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全女「駅前広場興行」2002年8月18日

お疲れ様です。高倉です。

飽きもせず続いていく観戦記。
今回は、ひょんな事から、「全日本女子プロレス」を観戦してきました。

全日本女子プロレス(以下「全女」)は、昭和43年に創立した、
男子プロレス団体と合わせても、全てのプロレス団体の中で最古の団体です。

昭和の頃の「全女」は、
男性人気より女性人気によって支えられていた団体でした。
女性心理はよくわかんないのですが、
人気の根本は「宝塚」と同じようなものなのでしょう。
そんな中、「全女」は時代の中で、時折、大スターを排出します。
女子プロの事を知らない人でも、「ビューティーペア」の名前や、
「クラッシュ・ギャルズ」や「ダンプ松本」の名前は誰もが知っているでしょう。

しかし。

「プロレス」が世間一般に認知されるようになった平成以降は、
「全女」からは突出したスターが誕生しなくなりました。
「男子プロレス団体との交流」、
「『25歳・引退制』の廃止」、
「所属レスラーの芸能界進出」等、
時代に合わせて、古い仕来たりをなくしていった「全女」。
これらの行為で、確かに認知度は上がる事にはなりましたが、
反面、爆発的な人気を得るのを自ら難しくしているようにも見えました。

それでも、平成以降も安定した人気を誇っていた全女でしたが、
経営基盤がいいかげんだったのか、平成9年に突然の「倒産」宣言。
この後に「全女」からは所属選手が次々に大量離脱します。
つい先日も、「全女イズムの体現者」として名を知られた豊田真奈美選手が離脱。
現在の「全女」は、来年の創立35周年を前に、
「完全崩壊」の危機を迎えています。

今回、僕は友人のPON君のお誘いで全女を観戦し、
この観戦記を書きましたが・・・。

この興行は、東京近郊の興行であるにも関わらず、
週刊プロレスにも取り上げられませんでした。
多分、写真から出てくる「興行の暗さ」に編集部がNGを出したのだと思います。
僕自身も正直、興行自体から明るい材料を見出せず、
書き出す度に気持ちが重くなって筆が止まり、
完成させるのにいつも以上の時間を費やしてしまいました。

この観戦記から、今の「全女」の深刻な状況を感じてくれると幸いです。

---

○某月某日、PON君との電話。

PON:「あの〜、高倉さん、8月18日って何か予定あります?」

高倉 :「う〜ん、確かその日は何もなかったような気がするなぁ・・・。
     どれどれ、ちょっと調べるから、待ってろよ。

     (週プロ及びSRS-DX最新号をパラパラとめくる)
     う〜ん、やっぱり何にもないねぇ・・・。

     あっ、思い出した。
     そもそも、この日は何も予定を入れずに休もうと思ったんだった。」

PON:「あぁ、そうなんですか。それは、丁度良かったです。」

高倉 :「へっ!?何で!?」

PON:「あのですねぇ・・・、
     その日には僕の地元の『東小金井駅前広場・特設会場』で、
     全日本女子プロレスの興行があるんですけど、
     実は、ここにその興行の優待券があるんですよ!」

高倉 :「・・・(考え中)・・・(考え中)・・・(まもなく結論)・・・!!!(絶句)
     え〜っ!!この日は休もうと思ったのに、またプロレスかよっ!」

PON:「だって高倉さん、千円ですよっ!千円でプロレスが見れるんですよっ!」

高倉 :「まあ確かに、5月2日の新日本プロレスの東京ドーム興行での、
     彼女達の活躍は素晴らしかったけど、
     今週、観戦するのはちょっとナァ。体も休めたいしねぇ・・・。」

PON:「(遮って)高倉さん、千円ですよっ、千円なんですよっ!」

高倉 :「いや、その値段の安さは確かに魅力的だけど、でも今週は・・・」

PON:「(語気強く)千円ですよっ、千円っ!」

高倉 :「イヤ・・・、やっぱり今週は辞め・・・」

PON:「(さらに語気強く)千円ですよっ、千円っ!」

高倉 :「あのぉ・・・」

PON:「(無視しつつ)ヨシッ、決定ですねっ!」

高倉 :「僕の意思は・・・」

PON:「(自身満々に)大丈夫ですよ、高倉さん!
     当日は僕が美味しい『もんじゃ焼き』屋を紹介しますから!」

高倉 :「えっとぉ・・・、僕はあんまり・・・、
            『もんじゃ焼き』は好きでは・・・」

PON:「(爽やかに)じゃあ、当日は宜しくお願いします!(ガチャッ!)」

高倉 :「(ツー、ツー)・・・・・・。(唖然)」

熱意に押し切られてしまった・・・。

---

○8月15日

●13:00
前日徹夜した影響で、今日は遅い目覚め。

ボーっとしつつ窓から外の光景を見ると、雨がシトシトと降っていた。
「雨の日の外出は面倒だなぁ」等と思いつつTVを見ていると、気象情報の速報が。
なるほど、どうやらこの雨は台風13号の影響によるものらしい。
今年は良く台風が来るよなぁ、
北海道に住んでいた頃は台風なんて気にも留めなかったが・・・、
なんて事を考えていたが、ある重要な事を思い出し、PON君に電話する。

