックを食らうと、小出は逆にバカにしたように腰を振って対抗、
ハイキックからフックというコンビネーションで試合を優位に運ぶ。
そして4R、5Rとこのペースが代わる事はなかった。
右フックが冴え渡り、KOこそなかったものの、鈴木は最後まで防戦一方。

判定は3−0で小出。
あの不利な状況からの勝利を支えたものは、チャンピオンの意地か?

第12試合 メインイベントファイナル 
泰国ラジャダムナンスタジアム認定ジュニアミドル級タイトルマッチ 5回戦
○サゲッダーオ・ギャットプートン(タイ/チャンピオン) vs 武田 幸三(治政館/3位)●
[1R 58秒 KO(左ストレート)]

いよいよ、この時が来た!武田幸三、二冠王への挑戦だ。
待ちに待った、試合を前に、客席は興奮状態を押さえられない。

武田入場、おお、花道ではなく2F南口の入り口からの登場だ!
通路を通っての入場シーンに、観客が大いに盛り上がった。
対するサゲッダーオも同じ入場方法。
これを静かに、されど畏敬の念を込めて見守る客席。

両者入場。日本語、泰国語による認定書宣言、
両国の国家吹奏、両者によるワイクーの舞。
じれったい演出の数々が、逆に客席の興奮状態をさらに煽る。
選手のコールは、青コーナーであるにも関わらず、武田の方が後だった。
紙テープが洪水のように投げ込まれ、リングは「紙浸し」に。

…それにしても、両者の体格差がちょっと気になる。
でも、前回武田は同階級の選手を一方的な試合で下している。
「まあ、なんとかなるだろう」と、この時点では思っていた…。

試合開始、距離を取る両者。
しばらく様子を見ていたが、不意にチャンピオンが近づいた。
両者組み合って、互いに膝を繰り出すと、離れ際にパンチの応酬。

そして、この時だった。
チャンピオンの左ストレートが一閃!

もんどり打って倒れる武田。



完全の伸びていた。
立つ気配、なし。



事実を受け入れずに、
ただただ呆然とする後楽園を埋め尽くした大観衆。
あまりにも、あまりにもあっけなさ過ぎる終幕。
日本人による二冠王の頂(いただき)も見せてくれない、絶望的な結末。
リング上のチャンピオン陣営だけが勝利を実感し、興奮している。

その後も武田は自力で立つ事が出来ず、担架で運ばれて行った。
その姿を見た観客が、ようやく「武田の惨敗」という事実を受け入れ、
静かに後楽園ホールを後にしていく。

武田の二冠王の再挑戦は、あるのだろうか?

---

雑感:
とにかく、メインの衝撃が大きいです。
今日は、それ以上でもそれ以下でもない気がします。

強いて言うなら、全体的に膠着試合が多かったのが気になりました。

---

以上、長文失礼。



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