

平成25年 マンション管理士 試験問題 及び 解説
ページ2(問26より問50まで)
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謝辞:問題文の作成には、 「じゃが ろこぽん」さまの協力を得ています。
※ 出題当時以後の法令等の改正には、一部は対応していません。
*試験に臨んで、お節介なアドバイス
1.設問にあわせて、問題用紙に ○(まる)、X(ばつ)をつける。
殆どの設問が、「正しい」か「間違い」かを訊いてきますので、設問により、問題の頭に、○かXをつけます。
そして、各選択肢を読み、○かXをつけます。
問題の○なりXと、選択肢の○かXが一致したものを、マークシートに記入してください。
2.疑問な問題は、とりあえず飛ばす。
回答の時間は限られています。
そこで、回答として、○かXかはっきりしないものがでたら、「?」マークをつけて、次の問題に移ります。
全部の回答が終わってから、再度戻って決定してください。
3.複雑な問は、図を描く。
甲、乙、A、B、Cなど対象が多い問題もでます。
この場合、問題用紙の空いているところに、図を描いてください。
重要な点が分かってきます。
(出題者からの注意) 1.答えは、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
2.問題中法令に関する部分は、平成25年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。
解説者からのコメント:あやふやな出題、適切でない出題もあって、解答ができないのもあります。
※ マンション標準管理規約は、平成16年に改正があった。また、平成23年7月にも小幅な改正があった。
マンション標準管理委託契約書は、平成15年に改正があった。また、平成22年5月にも改正があった。
問26
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〔問26〕 管理費等に余剰又は不足が生じた場合の取扱いについて、総会の普通決議で行うことができるものは、標準管理規約によれば、次のうちどれか。
1 管理費に余剰が生じた場合に、これを修繕積立金に振り替えること。
X できない。 管理費の余剰は、あくまでも管理費に充当すること。
まず、マンションでは、管理費が不足したり、余剰がでることはおおくあります。そこで、余ったら修繕積立金に振り替えたらいいとか、足りないなら修繕積立金から充当すればいいのではないかという話もあるでしょうが、これでは、経理上適切な運営ができないと、標準管理規約を考えた人の頭では、管理費勘定と修繕積立金勘定は完全に別会計とすることを基本としています。

その例が、標準管理規約28条4項
「(修繕積立金)
第28条 4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」に表れています。
そこで、標準管理規約61条
「(管理費等の過不足)
第61条 収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」
の61条1項により、総会の決議がなくても、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に”自動的に”充当されますから、標準管理規約によれば、管理費に余剰が生じた場合、これを修繕積立金に振り替えることは、総会の普通決議で行うことが、できません。
それでは、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上が可決すれば、どうなるのか、といった問題を避けるために、設問は、「総会の普通決議で行うことができるもの」となっています。
また、駐車場使用料の余剰金は、どうなりますか?
2 管理費に不足が生じた場合に、修繕積立金の一部を管理費に振り替えること。
X できない。 管理費勘定と修繕積立金勘定は別で、管理費に不足が生じた場合は、管理費を値上げすること。
選択肢1で述べましたように、管理費勘定と修繕積立金勘定は完全に別会計とすることで、標準管理規約はできています。
そこで、管理費に不足が生じた場合には、標準管理規約61条2項
「2 管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。」とあり、
あくまでも、管理費の値上げを求めるべきで、修繕積立金の一部を管理費に振り替えることは認めていませんから、総会の普通決議では、できません。
なお、修繕積立金を取り崩すことができるのは、標準管理規約28条
「(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 敷地及び共用部分等の変更
四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」です。
3 管理費に余剰が生じ修繕積立金が不足する場合に、管理費を引き下げ、修繕積立金を引き上げること。
○ できる。
管理費に余剰が生じ修繕積立金が不足する場合に、管理費を引き下げ、修繕積立金を引き上げることは、標準管理規約48条
「 (議決事項)
第48条次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一 収支決算及び事業報告
二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
八 修繕積立金の保管及び運用方法
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
48条3号の「管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法」の、「管理費等」には、管理費と修繕積立金が含まれています(25条参照)から、総会の決議があれば、可能です。
そこで、必要とされる総会の議決権は、標準管理規約47条、
「(総会の会議及び議事)
第47条総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
6 第3項第一号において、規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
7 第3項第二号において、敷地及び共用部分等の変更が、専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
8 第3項第三号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
9 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」とあり、
管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法は、47条2項により、出席組合員の議決権の過半数(普通決議)で決することが、できます。
4 管理費に不足が生じ修繕積立金に余剰がある場合に、共用設備の保守維持費の支払に充てるため、修繕積立金を取り崩すこと。
X できない。 共用設備の保守維持費の支払なら、管理費に不足が生じ修繕積立金に余剰があっても、修繕積立金を取り崩すことはできない。
選択肢1でも述べましたように、管理費勘定と修繕積立金勘定は完全に別会計とすることが、標準管理規約では原則で、修繕積立金を取り崩すことができるのは、標準管理規約28条
「(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 敷地及び共用部分等の変更
四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」とあり、
たとえ、修繕積立金に余剰があっても、修繕積立金を取り崩すことはできませんし、また、設問の「共用設備の保守維持費の支払」は明らかに、管理費から充当すべきもので、標準管理規約27条
「(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
十一 管理組合の運営に要する費用
十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」の
27条3号に該当していますから、管理費に不足が生じ修繕積立金に余剰がある場合でも、共用設備の保守維持費の支払に、修繕積立金を取り崩すことは、出席組合員の議決権の過半数(普通決議)で決することはできません。管理費を値上げして、対応すべき問題です。
答え:3 かなり解説が、詳細になりましたが、管理費と修繕積立金の性格の違い。また、標準管理規約は、国土交通省が一応の目安として作成したもので、法律ではありませんから、内容にあっては不備な点が多いことも、マンション管理士・管理業務主任者を目指す人や、マンションの住人も留意が肝心です。
基本は、区分所有法 です。