PON:「あ、高倉さん、こんにちは。」

高倉 :「(少し慌てつつ)PON君っ!
     全日本女子プロレスの観戦日って、確か今日だろっ!」

PON:「ハイ、今日は宜しくお願いします。」

高倉 :「外の天気は見たか?」

PON:「止みそうにもない雨がシトシトと降ってますねぇ。」

高倉 :「確か、今日の会場って、『野外』じゃなかったか!?」

PON:「全くその通りですよ。
     んで、今日の興行が中止かどうかを、
           全日本女子プロレスの事務所に連絡したんですよ。」

高倉 :「(対応の速さに驚く)おおっ!?・・・んで、どうなの?」

PON:「それが、『開催場所の状況を見ないと、何とも言えない』、
          って言われましてねぇ。」

高倉 :「う〜ん、何て曖昧な返事なんだ・・・。んで、君は行くのかい?」

PON:「僕は近場ですし。それより、高倉さんはどうするんですか?」

高倉 :「それなんだよ。行ったは良いけれど、
     結局は無駄足になったんじゃ、交通費の払い損だからねぇ。」

PON:「まぁ、来ても無駄足にはならないとは思いますよ。
     美味しい『もんじゃ焼き』も待ってますし。」

高倉 :「え〜っ!?
     だからぁ、僕は『もんじゃ焼き』は好きではないって・・・。」

PON:「(遮って)高倉さん、美味しい『もんじゃ焼き』ですよ。」

高倉 :「だから好きじゃないって・・・。」

PON:「それは本当の美味しい『もんじゃ焼き』を知らないからですよ。」

高倉 :「イヤ、この意見は、
     僕自身が本場・月島の『もんじゃ焼き』を食べた上での結論で・・・」

PON:「(また遮って)あ〜っ、わかんない人だなぁ、この人は!

     あのですね、高倉さんっ!
     この際、『もんじゃ焼き』を食べるかどうかは問題ではないんですっ!
     貴方は、目の前に『美味しいもの』がぶら下がっているのに、
     それを見過ごそうとしているんですよっ!」

高倉 :「おいおい、それは論点のすり替え・・・」

PON:「高倉さん、『美味しい』んですよっ!」

高倉 :「イヤ・・・、あの・・・、」

PON:「『美味しい』んですよっ!」

高倉 :「・・・・・・・・・。

     ・・・やっぱり何を言っても無駄ですか?」

PON:「良くわかっているじゃないですか(キッパリ)。」

高倉 :「・・・・・・・・・行きます・・・。」

PON:「じゃ、待ち合わせは高円寺という事で。よろしくっ!(ガチャッ!)」

高倉 :「(ツー、ツー)・・・・・・。(呆然)」

またしても押し切られてしまった・・・。
それにしても、このPON君のテンションの高さは何なのだろうか?

●15:30
JR高円寺駅に到着、待ち合わせたPON君の案内で、雨の中、高円寺周辺を散策。

僕は初めて高円寺を訪れたのだが、中々に面白い街だ。
駅の北口には、色々なお店が立ち並んだ商店街が幾重となく交差しているのだが、
昔ながらのお店と今風のお洒落な店とが混在して、独特の雰囲気を醸し出す。
中々、散歩人の心をくすぐる街ではあるのだが、
降ったり止んだりを繰り返す今日の天気では、歩く足もどこか重い。
晴れていれば、もっとテンション高く散歩が出来たのだろうが。

ちなみに、北口から奥の方へ歩くと、
WWEの中継やPPVの映像をそのまま流してくれるカフェがある。
http://www.tfm.co.jp/tokyotopics/2002/20020605.html
但し、PM 6:00 〜 AM 6:00 の超夜型営業なので注意。

高倉 :「ふ〜ん、面白い街だねぇ。こりゃ、歩き飽きなくて良いよ。
     雨さえ降ってなければ、もっと楽しいんだろうけどねぇ。
     ・・・んで、そろそろ腹が減ってきたんだけど。」

PON:「そうですよねぇ、そうなんですけどねぇ。」

高倉 :「ん?お昼は『もんじゃ焼き』じゃなかったの?」

PON:「イヤ、実はそれが問題でして。

     高倉さん、今日は『もんじゃ焼き』以外のもの、食べる気あります?」

高倉 :「What!?

