7 火の心、空の心
(前回から続く)
ヒートの部屋で。
「はあ、やっと落ち着けるな」
ヒートががっくりと肩を落としてベッドに座る。なんだかドッと疲れが出たのだ。
最初から、シエロを部屋に入れとけば良かった。
「へへへ、ひいと!」
「おわっ!!」
シエロがヒートに後ろからガバッと抱きついた。
「あんがとな、ヒート。オレの為にさ」
「何がだよ」
「助けてくれただろ?」
「……もう、平気なのか?」
「……うん」
少しの間、沈黙があり、やがて口を開いたのはシエロだった。
「オレ、ヒートに見られたくなかったな」
「……そうか」
「怒ってない?」
「何を」
「その……さっきのこと」
「怒ることじゃないだろ。…お前が望んでやったコトじゃないしな」
「うん、そうだけど」
ゲイルにキスされたこと。それをヒートに見られたことを、シエロは気にしていた。
「オレ、ゲイルのことを大切な仲間だと思ってるし、好きだけど、それってヒートを好きなのとは違うんだよな。
なんていうかさ、ヒートのことを好きだって思うとさ、なんつうのかなあ、胸っつうか、はあと?
とにかくここら辺が」
と言いながらヒートの胸の中央当たりをトントンと軽く叩き、
「ぎゅう〜〜〜〜ってなるんだよな。苦しいような感じ?
でもすっげえ幸せなの」
ギュウッと抱きしめる。
「……」
ヒートは無言だ。シエロは構わず続ける。
「ゲイルじゃこうはなんねえもん。キスされてやだってことはねえけど、嬉しくはない。
ヒートとキスするとさ、頭がポーってなって、すごく幸せになっちゃう」
シエロはそう言って照れ笑いするが、ハッキリ言って、ヒートはそれどころではなかった。
シエロの胸が、ぎゅうっと押しつけられて、それだけでもうドキドキする。
今朝の夢が思い出されてしまう。
おまけにキスがどうこう言い出されては、抑えていられるかどうか。
かなり自信がない。
「おい、どうしたんだよ、ヒート?」
「な、なんでもない」
なんでもないわけないのだが。
体は正直な反応をしているので、身動きすらとれない。
シエロの体がやたらと柔らかいのが恨めしい。
「あ〜! 何かオレ、ヒートとキスしたい!!」
「ぶっ」
ストレートに言いすぎだ。
「いいだろ、ヒート?」
「………」
顔をのぞき込もうとするシエロから背ける。
「なんだよ、ヒート。やっぱ、怒ってんのか?」
「ちげえよ」
「じゃあ、なんなん……」
言葉が途切れたのは、ヒートが突然、覆い被さるようにしてシエロを押し倒したからだった。
「馬鹿か、おめえは。少しは……警戒しろ」
「なにを?」
「俺をだ。俺だって……あいつらと何もかわらねえ」
「ヒート……」
自分を見下ろすヒートの首に手を回す。
「これは、同じじゃねえって。だって、オレが望んでるんだもんな。それって、すっごく違うとおもわね?」
シエロは笑った。
「それは、そうだな」
つられてヒートも笑う。
ヒートは、前のようには怒らなくなった。
心の何処かで、元々そうだったじゃないかと感じているところもある。
「な、ヒート。あんたさえよかったら、オレはいつだって準備バッチリだからな!」
「は?」
「そういや、ヒートって下着の好みってある? オレはやっぱ女の子には白とかピンクがいいと思うんだけどさー、実際に自分がそうなると、わかんなくてよ。
なあなあ、ヒートはどんな下着が好き? オレ買ってくるよ!」
「ば…」
「ば?」
「ばかかてめえは!!!!」
結局最後は、いつものようにゲンコツで締め括られてしまった。
なかなか進展しないなー、とシエロは思った。
今回は短かったなあ。 ヒートとシエロは、ぎりぎりのラインから一歩進むのが大変だったり。
ヒートはリードとりたいけど、実際にはシエロに引っ張られる気がする。
それにしても、ヒートはどんな下着がお好みだったんでしょーね。
あんまりゴテゴテしたのより、オーソドックスな感じの方が好きそう。
ヒートにはヒーホー君トランクスを履かせたいなあ。
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