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問27 |
〔問27〕 総会における委任状及び議決権行使書に関する次の記述のうち、民法の規定及び標準管理規約によれば、議案に賛成として取り扱うことができるものは、次のうちどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。
1 提出された議決権行使書の議案の賛成欄に丸印はついているが、本人の署名及び部屋番号の記載しかなく、押印がない場合
○ 賛成として取り扱える。 押印までは不要。 平成23年 管理業務主任者試験 「問36」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問34」 。
本来なら、多くの区分所有者が総会に出席して、総会の場で、討論を行い、決議をして欲しいのですが、現状としては、総会には欠席者が多くて、議事の運営には問題がありますが、それは置いといて、総会に出席できない場合には、他の人に議決権を委任するやり方と、議案に対して、議決権行使書を提出して、賛成・反対を主張できます。
そこで、設問の「議決権行使書の議案の賛成欄に丸印はついているが、本人の署名及び部屋番号の記載しかなく、押印がない場合」の取り扱い方ですが、これが、印鑑を使用しないアメリカなどサイン(署名)で済ませる国なら、出題にもならないのですが、日本では一応検討することになります。
参考にするのは、標準管理規約46条4項
「(議決権)
第46条 各組合員の議決権の割合は、別表第5に掲げるとおりとする。
2 住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
3 前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」とあり、
46条4項により、書面での議決権の行使は可能です。そこで、本人の署名と部屋番号はあるが、印鑑が押されていない場合ですが、これは、有効として扱ってもかまいません。
議決権行使書は、特に公文書ではありませんから、効力の有無を判断するにあたっては、氏名が自筆で署名されていて、本人と特定できれば、いいでしょう。
2 隣戸の組合員から代理権を委任された組合員がその委任状を理事長に提出したが、当日、委任された組合員が体調不良で、総会を欠席した場合
X 賛成として取り扱えない。 代理人が欠席では、議決権は行使できない。
まず、隣戸の組合員から代理権を委任された組合員が、本人に代わって議決権を行使できるかは、選択肢1で引用しました、標準管理規約46条4項及び5項
「 4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」
により、適切です。
しかし、委任された人が、総会の当日に欠席なら、議決権は行使されませんから、当然に、賛成も反対もなく、議案に対して賛成として取り扱うことはできません。
3 組合員が議長を代理人とする旨理事長に電話連絡してきたが、総会までに、当該組合員から委任状の提出がなかった場合
X 賛成として取り扱えない。 電話連絡では、だめ。
代理人であるためには、選択肢1で引用しました、標準管理規約46条5項
「5 組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。」とあり、
代理権を証する書面の提出が求められていますから、電話連絡では、後の証拠も残らず、その組合員から委任状の提出がなかった場合には、賛成として取り扱えません。
4 提出された議決権行使書に部屋番号及び氏名の記載並びに押印はあるが、議案の賛否欄には「棄権」と記載している場合
X 賛成として取り扱えない。 棄権は賛成ではない。
提出された議決権行使書に部屋番号及び氏名の記載並びに押印はあるなら、議決権行使書としては、有効です。
しかし、「棄権」なら、それは、賛成でも反対でもありませんから、賛成として取り扱えません。
なお、良識のある区分所有者なら、中途半端な「棄権」などをしてはいけません。
積極的に総会に参加して、明確な自分の意見を持つようにしてください。
答え:1 こんな易しい出題では、解説も力が入らない。
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問28 |
〔問28〕 管理組合の総会の招集に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(団地型)によれば、適切なものはどれか。
1 組合員が組合員総数の1/5以上及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て総会の招集を請求した場合には、理事長は、会議の目的が建替え決議であるときは、2週間以内にその請求があった日から2ヶ月と2週間以内の日を会日とする臨時総会の招集通知を発しなければならない。
○ 適切である。
標準管理規約には、①単棟型、②団地型、そして、③複合型の3種があることは、基本です。
通常、総会は理事長が招集しますが、議題によっては、理事長も招集しないことが考えられます。そこで、ある程度の組合員が集まって、総会の招集を理事長に請求できるようになっています。それが、標準管理規約(単棟型)44条
「(組合員の総会招集権)
第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。」とあり、
建替え決議なら、1項の括弧書きにより、適切です。
(出題方法がよくない。ここは、「会議の目的が建替え決議」となると、対象は「マンション標準管理規約(単棟型)」だけで、設問での、「マンション標準管理規約(団地型)」は、関係がなくなる?)
2 理事長は、総会招集の通知をする場合には、会議の目的が建物の価格の1/2以下の部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧のときは、議案の要領をも通知しなければならない。
X 適切でない。 小規模滅失では、議案の要領の通知はいらない。
まず、建物が滅失した場合は、滅失した部分が、建物価格の1/2以下(小規模滅失)と、建物価格の1/2超(大規模滅失)かで対応が分かれます。
そして、総会を招集するにあたり、重要な議題であれば、その内容も通知するようになっています。
それが、標準管理規約(単棟型)43条及び47条
「(招集手続)
第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。
2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。
3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。
4 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
5 会議の目的が建替え決議であるときは、前項に定める議案の要領のほか、次の事項を通知しなければならない。
一 建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持及び回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6 建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7 第45条第2項の場合には、第1項の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。
8 第1項(会議の目的が建替え決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。」とあり、
43条4項で引用されています、「 第1項の通知をする場合において、会議の目的が第47条第3項第一号、第二号若しくは第四号に掲げる事項の決議又は建替え決議であるとき」とは、
「(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。
5 前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。」です。
47条3項4号によれば、設問の「建物の価格の1/2以下の部分が滅失した場合(小規模滅失)の滅失した共用部分の復旧のとき」は該当していないため、議案の要領までの通知は不要なため、適切では、ありません。
なお、建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合(大規模滅失)の滅失した共用部分の復旧を議題とするなら、議案の要領の通知も必要です(3項4号参照)。
(ここも、出題がよくない。「マンション標準管理規約(単棟型)」だけが対象で、設問での、「マンション標準管理規約(団地型)」は、関係がなくなる?)