     あれだけ、『もんじゃ焼き』って言われたら、
     もうそれ以外のものを口にする気にはなれないよ。」

PON:「そうですか、それは残念です。」

高倉 :「大体、『もんじゃ焼き』を誘ってきたのは君の方だろ。
     それを今更、変えるなんて、どう言う事だよ?」

PON:「重大発表があるんです。



     店の場所がわからなくなりました(キッパリ)。」

高倉 :「・・・。」

PON:「どうしましょう?」

高倉 :「・・・・・・。(哀)」

あまりに堂々としているので、思わず怒りそこねてしまった。

●16:30
しかしながら、あれだけPON君が太鼓判を押していた「もんじゃ焼き」、
このまま食べられないのも、何やら癪にさわるというもの。

雨の高円寺の街を練り歩き、同じ道を何度も往復し、
道行く人々に店の情報を訪ねまくる事、約一時間。
やっとの思いで『浜作』高円寺店を発見。

『浜作』本店の紹介記事
http://www.yakiyaki-net.com/tanken/report/026/index.html

PON:「高倉さん、やっと見つけましたねっ!」

高倉 :「おおっ、あの看板には確かに『浜作』の文字がっ!」

PON:「北口を出て、左方向の路地の奥へとわけいった場所にあったんですね。」

高倉 :「こんな目立たない場所じゃ、中々、見つからないのも頷けるな。」

PON:「ここは、東京ではかなりの老舗の『もんじゃ焼き』屋の分店なんですよ。
     本店は町屋だかのほうにあるそうで、
     一説によると「もんじゃ発祥の地」とも言われているそうです。」

高倉 :「ほほぅ、詳しいねぇ。」

PON:「でも、昨年から始めた、この高円寺の分店は、
     この立地条件の悪さのせいか、まだほとんど回ってないそうなんですよ。
     味は保証書付きなんですがねぇ。」

高倉 :「う〜ん、商売というのも難しいねぇ。」

PON:「でも、まあ、今の内に通いつめていれば、
     30年後には『この店も、昔はねぇ・・・』なんて、
     自慢できますよ、きっと!」

高倉 :「30年後って、又、随分、先の話になるなぁ。」

PON:「さて、行きますかぁっ!」

テンションを上げつつ、二人はお店の前へ向かい・・・。

PON:「・・・アレッ?」

高倉 :「P、P、PON君、コレは一体・・・!?」

PON:「あら〜っ、閉まってますね、シャッターが。」

高倉 :「・・・。」

PON:「定休日なんでしょうかね?
     それとも、この時間はお休みなんでしょうかね?」

高倉 :「・・・。」

PON:「どうしましょうかね?」

高倉 :「・・・・・・。(絶句)」

今日のPON君は凄い。
中々、段取りを決めても、こうまで人を罠に嵌めるのは難しい。

●17:00
結局は高倉の提案により、吉祥寺に場所を移して食事をする事にする。
JR中央線にて吉祥寺へ移動。

吉祥寺は、高倉が古くから散歩を繰り返している街である。
この街の散歩の魅力は、通りによって性格が全く違う事にある。
「井の頭公園」方面に歩けば、『いせや』で焼き鳥を食べてから公園を一周。
「サンロード」のアーケードの下を歩けば、パルコやロフトでの買い物を楽しむ。
「東急裏」あたりを適当に徘徊すれば、
お洒落なブテッィクや料理屋に目移りしまくり。
これら全く機能の違う通りが混在するのが、この街の魅力である。
PON君は「ちょっとお洒落すぎて、僕は高円寺の方が良い」と言うが、
僕はこっちの方が好きだ。

んで、先ほど満たし損ねた腹を埋めるべく、
今日はグルメの超激戦区である「東急裏」へ移動。
今日は、高倉の紹介で、にんにく料理屋「ガーリック・キッチン」へ入店。

「ガーリック・キッチン」
http://www.goodcook.co.jp/g.1.html

何と言っても、ここはお勧めは「特製ガーリックトースト」だ。
この店独特のガーリックバターをたっぷりと塗った、焼きたてのフランス・パン。
シンプルな料理だが、焼きたてのパンの柔らかさと、
ガーリックバターの奥深い味が絡まって、
思わず酒がどんどん進んでしまう「魔性の味」だ。
正直、全体的な料理の値段はやや高めなので、
食べ過ぎ・飲み過ぎには注意はして欲しいが、
それでも、あのガーリック・トーストを食べてしまうと、
酒が好きではない僕でも酒が欲しくなる。

