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手術の効果

  • 全例で、直ちにてのひらの発汗が停止します。胸部交感神経幹を遮断した効果です。それまで冷たかったてのひらの皮膚温が上昇します。普通のリラックスしている時のてのひらの暖かさとなります。これは交感神経の過剰な反応で収縮していたてのひらの毛細血管が拡張し、皮膚の血流が豊富になるからです。
  • 患者さんは麻酔から覚めるとまず、てのひらが暖かくなって乾いているのに気がついて驚きます。
  • わきの下の発汗もこの手術で約80%の人に有効です。脇の下は普通の人並みかそれ以下のレベルまで発汗が減少します。しかし、発汗が完全に停止することはありません。温熱性発汗(脇の下)は完全に止めることができないからです。
  • 足底の発汗もこの手術で同時に改善される場合がありますが、全く変化なく、相変わらず発汗が続くケースもあります。
  • 顔面の発汗は、約8割以上の人で術後に減少もしくは停止します。

術後の合併症
 手術をお考えになる前に まず手術以外の方法・・ドライオニックや塩化アルミニウムの汗止め液を試してみるのは慎重な態度であると思います。

手術後の反射性発汗(= 代償性発汗)について。

●私どもは可能な限り代償性発汗を小さくできるようになりました。

 

   2002年1月から2004年10月の期間において 手のひらの多汗症

   初回右手の手術を担当したのは1358人です。
このなかで1年経過観察できている2003年10月までの791人、
このうち代償性発汗が厳しいと回答があったのは術後12ヶ月で9人であり、
この9人の手術の満足度は70.1%(満点を100%として)でした。
この9人のうち7人が左手の手術の希望を出されておりました。 

   初回左手の手術を担当したのは125人です。
このなかで1年経過観察できている2003年10月までの103人、
このうち代償性発汗が厳しいと回答があったのは術後12ヶ月で1人であり、この人の手術の満足度は70%でした。この人も右手の手術の希望を出されておりました。 

  手のひらの多汗症手術に関しては初回片側手術においては、手術を後悔するに至るほどの代償性発汗はありませんでした。 (夏を経験して、反対側の手術も希望されていらっしゃる人がほとんどです。) 

  これらの結果から、治療を必要とされる人は、まず片側手術を受けてみて、その状態を検証なさってみてはいかがでしょうか。 手術を受けて一年間経過観察された上で、残りの側の手術を希望される人がとても多いのは自然なことです。

   手のひらではなく、顔面頭部の多汗症の人では代償性発汗が大きく出る可能性がございます 。

(以上、2004年10月にまとめました。)
 

代償性発汗への取組み

クリックしてください。

  • 手術後は、今まであまり気にならなかった部位(第3,4肋骨より下の下半身、たとえば、背中、腹部、大腿部,膝の裏側など)の発汗が増加します。これは代償性発汗(compensatory sweating)といわれます。気温が25度を超えると 胸より下の下半身(背中お腹、お尻、太もも、膝の後ろ側など)に、発汗が始まります。エアコンの効いた涼しい部屋にはいると代償性発汗はおさまります。温度依存性の発汗です。
     
    涼しくする以外に代償性発汗に対処できる方法はありません。
  • 気温の上昇とともに手術した直後より代償性発汗は始まります。11月から5月までの涼しい季節は代償性発汗はみられないか、もしくは軽度です。5月末から残暑のある10月いっぱいまでは代償性発汗がきびしいです。
  • 術後にはお乳より上の上半身、すなわち わきの下から上肢、首、頭部までの範囲が発汗停止することをお考えください。これら上半身の発汗停止部位は、全身の体表面積の約40%を占めます。
  • 代償性発汗の程度は個人差が大きいです。つまり、ふだんから汗かきで肥満の人は代償性発汗がきびしくなります。あまり汗かきでなく、痩せた人は肥満の人に比べて代償性発汗が幾分軽い傾向があります。しかし、代償性発汗の程度は手術前に予測するのは不可能です。
  • 以下の記載は1998年、両側同時の交感神経手術を行っていた当時の、患者様からの直接のご連絡です。エアコンの効いた環境では代償性発汗は気になりませんが、駅までの道や通勤の満員電車などが大変です。会社に着いたら下着を着替えなければならないほど背中、おなかが汗びっしょりになる人もいます。
  • 暑い場所ではたくさん汗をかきます。夏場にビジネススーツを着て得意先まで外回りをすると汗染みができ、汗の目立たない紺か白のスーツを着るようになる場合があります。服装の自由な職場ならまだよいのですが。お客さん相手の営業をなさる人はこの点、注意が必要です。
  • 代償性発汗の特に高度な人では、特に夏場は何も運動などしなくてもシャツが搾れるくらい汗でびっしょりになってしまい、その具合があまりに異様で他の人からは「何であいつはあんなに汗びっしょりなんだ?」といわれます。車のシートなども汗でびっしょりになってしまって困ります。緊張時には代償性発汗が多く感じられる傾向があります。他の病院で手術を受けられた人からのご連絡。