3 団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。)では、理事長が、毎年1回団地総会(通常総会)を招集するほか、棟総会を毎年1回招集しなければならない。
X 適切でない。 理事長は、団地の総会を年1回招集すればいい。
団地型の管理方式としては、各棟の管理も団地全体で一元的に管理することを前提に作成されています。 そこで、日常的な管理については棟で行わず、団地の総会で決します。ただし、義務違反者に対する差止めなどは、団地総会で決められず、棟の総会になりますから、どこまでが団地総会での決議事項か、棟の総会での決議事項かは、区別しておいてください。
設問に関しては、標準管理規約(団地型)44条
(団地総会)
「第44条 管理組合の団地総会は、総組合員で組織する。
2 団地総会は、通常総会及び臨時総会とする。
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。
4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
5 団地総会の議長は、理事長が務める。 」とあり、
44条3項により、理事長は、団地総会を年1回招集すればよく、更に棟別総会を招集する規定はありませんから、適切ではありません。
なお、棟総会を開催するなら、下の 選択肢4 を参照してください。
4 棟総会はその棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の1/5以上及び議決権総数の1/5以上に当たる区分所有者の同意を得て、毎年1回招集しなければならない。
X 適切ではない。 棟総会を毎年1回招集しなければならないの規定はない。
選択肢3でも説明しましたように、基本的に団地においては、団地全体の総会によって棟の総会も一元的にカバーしているため、定期的な棟別の総会は規定されていません。しかし、義務違反者に対する差止めなどには、棟の総会が必要となります。もし、棟別の総会が必要となれば、標準管理規約(団地型)68条
「(棟総会)
第68条 棟総会は、区分所有法第3条の集会とし、○○団地内の棟ごとに、その棟の区分所有者全員で組織する。
2 棟総会は、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。」とあり、
68条2項により、棟総会はその棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の1/5以上及び議決権総数の1/5以上に当たる区分所有者の同意を得て招集できますが、棟総会は、特に「毎年1回招集しなければならない」物ではありませんから、適切ではありません。
答え: 1 この出題も、標準管理規約をどこまで、読んでいるかだけの、易しい出題でした。 でも、設問で、最初から、「マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(団地型)によれば」としたのは、不適切な出題方法です。 これでは、選択肢1 及び 選択肢2 も マンション標準管理規約(団地型)での規定も該当の箇所が必要となります。
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問29
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〔問29〕 管理組合の運営等に関する書類の保管及び閲覧に係る次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。
1 総会議事録及び理事会議事録は、理事長が保管し、かつ、所定の掲示場所に、保管場所を掲示しなければならない。
X 適切でない。 理事会議事録まで保管場所の掲示は求められていない。 平成25年 マンション管理士試験 「問25」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 。
総会の議事録の保管などは、標準管理規約49条
「(議事録の作成、保管等)
第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」とあり、
49条3項と4項により、理事長は、議事録を保管し、かつ所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければなりません。
しかし、理事会の議事録となると、標準管理規約53条
「(理事会の会議及び議事)
第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。」とあり、
53条2項により、49条が準用されて、理事長には理事会の議事録も、保管義務がありますが、49条の4項は除くとあり、4項の「 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。」の規定は、理事会議事録には適用されませんから、適切ではありません。
2 長期修繕計画書及び修繕履歴情報は、理事長が保管し、かつ、所定の掲示場所に、保管場所を掲示しなければならない。
X 適切でない。 長期修繕計画書及び修繕履歴情報は、所定の掲示場所に、保管場所を掲示までは求められていない。 平成23年 マンション管理士試験 「問28」 。
理事長が、保管すべき書類としては、総会議事録、理事会議事録の他に、標準管理規約64条
「(帳票類の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」とあり、
これに関するコメントも
「コメント:第64条関係
① 作成、保管すべき帳票類としては、第64条に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。
② 組合員名簿の閲覧に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要がある。」とあります。
そこで、設問の長期修繕計画書及び修繕履歴情報は、理事長が保管すべきと判断されますが、これらの書類も理事会議事録と同様に「所定の掲示場所に、保管場所を掲示しなければならない」の規定はありませんから、適切ではありません。
3 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人から書面による閲覧請求があった場合において、書面に閲覧理由が記載されていないときは、閲覧を拒むことができる。
X 適切でない。 規約原本なら、理由がなくても、閲覧させなければいけない。
規約原本なら、標準管理規約72条
「(規約原本等)
第72条 この規約を証するため、区分所有者全員が記名押印した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する。
4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない。」とあり、
72条2項及び6項により、規約原本は理事長に保管義務があり、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければなりません。
そこで、規約原本の閲覧請求ですが、72条2項、4項及び5項によれば、規約の閲覧に関しては、閲覧理由は求められていませんので、書面に閲覧理由が記載されていないときでも、閲覧を拒むことはできませんから、適切ではありません。
なお、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することはできます(5項)。
4 組合員名簿は、理事長が保管し、組合員又は利害関係人から書面による閲覧請求があった場合において、書面に閲覧理由が記載されていないときは、閲覧を拒むことができる。
○ 適切である。 組合員名簿は簡単には見せられない。
組合員名簿なら、選択肢2でも引用しました、標準管理規約64条
「(帳票類の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。」とあり、
コメント
「コメント:第64条関係
① 作成、保管すべき帳票類としては、第64条に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。
② 組合員名簿の閲覧に際しては、組合員のプライバシーに留意する必要がある。」とあり、
組合員名簿も、理事長が保管しますが、ただし、組合員名簿はプライバシーも絡むため閲覧にあたっては、理由を付した書面による請求が必要ですから、適切です。
答え:4 ここも、特に問題はないでしょう。
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問30 |
〔問30〕 住居専用の甲マンションの区分所有者Aから、自己の専有部分(3LDK・60 ㎡) を簡単な壁で小さな空間に区切り12室に改造した上で、入居者の募集を行い、多人数に貸し出したいとして『専有部分修繕等工事申請書』が理事長あて提出された。この件に対する対応についての理事会におけるA~Dの各理事の意見のうち、区分所有法及び民法の規定並びに標準管理規約によれば、適切でないものは、次のうちどれか。
1 A理事「こうした改造は、窓がない、天井高の不足など建築基準法に適合しない改造である可能性があり、また、間仕切り壁が燃えやすい材料でできているなど火災や安全面でも大きな問題があるので、専門的知識を有する者の意見を求めるべきでしょう。」
○ 適切である。
60㎡の1室を、12室に改造すると、単純に1室は、狭い5㎡となり窓がなくなる可能性があります。すると、採光、換気等の居室としての問題が発生しますよ。
まず、専有部分の改造となると、標準管理規約17条
「(専有部分の修繕等)
第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」とあり、
修繕等を希望する区分所有者(組合員)は、理事長宛に申請書を提出しなければなりません。
すると、理事長は、理事会を開催して、改造内容を検討し、状況によっては、承認しないことも出来ますし、内容が専門的であれば、専門委員会を設置して、検討させることも可能です。
(標準管理規約55条参照)
「(専門委員会の設置)
第55条 理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置 し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。」
そこで、設問のような意見「建築基準法」も含めた専門家の意見を求めるのは、適切です。
2 B理事「『専有部分修繕等工事申請書』を見ると、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行う旨記載されているが、当該共用部分の工事が共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴う場合は、理事会決議だけで理事長が承認することはできませんので、集会での決議が必要です。」