そんなこんなで酒も進み、気前良く他のガーリック料理を次々に注文していたが、
ふと外を見てみると、雨の降りがまた強くなってきているではないか。

高倉 :「あっ、また本格的に降り始めた。
     今日は降ったり止んだりが激しいねぇ。」

PON:「全くです。今日の全女はどうなるんでしょう?」

高倉 :「流石にこんなに雨が降ったのなら、中止なんじゃないの?
     こんな天気じゃ、屋外じゃ試合は出来んだろ、風邪引くよ。」

PON:「やっぱり、そうですかねぇ。
     でも、まあ、ここの料理を食べていると、
     もう、そんな事はどうでも良くなってきますねぇ。」

高倉 :「・・・・・・。(愕然)」

おかしいなぁ、今日の『ホスト』はPON君のはずなのだが。

●18:45
予定通りなら、全女はあと15分でスタートである。
しかし、僕達は未だに吉祥寺の中をウロウロしている。
雨は相変わらず降ったり止んだりで、
これでは本当に試合をやるのかどうかわからない。

しかも、先ほどから全女の事務所に、
何度も電話を入れているにも関わらず、一向に誰も出やしない。
一体全体、全女の社員教育はどうなっているというのか?

高倉 :「う〜ん、そろそろ時間なんだよなぁ。どうしようかなぁ?
     このまま家に帰って、
     K−1のラスベガス大会の中継を見ても良いんだよなぁ・・・。

     まあ、折角こんな所まで出てきたから、見たいなぁ・・・とも思うけど、
     この雨じゃ、何となく気乗りがしないなぁ。
     やっぱり僕は帰ろうかなぁ・・・。

     んで、PON君はどうするの?」

PON:「イヤ、僕はどうせ地元だから、
     やってたら見るし、やってなかったら帰りますよ。」

高倉 :「あっ、そうか・・・。」

PON:「で、高倉さんはどうします?」

高倉 :「・・・・・・。(困)」

今日はトコトンまで、PON君が得をするようになっている日らしい。
まあ、いいや。K−1まで、まだまだ時間もあるし、
僕も「駄目で元々」で、会場まで行ってみる事にするか。

●19:10
JR総武線にて、東小金井駅へ到着。
早速、PON君の案内にて、全女の会場になる『東小金井駅前広場・特設会場』へ。

PON:「あら〜っ、真っ暗ですねぇ。」

高倉 :「まあ、この雨じゃ、試合がないのも頷けるね。」

PON:「あ〜あ。結構、楽しみにしてたのになぁ。」

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観戦出来ずなかったのは残念ですが、
この雨では仕方ないでしょう。

以上、長文失礼。

















終わらない。

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高倉 :「・・・・・・・・・あれっ?
     看板に『日本歯科大学グラウンド』って書いているよ?
     ここって『東小金井駅前広場』とは違うんじゃないの?」

PON:「イヤ、駅前の広場って言うと、
     東小金井はここくらいしかないはずなんですが・・・。」

高倉 :「変だよ。普通、試合会場の告知って言うのは、
     その会場の正式名称を使うものだよ。
     だから多分、ここが会場って事はない、と思うんだけどなぁ・・・。」

PON:「そういうものなんですか?」

高倉 :「試しに、駅周辺を探してみようぜ。」

早速、二人は駅の高架橋に登った。
そして、その直後。

PON:「あっ、あそこ、リングが見えますよっ!
     あれが『東小金井駅前広場』になるんですねぇ。
     結局、さっきの場所は違ったんだぁ」

高倉 :「・・・・・・。(呆)」

またしても、罠に掛けられる所であった。危ない、危ない。

●19:30
会場である『東小金井駅前広場』に到着。
優待券により、会場費1000円を払って会場入り。

普段は駐車場にでもしていると思われる、本当に何もない『東小金井駅前広場』。
その周りをビニールで囲まれているだけの『特設会場』の前には、
松永会長をはじめ、全女のフロント陣が数名、
やる気もなさそうに椅子に腰掛けて、世間話をしている。

会場内では、リングの周りをパイプ椅子が、
四方を取り囲むように約400席ほど設置されていた。
その中を大体80人〜100人くらいの人が、
傘を差しながら座っていて観戦していたが、
フェンスの外にいる立ち見の人を含めても、今日は全部で200人位の客入りか。
客入りとしては、優待券をばら撒いたにも関わらず、
随分と苦戦している入りだと言える。
もっとも、この雨では無理して屋外で観戦しようとする人など少ないであろうが。