  • 職場の過剰な(うだるような)暖房で発汗が増える場合があります。 
  • 代償性発汗の程度はさまざまです。しかし、大半の人はがまんできる範囲内かも知れません。しかし代償性発汗をトラブルと感じて悩む人も少数(5%以下)ですがおられます。時間の経過とともに改善する傾向があるといわれていますが慣れの問題かもしれません。体験談のページをよくお読みください。現在は私どもは まずはじめに 片側だけの手術を行います。
  • 体験談のページへ


  • もう少し続けます、、以下をお読み下さい。
  • てのひらの発汗が止まってから今度は代償性発汗が起こるという矛盾は、ちょうどお互いがトレードオフの関係になっているとお考え下さい。身の回りの環境整備をまず先にお考え下さい。実際には難しいことかもしれませんが、涼しい生活環境に身を置くようにして下さい。
  • 手から発汗しなくなった恩恵が当たり前になってしまうと、どうしても代償性発汗のほうが気になってしまうのがふつうです。
  • 汗が減少する部分(わきの下、上肢、頭部、首など)は熱がこもり、体温が上昇します。炎天下での激しい運動、たとえば本格的なプロ並みのテニス、サッカー、ラグビーや登山などの激しい運動ではばてやすくなります。
  • 夏場は代償性発汗が厳しくなります。東北、北日本など涼しい地域の人では代償性発汗も軽くて済むようです。
  • 体格が大きく肥満体で、元々全身の汗かきの人全身の温熱性発汗が亢進しているため、術後に代償性発汗が厳しくなる傾向があります。代償性発汗の程度には個人差がとても大きいです。
  • てのひらの汗を治療することで生活の質(Quality of life)を向上させるのが目的の手術です。

私ども(兼平医師、山本医師)の考え方

  • まず片側だけの手術を行います。
  • 代償性発汗を考慮してまず片側のみを行うという発想です。(これは1999年春からの対応です。) 
  • まず片手だけで生活してみて代償性発汗の程度を観察して下さい。そのうえで、残りの片方の手術を受けるべきかどうかお考え下さい。
     ひとまず右手(もしくは左手)がドライになっただけでも、仕事の能率は大幅に改善することが多いです。

術後長期の成績

  • 全体の約5%程度の患者さんで、手術後1年以内にてのひらの発汗が(その程度はいろいろですが)少し戻ってくることがあります。(先進国ではいずれも5%程度の再発率です。)「以前のような激しい発汗はないが湿ることが多くなった」とか「 以前の約2割程度くらいの発汗が戻ってきた」というふうに表現された人がいます。全ての医療行為全般に当てはまることですが、術後長期に亘る手術成績にはなお不確定な要素がございます。
  • 発汗がある程度戻って来て気になる場合には、胸腔内を観察し、再生し始めている部分を処理するような手術が可能です。詳しいお話しは、多汗症教室にご出席の際にご説明いたします。


その他のこと。

  • 「交感神経を部分的とはいえ手術しても大丈夫か?」、ホルモンへの影響は?妊娠出産に影響は?などたくさんの質問を受けますがいずれも悪影響は報告されていません。 ご安心下さい。
     
  • 過去に高血圧、心臓病、高脂血症、糖尿病、治療を要するほどの生理不順などで治療が必要な人は、(それらの病状が安定していて)手術時には差し支えないような状態であっても、手術後には慎重なケアーが必要です。手術 と他の疾患との因果関係はございません。ですから、将来、何か他の病気を偶然発症したとしても、交感神経遮断手術との因果関係は全くございません。
  • 脈拍数が普段から増加している頻脈の人の場合、交感神経手術後に脈拍数が10%ほど低下し頻脈発作などが改善することがございます。しかしながら (手術後の)脈拍にまったく変化のない場合もございます。
  • 味覚性発汗(gustatory sweating)。
     辛いもの、すっぱいもの、熱いもの(麺類や鍋物など)、チーズを食べると手術後に新たに顔面からの発汗が起こるようになる人が約20から30%の率でい らっしゃいます。食事中以外にも、香辛料のにおいを嗅ぐと顔面から発汗します。味覚性発汗が気になって外食し辛くなったという人がいらっしゃいます。手術後3カ月から半年ほど経過してから遅れて味覚性発汗が 新たに現れるケースもあります。
  • 顔面頭部の多汗症の人で生まれつきの味覚性発汗が改善することもありますし、全く改善しないこともあります。
  • 1990年代に日本でこの手術が行われるようになって以来、生命に関わるような重篤な合併症、医療事故は外科専門医が担当した手術においては、日本では1例も報告されておりません。(日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会の2000年の調査で。)
  • 小中学生に対しても(男女とも)手術を行っています。一応のコンセンサス(交感神経遮断に関する研究会での意見)は満10才より年長ということになっています。

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