○ 適切である。 平成23年 管理業務主任者試験 「問32」 、 平成20年 管理業務主任者試験 「問31」 。
共用部分の工事が”共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴う場合”となると、先ず、区分所有法第17条
「(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」とあり、
区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議が必要です。
また、これを受けた標準管理規約47条
「(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 建替え決議は、第2項にかかわらず、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。」とあり、
47条3項2号に該当しますから、理事会決議だけで理事長が承認することはできませんので、集会での特別決議(組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上)が必要となりますから、適切です。
3 C理事「Aが理事長の承認を受けないで工事を行った場合は、理事会の決議を経て、理事長は、管理組合を代表して、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、訴訟その他法的措置をとることができます。」
○ 一応、適切であるとします。 標準管理規約67条は問題があるが。
規約では、理事会の承認を必要としているにも拘わらず、Aが理事長の承認を受けないで工事を行った場合には、規約違反となります。
すると、標準管理規約67条
「(理事長の勧告及び指示等)
第67条 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
2 区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない。
3 区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、次の措置を講ずることができる。
一 行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行すること
二 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置をとること
4 前項の訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができる。
5 前項に基づき請求した弁護士費用及び差止め等の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
6 理事長は、第3項の規定に基づき、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第43条第2項及び第3項の規定を準用する」とあり、
この標準管理規約67条は、どこまでが、規約違反で、区分所有法第6条での「共同の利益に反する」との関係が明らかでない点、また、弁護士費用を含めて請求ができるのかなどの問題を含んだ規定ですが、そこまでの高等な議論までは、求めていないのが、平成25年の出題程度ですから、標準管理規約67条3項により適切とします。
4 D理事「管理組合がこうした改造について、どう対応するかですが、専有部分は、その所有権を有する区分所有者が自由に使用、収益及び処分できるはずなので、管理組合としてこうした改造を制限するための規定を規約に定めることはできません。」
X 適切でない。 区分所有権は、民法の所有権より幅が狭い権利である。
確かに、民法の「所有権」からの主張として、「専有部分は、その所有権を有する区分所有者が自由に使用、収益及び処分できるはず」というのもありえますが、マンションは、共同生活の場であるという制約がある「”区分”所有権」で、区分所有権は、民法での所有権そのままではなく、かなり不自由な権利であることを理解してください。
そこで、区分所有法第30条
「(規約事項)
第三十条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
3 前二項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
4 第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
5 規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。
」とあり、
解釈として、この規約で定められるのは、管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項ですが、それに「専有部分の用途、管理・使用制限」もできるとされていますから、適切ではありません。
そこで、「区分所有権」はその実態面では、「所有権」よりも、絶対性や排他性が弱められているなどの制限が多く、区分所有法の特徴である多数決の原理も取り入れているなどから民法での「所有権」と云うよりは「専用使用権」だという説もあります。
参考:民法第206条
「(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」
答え:4 「問4」 の”倍返し”や この「問30」の”シェア・ハウス”の出題といい、平成25年度の問題作成官は、それなりに、苦労しています。
なお、シェア・ハウスと規約の変更については、東京地裁:平成25年10月24日の判決があります。
また、国土交通省の平成25年 9月 6日付: 「違法貸しルーム対策に関する通知について 」 もあります。
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問31 |
〔問31〕 理事長の管理組合での業務執行上の行為に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。
1 理事長が、理事会の承認を得て、総会における事務報告の一部を会計担当理事に委任し、報告させた。
○ 適切である。
理事長の職務は、標準管理規約38条
「(理事長)
第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。」とあり、
38条3項によれば、理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしますが、4項によれば、一部なら、他の理事に委任することもできますから、理事長が、理事会の承認を得て、総会における事務報告の一部を会計担当理事に委任し、報告させても、適切です。
2 理事長が、監事が組合員でなくなったことからその地位を失ったところ、次期役員が選任される通常総会まであと2ヵ月の時期に、理事の一人を監事に交替させた。
X 適切でない。 監事は総会で選任すること。 平成24年 マンション管理士試験 「問29」 、 平成24年 マンション管理士試験 「問31」 。
まず、理事と監事は共に役員ですが、別々に総会で選任されます。
それは、標準管理規約35条
「(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」です。
35条2項により、理事と監事は別の役員として、総会で選任されます。
そこで、監事が組合員でなくなると、標準管理規約36条
「(役員の任期)
第36条 役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。」とあり、
36条4項により、監事は、その地位を失いますから、監事は不在となります。
そこで、例え短い期間であっても、標準管理規約35条2項により、新しい監事を、総会で決める必要があります。
理事長は、理事の一人を監事に交替させることはできませんから、適切ではありません。
面倒ですが、管理組合では、監事は、会計や業務のチェック役として大切ですよ。
では、マンション管理士 香川 からの出題です。
「もし、監事が選任されない、不在のまま開催された、総会での会計報告や業務報告の有効性は、どうなりますか?」
3 理事長が、役員の活動経費や報酬に関する定めがないにもかかわらず、理事長としての活動に応ずる必要経費及び報酬を受領した。
X 適切でない。 勝手に役員報酬は、決めてはいけない。 平成24年 マンション管理士試験 「問29」 、 平成21年 管理業務主任者試験 「問36」 。
役員のなり手がいない現実から、役員の報酬を定めているマンションもかなりあります。
それは、標準管理規約37条
「(役員の誠実義務等)
第37条 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。
2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。」とあり、
37条2項で役員報酬は認めています。
しかし、この役員の報酬額は、当然ながら総会の決議が無ければ、決められません。
それは、標準管理規約48条 13号にあります。
「(議決事項)
第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければなら ない。
一 収支決算及び事業報告
二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための 資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費の ための修繕積立金の取崩し
八 修繕積立金の保管及び運用方法
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並び にこれらの訴えを提起すべき者の選任
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結」です。
48条13号により、理事長が、役員の活動経費や報酬に関する定めがないにもかかわらず、理事長としての活動に応ずる必要経費及び報酬を受領することは、適切ではありません。
役員が自分の報酬を勝手に決めていいなら、どうなりますか?
4 理事長が、管理組合が雇用している職員を、理事会の承認を得ることなく解雇した。
X 適切でない。 管理組合が雇用している職員を、解雇するには理事会の承認を得ること。 平成24年 マンション管理士試験 「問29」 。
理事長の職務としては、選択肢1で引用しました、標準管理規約38条1項2号
「二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。」とあり、
理事長が、管理組合が雇用している職員を、理事会の承認を得ることなく解雇することは、適切ではありません。