パンフレットを求めて会場内に設置されているテントを訪ねると、
そこには、手書きで書かれた本日の対戦カードが書かれていた。
今日は全5試合。シングル4試合にタッグが1試合。
随分、試合数の少ない興行だな。

内容の割には値段が高かったパンフレット(2000円)を読んで驚いた。
所属選手紹介欄で最初に紹介されていたのは、
先日、全女を退団した豊田 真奈美選手だったのだ。
恐らく、只でさえ金のない全女、
抜けていく選手が発生するたびにパンフレットを刷り直していたのでは、
いくらお金があっても足りないのだろう。

さらに読んで、今更ながらにさらに驚いた。
忘れがちだが、昔は20人以上はいたであろう所属選手が、
今の全女には、半分以下の11人しかいないのだ。
しかも、今日は「ナベちゃん」こと渡辺 智子選手が、
日テレの24時間TVに出演の為に欠場する。
その人数では、今日は逆にタッグ戦が1試合でもあるのが不思議なくらいだ。

シングルマッチ4試合 × 出場選手2名 = 8人。
タッグマッチ 1試合 × 出場選手4名 = 4人。
8人 + 4人 = 今日、興行を成立させるのに必要な人数、12人。

これに対して、全女・所属選手11人 − 欠場選手1人 = 10人。

「他団体から選手を借りないと、出場選手が足りないだろ?」
と思って、改めて対戦カードを見てみたら、JWPの選手を1人借りていた。
正直、同じく金のないJWPからなら、選手を安く借りれるのだろう。
しかし、それでも1人足りない・・・と思い、更に対戦カードを見てみると、
今日は納見 佳容選手が、第一試合とメイン・イベントに2試合出場。
イヤイヤ、少ない選手を切り盛りして興行を行うのは大変だ。

ここで急に、
隣のPON君が「トモちゃ〜ん、トモちゃ〜んっ・・・。」とうるさくなる。
どうやら、今日は本日欠場の渡辺 智子選手の観戦が目的だったらしいな。
まあ、あれだけ人を罠に掛けたのだから、
一つくらいバチが当たっても文句は言われないだろう。

試合が行われているリングの方を見てみる。
リングの天井には、
小さい建物の建築現場等で使われている夜間作業用の照明機材が、
寂しく一個だけ吊るされているだけ。
屋外であるにも関わらずリング上の雨を凌ぐようなものは何一つない。
リングの上は、既に雨でビショビショ。

最悪のコンディションのリング内では、
デビュー1年にして同期が全員退団した全女の若手の前村 早紀選手と、
新日本プロレスのG1準決勝興行にも出場していたJWPの春山 香代子選手が、
声を張り上げながら、一生懸命に試合していた。
試合はトップロープからのギロチン・ドロップで春山が勝利。

それにしても・・・。

団体は倒産、活気のない運営陣、次々に離脱する所属選手。
雲重く、真っ暗な空、照明は一個だけ、圧倒的に疎らな客。
降りしきる雨、雨を凌ぐ天井もなく、リングはビショビショ。

そんな最悪の状況の中でも、
一生懸命に声を出して試合をする出場選手達。

彼女たちは何の為に闘うのだろうか?

倒産した団体の為か?
・・・団体を再建するにも、
優待券を配った上でこの客入りでは、今日は赤字だろう。

それなら、雨の中、観に来てくれたお客さんの為か?
・・・一生懸命やるには、今日の客の数は少なさ過ぎるし、
更に天気の悪さが、観客の観戦する気力を削ぐのに十分な効果を発揮している。

ならば、誰の為でもなく、自分自身の明日の為か?
・・・この状況、「女子プロレス」というジャンルそのものの明日が見えない。

興行とは「『夢』を売る商売」と誰かが言っていたが、
今日観に来た客は、おそらくは誰もが、
心のどこかに「寂しい」という感情をもって観戦していただろう。
そして、選手が頑張れば頑張る程、その「寂しさ」は増していたはずである。

一時は「ビューティー・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」で、
一世を風靡した「全日本女子プロレス」、
そして、その面影すら感じさせてくれない、目の前の風景。

「女子プロレスの衰退は深刻」という事実を実感しながら観戦開始。

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第三試合 シングルマッチ 30分一本勝負
○高橋 奈苗(167cm/78kg)
●佐藤 綾子(155cm/57kg)
[13分9秒 体固め]
※雪崩式ブレンバスター