理事会の承認が必要です。
答え:1 ここも、かなり易しい。
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問32
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〔問32〕 甲マンションには、A、B及びCの三人の区分所有者がいる。それぞれの専有部分の床面積は、Aは40㎡、Bは60㎡、Cは120㎡で、あるが、A及びB二人のみの共用に供されるべき一部共用部分がありその面積が20㎡で、ある。この場合におけるA、B及びCのそれぞれの共用部分の持分の割合は、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 Aは18% Bは32% Cは50%
2 Aは20% Bは35% Cは45%
3 Aは20% Bは30% Cは50%
4 Aは23% Bは30% Cは47%
*共用部分の持分の割合となると、区分所有法第14条1項、2項
「(共用部分の持分の割合)
第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」とあります。
1項により、各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によるのですが、2項にも変な規定があります。
「一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする」です。
そこで、設問に従って、
一部共用部分を、A・Bに別途、専有部分の床面積の割合により配分して割り振ることになります。
一部共用部分=20㎡ を A=40㎡ と B=60㎡ の割合 4:6 で分けると、
A=8㎡、 B=12㎡ となり、
Aは、元々の 40㎡ + 8㎡ = 48㎡
Bは、元々の 60㎡ + 12㎡ = 72㎡
Cは、元々だけの 120㎡ となり、
A、B、C の合計は 48㎡ + 72㎡ + 120㎡ = 240㎡ ですから、
A の共用部分の持分の割合は A=48/240 = 20%
B の共用部分の持分の割合は B=72/240 = 30%
C の共用部分の持分の割合は C=120/240= 50%
となります。
答え:3 今までにない新しい出題で、面白い。 しかし、計算を得意としない受験生には、時間がかかったようだ。 実際の受験では、ここは、飛ばす人も多い。
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問33
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〔問33〕 甲マンションの区分所有者Aが所有する専有部分の売却の依頼を受けた宅地建物取引業者から、その媒介等の業務のために甲マンションに係る次の事項の提供及び開示を求めてきたときに、管理組合に代わって、管理会社が提供し、及び開示する必要のないものは、マンション標準管理委託契約書によれば、次のうちどれか。ただし、甲マンションは、昭和56年5月に新築の工事に着手したものとする。
1 管理規約の写し
○ 規約は管理会社が管理組合に代わって提供する必要がある。 平成25年 管理業務主任者試験 「問8」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問 7」 、 平成18年 管理業務主任者試験 「問 7」 、 平成16年 マンション管理士試験 「問33」 。
本来なら、宅地建物取引業者からの規約や修繕記録などの提供や開示請求は、管理組合か売主が対応すべきものですが、宅地建物取引業者もマンション管理業者も共に管轄におく国土交通省は、特別な規定を設けています。それが、マンション標準管理委託契約書14条
「(管理規約の提供等)
第14 条 乙(注:管理会社)は、宅地建物取引業者が、甲(注管理組合)の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために管理規約の提供及び次の各号に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供し、及び各号に掲げる事項を書面をもって開示するものとする。
一 当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金等の月額並びに滞納があるときはその金額
二 甲の修繕積立金積立総額並びに管理費及び修繕積立金等に滞納があるときはその金額
三 本マンション(専有部分を除く。)の修繕の実施状況
四 本マンションの石綿使用調査結果の記録の有無とその内容
五 本マンションの耐震診断の記録の有無とその内容(当該マンションが昭和56 年6月1日以降に新築の工事に着手した場合を除く。)
2 前項の場合において、乙は、当該組合員が管理費及び修繕積立金等を滞納しているときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、その清算に関する必要な措置を求めることができるものとする。」とあります。
管理規約の写しの提供は、本文にあり、宅地建物取引業者から求められると、管理組合に代わって、管理会社が提供する必要があります。
2 マンション内の事件、事故等の情報
X 管理会社が提供する必要がない。
マンション内の事件、事故等の情報となると、選択肢1で引用しました、マンション標準管理委託契約書14条には規定がないため、管理会社が提供する必要はありません。
3 石綿使用調査結果の記録の有無とその内容
○ 管理会社が提供する必要がある。
石綿使用調査結果の記録の有無とその内容は、選択肢1で引用しました、マンション標準管理委託契約書14条1項4号
「四 本マンションの石綿使用調査結果の記録の有無とその内容」に該当しますから、管理会社が提供する必要があります。
4 耐震診断の記録の有無とその内容
○ 管理会社が提供する必要がある。
耐震診断の記録の有無とその内容となると、選択肢1で引用しました、マンション標準管理委託契約書14条1項5号
「五 本マンションの耐震診断の記録の有無とその内容(当該マンションが昭和56 年6月1日以降に新築の工事に着手した場合を除く。)」に該当しますから、管理会社が提供する必要があります。
答え: 2 ここも、かなり易しい。特に、宅地建物取引主任者の試験から流れてくると、答えは速い? また、どうして、石綿や耐震などが取り上げられるのかは、時代を反映していますので、追求してください。
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問34
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〔問34〕 通常総会を5月に開催している甲マンション管理組合の収支予算(会計期聞は4月1日から翌年3月31日までとする。)に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。
1 会計年度の開始後、通常総会で収支予算案の承認を得るまでの間に支出することがやむを得ないと認められる経常的経費については、4月に開催した理事会で承認を得た上で支出し、通常総会において、その内容を報告している。
○ 適切である。 平成25年 管理業務主任者試験 「問34」 。
本来、予算案の承認なら使用される翌会計年度が開始される前に総会の承認が必要であり、決算案の承認は、会計年度が終了した時に総会を開いて、承認という手続きを踏むべきものです。
しかし、標準管理規約の作成者の頭には、そこまで厳格に考えなくてもいいのではという発想があります。予算案の承認と決算案の承認と2度も総会を開く面倒さを省き、次年度が開始された総会で、本来なら、会計年度の開始前に承認が必要な予算案も審議できるとしたのが、標準管理規約58条です。
「(収支予算の作成及び変更)
第58条 理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。
2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
3 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
一 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
二 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
4 理事長は、前項に定める支出を行ったときは、第1項に定める収支予算案の承認を得るために開催された通常総会において、その内容を報告しなければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなす。」とあります。
設問の「会計年度の開始後、通常総会で収支予算案の承認を得るまでの間に支出することがやむを得ないと認められる経常的経費については、4月に開催した理事会で承認を得た上で支出し、通常総会において、その内容を報告している。」は、58条3項及び4項によれば、適切です。
2 大規模修繕工事に要する費用に充てるため、金融機関から資金の借入を予定しているが、今年8月から始まる借入に伴う償還については、修繕積立金をもって充てることとし、今年度の収支予算において、修繕積立金会計に所要の額を計上している。
○ 適切である。
大規模修繕工事に要する費用に充てるため、金融機関から資金の借入で修繕積立金からの支出となると、総会の決議事項です。
それは、標準管理規約48条に規定されています。
「(議決事項)
第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一 収支決算及び事業報告
二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項に定める建物の建替えに係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
八 修繕積立金の保管及び運用方法
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十五 その他管理組合の業務に関する重要事項」とあり、
48条6号に引用されています28条は、
「(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 敷地及び共用部分等の変更
四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下本項において「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
3 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。」とあり、