佐藤は前村と同じ日にデビューした、2年目の選手。
そんな彼女が、全女の大黒柱になりつつある高橋にかなう訳がないのだが、
それでも試合開始直後から、佐藤は高橋に突っかかる。
ロープに振ってボディアタックを慣行するが、
ただでさえ小兵の佐藤が巨漢の高橋を倒せる訳もなく、
そのままキャッチされて、リングに叩きつけられる。

ここからは、高橋の「若手への洗礼」が暫らくの間、続く。
高橋は、容赦なく佐藤を、張りまくり、蹴りまくり、絞めまくる。
佐藤は逆エビ固めで反撃を試みたが、相手が巨体の高橋では脚を持つのにも一苦労。
それでも「重てぇな、コノヤローッ!」と叫んで客のウケを取りつつ、
どうにか逆エビ固めを決めたが、高橋は脚の力だけで佐藤をふっ飛ばしてしまう。
そして高橋は、お返しの「コの字固め」。ガッチリ決まって佐藤は青息吐息だ。
どうにかロープに逃げた佐藤だが、高橋はさらに容赦のないキャメル・クラッチ。

ここも何とかロープに逃れた佐藤、ここから反撃開始。
若手らしいドロップキック連打とボディアタック連打。
首投げ、背負い投げ、さらにはボディシザースで高橋を絞め上げるが、
レフリーのチェックに高橋は「全然、No!!」と余裕の表情。
強引に外した高橋は、逆に佐藤にボディシザース。
ガッチリ決まって、佐藤は虫の息。

どうにかロープに逃げた佐藤、高橋を倒してキャメル・クラッチへ移行するが、
両腕で持ち上げているにも関わらず、高橋の顎は全く上を向いてくれない。
ここは機転を利かせて胴絞めスリーパーへ移行するが、
体制を入れ替えた高橋に高々と持ち上げられてパワーボムを食ってしまった。
さらには容赦のないワンハンド・バックブリーカー、STF、コブラツイスト、
ブレンバスター、スピードの乗ったショルダータックル。

佐藤はこれらの攻撃に手も足も出ずにいたが、
トップロープ最上段からの鮮やかなコルバタで反撃、
さらにはドロップキックを繰り出すも、高橋のサイドバスターでダウン。
高橋はコーナーに上りベイダー式コーナープレスを出すが、
これは間一髪で佐藤が逃れた。

チャンスを掴んだ佐藤は、コーナー3方を使ってのミサイル・キック3連発。
一気に攻め込み、とどめとばかりに、
トップロープからのボディプレスを繰り出すが自爆。
今度は高橋が重爆ミサイル・キックを出すと、これをモロに食らってしまう。

もはや高橋の勝ちは動かなかった。
逆さ押さえ込みで切り替えす、等、粘った佐藤だが、
十分に攻め込まれてから、
トップロープからの雪崩式ブレンバスターを繰り出されては、
デビュー2年目の新人にはどうする事も出来なかった。

典型的な「若手 vs ベテラン」の試合。
でも、高橋は「ベテラン」と呼ぶにはまだまだ若いのだが、
層の薄い今の全女では、彼女の歳でも「ベテラン」の位置付けになってしまうなぁ。

この試合の間も、雨は止むことなくシトシトと振りつづけ、
隣のPON君は「トモちゃ〜ん、トモちゃ〜んっ・・・。」の声を絶やさなかった。
やかましい。出場選手を調べない君が悪い。

第四試合 シングルマッチ 30分一本勝負
○前川 久美子(165cm/73kg)
●藤井 巳幸(162cm/55kg)
[13分27秒 体固め]
※カカト落とし

パンフレットにすら、
「ガムシャラさが少ない」とか「気迫が前面に出ていない」と、
ダメ出しをされている藤井。
年齢的には納見より一歳下なだけなので、そろそろ前に出て行くべきだろう。
この日の相手は、蹴り技でポジションを確立した前川。
キャリア的には開きがあるので勝ちは臨めないだろうが、
ここは何かしらのインパクトが欲しいところだ。

試合開始、まずは先制のドロップキックを前川に食らわせた藤井。
幸先の良いスタートだったが、
前川は「アホかぁっ!」という一言と共に藤井を巴投げ。
倒れる藤井の半身を起こして、背中に得意のサッカーボール・キックを一閃。
重い音が会場に響き、観客から声が上がり、藤井も苦悶の声をあげる。

前川は首投げから胴絞めスリーパー。
藤井は絞められながらも、グラウンドで後ろになっている前川の上になる。
前川の肩がマットに付き、「ワン、ツー」とカウントが進む。
慌てて肩を上げる前川。
前試合でも見られたこのムーブメント、
この流れは、どうも全女のプロレスの攻防の基本らしい。