大規模修繕工事は、28条1項1号の「一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕」ですから、その費用を修繕積立金から取り崩すことも適正で、その額を今年度の収支予算において、修繕積立金会計に所要の額を計上していていれば、全く適切です。
そして、総会の決議があれば、可能です。
3 今年度の収支予算において、経常的な補修費については管理費会計に、建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査費については修繕積立金会計に、それぞれ計上している。
○ 適切である。
管理費から充当できるのは、標準管理規約27条
「(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用
十一 管理組合の運営に要する費用
十二 その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用」です。
これによれば、経常的な補修費は27条6号に該当していますから、適切です。
また、修繕積立金から充当できるのは、選択肢3で引用しました、標準管理規約28条1項4号
「四 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査」とあり、
これも、適切ですから、選択肢3は全体として、適切です。
4 今年7月に盗難事件が発生し、組合員から防犯カメラの早期設置の要望が高まったため、同年10月の理事会において、同年12月に設置することを決定した。これに伴う防犯カメラ3台の購入費等の予算確保について予備費では賄いきれないため、前期繰越資金の範囲内で同年11月の理事会で収支予算の変更を行った。
X 適切でない。 理事会で勝手に、予算を変更できない。臨時総会にかけること。
予算がない時に、理事会で勝手に予算を変更してはいけません。
必ず臨時総会を開いて、総会の決議を経てください。
それが、選択肢1で引用しました総会の決議事項を定めた標準管理規約48条1項2号
「二 収支予算及び事業計画」です。
いくら、前期繰越資金の範囲内であっても、理事会で収支予算の変更は出来ませんから、適切ではありません。
また、選択肢1で引用しました標準管理規約58条2項、
「2 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。」ともあります。
答え:4 ここも、易しい。 平成25年の出題は、1つの選択肢の中で、前半・後半での正誤を問う出題が目立つ。 これでは、1つの出題で、2問出しているのと同じだ。
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問35
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〔問35〕 甲マンション管理組合では、平成24年度(平成24年4月1日から平成25年3月31日まで)の決算において、修繕費80,000円を未払金として計上していたが、平成25年4月19日にこの修繕費を誤って100,000円振り込み、全額を修繕費で会計処理した。誤って支払った20,000円については相手方から来月返金されることになっている。これに伴い、4月末の月次処理で甲が行うべき仕訳で適切なものは次のうちどれか。ただし、甲が4月19日に行った仕訳は取り消さず、追加の仕訳で対応するものとし、会計処理は、発生主義の原則によるものとする。

*発生主義ということ。
毎年の説明で、過去問題をやってきている人には、分かり切ったことでしょうが、初めての人もいますので、
★マンションの会計処理で発生主義ということの重要性は、
全ての費用・収益は、その支出・収入に基づいて計上し、その発生した期間
*収入については、請求権が生じた月、
*支出については、支出が労役などの提供又は工事などである場合は、その労役などの提供又は工事等が完了した月、物品の購入なら、その物品が納入された月
に正しく割り当てるように処理すること。
これにより、管理費や修繕積立金は該当月に徴収することになっているなら、未収入金(滞納)があっても、全額計上されている。
この辺りが、企業の会計処理を知っている人には、なかなか理解できない個所です。
*そこで、設問の検討です。
まず、平成24年度において、 修繕費を未払金として計上したとは、
借方 |
貸方 |
修繕費 ¥80,000 |
未払金 ¥80,000 |
です。
これを、翌 4月19日 に 金額 も 相手勘定も誤って、下のように振り込んだという仕訳は、
借方 |
貸方 |
修繕費 ¥100,000 |
現金預金 ¥100,000 |
これは、本来なら、
借方 |
貸方 |
未払金 ¥80,000 |
現金預金 ¥80,000 |
とあるべきでした。
そこで、4月19日 の仕訳は取り消さず、追加の仕訳で対応となると、平成24年度の
借方 |
貸方 |
修繕費 ¥80,000 |
未払金 ¥80,000 |
を支払いがあったので、ゼロにします。
A.つまり、逆にします。
借方 |
貸方 |
未払金 ¥80,000 |
修繕費 ¥80,000 |
しかし、これでは、余分に支払った ¥20,000 が未決済です。
B. 余分に支払った ¥20,000 は、来月返金されるとのことですから、
借方 |
貸方 |
未収金 ¥20,000 |
修繕費 ¥20,000 |
AとBを合わせると、
借方 |
貸方 |
未払金 ¥80,000 |
修繕費 ¥80,000 |
未収金 ¥20,000 |
修繕費 ¥20,000 |
となり、

答え:3 ここは、もっと分かりやすく説明できる人が、おられましたら、「マンション管理士 香川事務所」 まで連絡ください。
とうとう、会計は、マンション管理士試験では、過去2問は出ていたのが、昨年(平成24年)から、1問に減った。今後、1問で定着するのか?
NETで見ると、数字の表示が、揃わないので、TABLEに変更した。 ホームページを作成するのも、特殊な知識が必要なのです。
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問37
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〔問37〕 マンションの長期修繕計画の作成に関する次の記述のうち、「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」 (平成20年6月国土交通省公表)及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
(平成23年4月国土交通省公表)によれば、適切でないものはどれか。
1 外壁塗装やシーリング材などに耐久性の高い材料が使われているので、外壁塗装等の修繕周期を14年として計画した。
○ 適切である。
「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」の「様式第3-2号」によれば、外壁塗装やシーリング材などの標準的な修繕周期は、12年程度ですから、耐久性の高い材料が使われていれば、外壁塗装等の修繕周期を14年として計画しても、適切です。
2 長期修繕計画の見直しは、大規模修繕実施前の調査結果を参考にするために、12年ごととした。
X 適切でない。 長期修繕計画の見直しは、”12年ごと”ではなく”5年”程度に行う。 平成23年 マンション管理士試験 「問38」 。
「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」の
「第3章 長期修繕計画の作成の方法
10 長期修繕計画の見直し
長期修繕計画は、次に掲げる不確定な事項を含んでいますので、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。また、併せて修繕積立金の額も見直します。
①建物及び設備の劣化の状況
②社会的環境及び生活様式の変化
③新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動
④修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、消費税率等の変動」とあります。
長期修繕計画は、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直ししましょう。12年ごとでは、適切ではありません。
3 既存のマンションの長期修繕計画を見直すに当たり、計画期間を30年として計画した。
○ 適切である。
これは、 平成22年 マンション管理士試験 「問39」 、 平成21年 マンション管理士試験 「問36」選択肢1 と同様。
「長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメン」の
第3章 第1節 5 計画期間の設定
計画期間は、新築マンションの場合は、30年以上とし、既存マンションの場合は、25年以上とします。」とあり、
基本的な考え方として、大規模修繕(周期12年程度)が2回含まれる期間 とのことで、計画期間を25年以上の30年として計画しても、適切です。
4 30階建てのマンションの修繕工事費の算定において、仮設工事のための費用を一般的な中高層マンションに比べて多めに見積もった。
○ 適切である。
高層マンションの足場費用は、かなり、高いのは、もう常識でも分かりますが、一応、調べました。
「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」 ページ11
5 修繕積立金の主な変動要因について
建物等の形状や規模、立地、共用施設の有無等により、修繕工事費が変動します。
・ 建物が階段状になっているなど複雑な形状のマンションや超高層マンションでは、外壁等の修繕のために建物の周りに設置する仮設足場やゴンドラ等の設置費用が高くなるほか、施工期間が長引くなどして、修繕工事費が高くなる傾向があります。」とあります。まあ、当然ながら、適切です。
答え:2 選択肢2 は、過去問題から分かる。
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問38
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〔問38〕 マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 大規模修繕工事において、建設業法上の監理技術者は、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することを第三者的な立場で行う。
X 適切でない。 監理技術者の職務内容が違う。 また、監理技術者は第三者的な立場ではない。 建設業者が設置する。
大体、建設業法なんて法律が、マンション管理士の試験の出題範囲かという問題があります。その建設業法でまた、監理技術者という立場の役目なんてところからの出題は、実に不適切です。