藤井はどうにかこれを外して反撃、
首投げを連発し、サーフボード・ストレッチを極めたりするが、
やはりキャリアに勝る前川からペースを奪うまでには至らない。
トラースキックを浴びると、二段蹴り、強烈な逆エビを極められる。
さらには場外乱闘、鉄柵のない今日の会場では、
振られてしまうとそのまま客席に一直線だ。
藤井は四方の客席に突っ込んでいくハメに。

尚もイジメ攻撃を続けた前川だったが、
藤井はようやく反撃、うるさい前川の脚を四の字固めに捕らえる。
逃れた前川、キチンシンク、前蹴り、
倒れた藤井の脚を持ってのローキックを連打したが、
藤井は再び逆転、こだわりの四の字固めで前川を苦しめる。

しかし、試合の主導権を握っているのはやはり前川だ。
この四の字を外した前川、再び倒れた藤井の脚を持ってのローキックを連打、
さらには、高さのあるフィッシャーマンズ・スープレックスで藤井を押さえる、
が、カウント2。

藤井は抵抗し、
ヘッドロックの体制からコーナー最上段を使っての首投げを多用するが、
前川はトラースキック、前蹴りで藤井の動きを止め、試合のペースを崩さず。
それでも必死に反撃し、終盤には鮮やかなラ・マヒストラルを披露した藤井だが、
結局は浴びせ蹴り、かかと落としを立て続けに食らってしまい、
前川は体固めの体制、カウント3。

パンフレットに指摘されていた通り、藤井の試合はやや印象が薄い。
プロとして試合を続けるのであれば、客に覚えられる「何か」が欲しい。

それにしても、この試合の構図も「若手 vs ベテラン」、
第三試合と何にも変わらんねぇ。

そりゃそうと、隣のPON君は「トモちゃ〜ん・・・。」に加えて、
「ワッキ〜っ・・・。」と嘆いている。
脇沢選手が引退する前に、観戦すれば良かったのに。

第五試合タッグマッチ 60分一本勝負
○堀田 祐美子(168cm/76kg)
 中西 百重(157cm/65kg)
vs
 伊藤 薫(160cm/85kg)
●納見 佳容(164cm/60kg)
[20分58秒 エビ固め]
※ピラミッドドライバー

このカード、実は何気に納見を豊田に換えると、
5月2日の新日本プロレスの東京ドーム興行で、
一番客を沸かせた全女提供試合と変わらない試合になる。
他団体でなら、東京ドームという大きな会場と、
55000人以上の多くの客を相手にしても、
男子の試合以上に客を沸かせられるポテンシャルを持つ彼女達の試合が、
自分の団体となると、優待券を配布しても、たった200人強しか集まらない。
「女子プロレス」というもの基盤が根底から崩れている証拠と言えよう。

伊藤・納見組の奇襲から試合はスタートするが、堀田・中西組はキッチリ反撃。
リングには納見と中西が残り、
中西はスリーパーで、今日は二試合目の納見を苦しめる。

堀田登場、重い蹴りで納見の動きを止めると、
その体を抱えて、
高さのあるジャンピング・ドリル・ア・ホール・パイルドライバー。
客席からは、その高さに感嘆の声が上がる。

納見が多少捕まっていたが、反撃してタッチ、伊藤vs中西。
伊藤は中西をロープに振り、
その巨体を宙に浮かせてジャンピング・ヒップアタック。
ここから、中西が伊藤に攻められ続ける事に。
逆エビ固め、踏みつけ、片逆エビ固め、吊り天井。
体重の重い伊藤の攻めに苦戦した中西だったが、
ワンチャンスから反撃、倒れた伊藤に対して、
得意の「上になっての地団太」で踏みつける。

中西タッチ、堀田が登場したが、ここは意外にも納見に攻め込まれてしまう。
堀田相手に試合をリードする納見は伊藤とタッチ、2人で堀田を攻めようとする。
ここで中西が乱入し、
ドロップキック連打で伊藤と納見をまとめて退治しようとするが、
伊藤に反撃をくらい、
軽々と担ぎ上げられてカナディアン・バックブリーカーに捕まる。
邪魔者を黙らせた伊藤は、ここから堀田を攻めこみタッチ、再び納見が登場。
だが、今度は納見が堀田の反撃のアルゼンチン・バックブリーカーに捕まった。
2大バックブリーカーのニアミスだ。

堀田は、更に納見にお返し、
垂直落下式の大変危険なダブルアーム・スープレックスで投げ捨てる。
この角度がかなり急で、客席から驚きの声が上がる。
両者タッチ、伊藤は中西に対して強烈な喉輪落としを2連発。
相変わらず伊藤のこの技には迫力がある。
両チームのリーダーの技は、体が大きいだけに強烈だ。