でも、一応解説はします。
監理技術者とは建設業法第26条の3
「 (主任技術者及び監理技術者の職務等)
第二十六条の三
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
2 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。」とあり、
第26条の3 1項によれば、監理技術者は、「工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務」ですから、現場で、作業の進行(工程)を管理したり、工事現場で働く人の指導などを行う役目で設置される人で、設問の「設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認」はしていないようですから、適切ではありません。
また、建設業法第26条
「(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。
4 前項の規定により専任の者でなければならない監理技術者は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の四から第二十六条の六までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。
5 前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。」ともあります。
第26条2項によれば、監理技術者とは、「工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの」、で建設業者が設置しますから、設問の「第三者的な立場で行う」も適切ではありませんから、選択肢1は、全体としても、適切ではありません。
2 大規模修繕工事の施工会社には、10年間の瑕疵担保責任の履行を確保するための資力確保措置(瑕疵保険への加入又は保証金の供託)が義務づけられていない。
○ 適切である。 資力確保措置は、新築住宅のみが対象。
どこに、資力確保措置の言葉が出てくるかというと、それは、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(略称:住宅瑕疵担保履行法)です。
この、住宅瑕疵担保履行法は、マンションの販売会社が倒産して、その後の耐震強度の偽装問題が発覚しても、通常、売主は、新築住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に対して10年間の瑕疵担保責任を負っています(住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条参照)が、責任をとらない(とれない)事態に対応して、平成21年10月1日から施行が開始された法律です。
この住宅瑕疵担保履行法により、新築住宅を供給する事業者(建設業者、宅地建物取引業者など)に対して、瑕疵の補修等が確実に行われるよう、保険や供託を義務付けるものです。
この法律により、新築住宅を供給する事業者が倒産した場合等でも、2,000万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられようになっています。
そこで、「新築住宅」とは、新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものを言います(住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条2項)。したがって、新築住宅に該当しない中古住宅が売買の対象である場合には、資力確保措置の義務付けの対象とはなりません。
大規模修繕工事の施工会社にも、資力確保措置が義務付けられていませんから、設問は適切です。
また、「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋または家屋の部分をいい(住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条1項)、例えば事務所と住居などが混在した併用住宅についても、住居部分のみならず、併用住宅全体の共用部分が「住宅」に該当することとなります。
根拠の、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の条文としては、
「(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等)
第三条 建設業者は、各基準日(毎年三月三十一日及び九月三十日をいう。以下同じ。)において、当該基準日前十年間に住宅を新築する建設工事の請負契約に基づき発注者に引き渡した新築住宅について、当該発注者に対する特定住宅建設瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。(以下略)」
「(住宅販売瑕疵担保保証金の供託等)
第十一条 宅地建物取引業者は、各基準日において、当該基準日前十年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない。(以下略)」 などがあります。
3 大規模修繕工事の責任施工方式とは、調査診断、修繕設計、工事施工及び工事監理を同一業者に委ねる方式を指すのが一般的である。
○ 一応適切である。 平成17年 管理業務主任者試験 「問27」 、 平成15年 マンション管理士試験 「問36」
大規模修繕工事の方式には、大きく分けて設問の ①責任施工方式 と ②設計監理方式 があるようですが、この方式の定義付けが明確でなくて、過去の平成17年 管理業務主任者試験 「問27」 でも出題後に、LECの指摘を受け、回答の訂正があった箇所です。
参考に:http://www20.tok2.com/home/tk4982/gyo-toi27-lec.pdf
これを受け、選択肢3 では、「一般的である」などかなり、過去問題を意識した表現になっています。
そこで、根拠となる”信頼の置ける文章”を探すのに、苦労をしました。
マンション管理士・管理業務主任者関係としては、「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」:http://www.tamamankan.jp/kaisyu_ni_yoru_mansyon_saiseisyuhou_manual_h2207kai.pdf
からの引用が適切かと思います。
その 6ページ
とあり、
責任施工方式 : 建築士を有する施工会社(設計・施工・監理部門を有する建設会社や管理会社等)を選定し、調査診断・改修設計・資金計画から工事の実施までの全てを請け負わせる方式、とあり、一応、適切としますが、出題文の「責任施工方式とは、調査診断、修繕設計、工事施工及び工事監理を同一業者に委ねる方式を指すのが一般的である」という、この出題は明確な根拠を欠くようで、よくありません。
4 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用できる条件として、管理組合法人である必要はない。
○ 適切である。
住宅金融支援機構のホームーページ:http://www.jhf.go.jp/customer/kanri/reform.html
によりますと「マンション共用部分リフォーム融資」を利用できる条件としては、「マンション管理組合(法人格の有無は問いません)のみなさまがマンションの共用部分のリフォーム工事を行うときに、お借入れが可能な融資です。この他、区分所有者の方が利用できる融資もあります。」とあり、
管理組合法人である必要はありませんから、適切です。
答え:1 選択肢1 のマンション管理士試験での出題法令の範囲か疑問のある「建設業法上の監理技術者」 といい、選択肢2 の根拠法令を明確にしていなく、宅地建物取引主任者試験に必要とされるような「資力確保措置」の表現をしている点、また過去に管理業務主任者試験で出題ミスとなった選択肢3 の「責任施工方式」を出すとは、ここ「問38」 の設問は、マンション管理士試験の出題としては、実に不適切です。
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問39
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〔問39〕 マンションの建物及びその維持管理に関わる法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 床面積2,000㎡以上のマンションにおいて、直接外気に接する屋根、壁及び床の修繕工事を行う場合、修繕工事を行う面積の合計が2,000㎡未満のときは、各部位の修繕工事の面積にかかわらず「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく届出を行う必要はない。
X 誤りである。 以前は、床面積 2,000㎡未満には適用がなかったが、改正されて、床面積 300㎡以上(第二種特定建築物)ができた。
この出題も、根拠を探すのに、随分と時間をとられた。
まず、この機会にエネルギーの使用の合理化に関する法律を少し勉強しましょう。
建物を新築したり、修繕や模様替えをする人には、ネルギーの使用の合理化をしてもらおうというのが、エネルギーの使用の合理化に関する法律の趣旨です。
そこで、エネルギーの使用の合理化に関する法律第72条、
「(建築物の建築をしようとする者等の努力)
第七十二条 次に掲げる者は、基本方針の定めるところに留意して、建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び建築物に設ける空気調和設備その他の政令で定める建築設備(以下「空気調和設備等」という。)に係るエネルギーの効率的利用のための措置を適確に実施することにより、建築物に係るエネルギーの使用の合理化に資するよう努めなければならない。
一 建築物の建築をしようとする者
二 建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合にあつては、管理者。以下同じ。)
三 建築物の直接外気に接する屋根、壁又は床(これらに設ける窓その他の開口部を含む。以下同じ。)の修繕又は模様替をしようとする者
四 建築物への空気調和設備等の設置又は建築物に設けた空気調和設備等の改修をしようとする者」とあり、
設問の「直接外気に接する屋根、壁及び床の修繕工事を行う」は第72条3号に該当します。
では、建築物の規模は、どの程度かというのが、次の第73条に規定されています。
「(建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準となるべき事項)