そして迎えた、伊藤 vs 堀田のリーダー対決。
まず、堀田が伊藤に浴びせ蹴りを食らわす。
おかえしとばかりに、伊藤は堀田にも喉輪落としで投げ捨てる。
しかし、堀田はブレンバスターの体制から前に落とす、
いわゆるフェースバスターで伊藤に反撃。
一歩も譲らぬ展開、客席の声も自ずと大きくなる。

堀田タッチで中西登場、
中西は伊藤に再びボディアタックを食らわせようとするも失敗。
逆に伊藤のジャンピング・ボムを食らってしまう。
中西はどうにか飛びつき回転エビ固めで伊藤を丸めたが、これは納見がカット。
さらに伊藤は強烈なパワーボムで中西をキャンバスへ叩きつける。
中西、先輩の強烈な洗礼の前に成す術なし。

すっかり捕まった中西、タッチを受けた納見のボディアタックを食らうと、
客席からは「ガンバレ、モモッ!!」の声援が起こる。
この声援を受けた中西は、納見を場外に落とすと、
得意技・三角飛びからの場外ボディアタックを披露。
しかし、納見も黙ってはいない。
雪崩式ダブルリスト・サルトで中西をマットに叩きつける。
全女の次世代エース対決も一歩も譲らない、
・・・のだが、この後、中西はさらに伊藤・納見組に攻められ続けた。

中西は納見に対して何とか反撃し、
ここで堀田にタッチするも、今日の納見は堀田相手に奮闘する。
ボディアタック、ミサイルキックといった飛び技、
更には首固めのような丸め込みの技で堀田を翻弄すると、
場外に逃げた堀田に対しては場外ボディアタックを慣行。

動きの良い納見に対して、乱入した中西が後ろから羽交い締め。
身動きのとれない納見に対して堀田は浴びせ蹴りを食らわすも、
これはパートナーの中西に誤爆。そして、このあたりから試合は乱戦に。

お互い決め技の応酬、フォールの体制、カット合戦。
試合は混乱に混乱を重ねたが、
そんな中、中西を捕まえた伊藤はパワーボムで叩きつけ、
直後に納見のコーナー最上段からのボディプレスが炸裂、
カウント3が入るかと思われた場面だが、ここはカウント2で凌いだ。
客席から声があがる。

そんな中、最終的にリングに残ったのは堀田と納見だった。
堀田は体重の軽い納見に対してタイガードライバーで脳天から落とす。
これをカウント2で凌いだ納見だったが、
堀田は伊藤を中西が押さえつけているのを確認すると、
必殺のピラミッド・ドライバー。納見はこれで万事休す、3カウント。

最悪のコンディションの中、ドームと変わらぬ熱戦を全女は見せてくれたが、
降り続ける雨が、客の注意力をやや削いでしまった。
天気が晴れていれば、客席はもっと沸いていたはずだが、
この雨の中で熱闘を行った選手達には「お疲れ様です。」を言いたいです。

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雑感:

「もう、女子プロレスはダメかもしれない」。今日の感想です。

確かに、今日の興行は、
都内とはいえ「東小金井」というちょっと特殊な場所ですし、
最悪のコンディションの中での興行なので、
この興行を基準に「ダメ」と判断するのは危険なのかもしれません。

が、なにせ「客の少なさ」より、
「所属選手の少なさ」と「フロント陣の元気のなさ」の方が目立ってしまい、
数年前に観戦した全女とは、まるで別の団体であるように感じました。

団体そのものに元気がないと、客だって元気になりません。
カラ元気でもいいから、特にフロント陣には元気であって欲しいです。



・・・今日の興行、中止に出来なかったのかなぁ・・・。

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最後に、もう一つ、「全女」にまつわる暗い話を。

昔の「全女」の興行には欠かせなかった「小人プロレス」。
その第一人者だったリトル フランキー選手が、8月15日に亡くなられました。
彼の名前は知らなくても、「8時だよ!全員集合!」に出演し、
舞台をちょこまかと走り、タレントの志村けんさんをハリセンで叩く。
そんな彼の姿を笑った人は少なくないでしょう。

「軟骨異栄養症」や「下垂体性小人症」といった「小人」の原因になる病気も、
時代の進歩と共に発症率が低くなり、
それは同時に「小人プロレス」を終焉の方向へ向かわせました。
病気がなくなるのは、大変に喜ばしい事です。
それでも「『小人プロレス』はもう観戦出来ない」と言われて悲しくなるは、
生前の彼のファイトが印象に残っているからなのでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。

以上、長文失礼。

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