第七十三条 経済産業大臣及び国土交通大臣は、建築物に係るエネルギーの使用の合理化の適切かつ有効な実施を図るため、前条に規定する措置に関し建築主等(同条第一号、第三号及び第四号に掲げる者をいう。以下同じ。)及び建築物に係るエネルギーの使用の合理化を図る必要がある規模の建築物として政令で定める規模以上のもの(以下「特定建築物」という。)の所有者の判断の基準となるべき事項(住宅の建築を業として行う建築主(以下「住宅事業建築主」という。)が住宅であつて政令で定めるもの(以下「特定住宅」という。)を新築する場合に係るものを除く。)を定め、これを公表するものとする。
2 第五十二条第二項の規定は、前項に規定する判断の基準となるべき事項に準用する。 」です。
特定建築物と規定されるとまた、第75条が関係します。
「(第一種特定建築物に係る届出、指示等)
第七十五条 次の各号のいずれかに掲げる行為をしようとする者(以下「第一種特定建築主等」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、当該各号に係る建築物の設計及び施工に係る事項のうちそれぞれ当該各号に定める措置に関するものを所管行政庁に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 特定建築物のうち建築物に係るエネルギーの使用の合理化を特に図る必要がある大規模なものとして政令で定める規模以上のもの(以下「第一種特定建築物」という。)の新築(住宅事業建築主が第一種特定建築物である特定住宅を新築する場合を除く。)若しくは政令で定める規模以上の改築又は建築物の政令で定める規模以上の増築 当該建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置
二 第一種特定建築物の直接外気に接する屋根、壁又は床について行う政令で定める規模以上の修繕又は模様替 当該第一種特定建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止のための措置
三 第一種特定建築物への空気調和設備等の設置又は第一種特定建築物に設けた空気調和設備等についての政令で定める改修 当該空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置
2 所管行政庁は、前項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該届出をした者に対し、その判断の根拠を示して、当該届出に係る事項を変更すべき旨を指示することができる。
3 所管行政庁は、前項に規定する指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
4 所管行政庁は、第二項に規定する指示を受けた者が、正当な理由がなくてその指示に係る措置をとらなかつたときは、建築物に関し学識経験を有する者の意見を聴いて、当該指示を受けた者に対し、その指示に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
5 第一項の規定による届出をした者(届出をした者と当該届出に係る建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者とし、当該建築物が譲り渡された場合にあつては譲り受けた者(譲り受けた者と当該建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者)とする。)は、国土交通省令で定めるところにより、定期に、その届出に係る事項に関する当該建築物の維持保全の状況について、所管行政庁に報告しなければならない。
6 所管行政庁は、前項の規定による報告があつた場合において、当該報告に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該報告をした者に対し、その判断の根拠を示して、エネルギーの効率的利用に資する維持保全をすべき旨の勧告をすることができる。
7 前各項の規定は、法令若しくは条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより第七十二条に規定する措置をとることが困難なものとして政令で定める建築物又は仮設の建築物であつて政令で定めるものには、適用しない。」です。
この規定を受け「第一種特定建築物」を規定する政令は、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第18条
「 (第一種特定建築物の直接外気に接する屋根等について行う修繕等の規模)
第十八条 法第七十五条第一項第二号 の政令で定める規模は、修繕若しくは模様替に係る部分の面積の合計が二千平方メートルであること又は当該面積の合計が二千平方メートルに満たない修繕若しくは模様替であつて次の各号に掲げるものについて当該各号に定める規模であることとする。
一 第一種特定建築物の直接外気に接する屋根(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該屋根の面積の合計の二分の一
二 第一種特定建築物の直接外気に接する壁(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該壁(当該第一種特定建築物の敷地境界線(建築基準法第四十二条
に規定する道路に接する部分を除く。)からの水平距離が一・五メートル以下の部分を除く。)の面積の合計の二分の一
三 第一種特定建築物の直接外気に接する床(これに設ける窓その他の開口部を含む。)について行う修繕又は模様替 当該修繕又は模様替に係る部分の面積の合計が当該床の面積の合計の二分の一」とあり、
以前はエネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第18条1号により、「規模は、修繕若しくは模様替に係る部分の面積の合計が二千平方メートルであることまたは」で終わっていたのですが、
平成21年に改正があり、第一種特定建築物以外の特定建築物として「第二種特定建築物」が規制の対象として追加されました。
それが、エネルギーの使用の合理化に関する法律第75条の2 です。
「(第二種特定建築物に係る届出、勧告等)
第七十五条の二 第一種特定建築物以外の特定建築物(以下「第二種特定建築物」という。)の新築(住宅事業建築主が第二種特定建築物である特定住宅を新築する場合を除く。)若しくは政令で定める規模以上の改築又は建築物の政令で定める規模以上の増築(前条第一項第一号に規定する増築を除く。)をしようとする者(以下「第二種特定建築主」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の設計及び施工に係る事項のうち当該建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置に関するものを所管行政庁に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 所管行政庁は、前項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る事項が第七十三条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該届出をした者に対し、その判断の根拠を示して、当該届出に係る事項に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
3 第一項の規定による届出をした者(届出をした者と当該届出に係る建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者とし、当該建築物が譲り渡された場合にあつては譲り受けた者(譲り受けた者と当該建築物の管理者が異なる場合にあつては管理者)とする。)は、国土交通省令で定めるところにより、定期に、その届出に係る事項(当該建築物の設計及び施工に係る事項のうち当該建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置に関するものに限る。)に関する当該建築物の維持保全の状況について、所管行政庁に報告しなければならない。ただし、同項の届出に係る建築物が住宅である場合は、この限りでない。
4 前条第六項の規定は、前項の報告に準用する。
5 前各項の規定は、法令若しくは条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより第七十二条に規定する措置をとることが困難なものとして前条第七項の政令で定める建築物又は仮設の建築物であつて同項の政令で定めるものには、適用しない。」です。
そこで、「第二種特定建築物」の規模はとなりますが、これも、「 政令で定める規模以上」は、エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第20条の2 として追加されました。
「(第二種特定建築物の改築等の規模)
第二十条の二 法第七十五条の二第一項 の政令で定める改築の規模は、当該改築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が当該改築に係る第二種特定建築物の床面積の合計の二分の一であることとする。
2 法第七十五条の二第一項 の政令で定める増築の規模は、当該増築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が増築前の建築物の床面積の合計であることとする。
」
第20条の2 1項によれば、「改築の規模は、当該改築に係る部分の床面積の合計が三百平方メートルで、かつ、当該床面積の合計が当該改築に係る第二種特定建築物の床面積の合計の二分の一である」となっていますから、床面積が、300㎡以上の建物でも「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく届出を行う必要がありますから、誤りです。

2 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく日本住宅性能表示基準の既存住宅に係る表示すべき事項等において、維持管理・更新への配慮に関することの適用範囲にマンションは含まれていない。
X 誤っている。 共同住宅として、マンションも含まれている。
日本住宅性能表示基準は、住宅の品質確保の促進等に関する法律の定義として、住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条3号に規定されています。
「(定義)
第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう。
2 この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
3 この法律において「日本住宅性能表示基準」とは、住宅の性能に関し表示すべき事項及びその表示の方法の基準であって、次条の規定により定められたものをいう。
4 この法律において「住宅購入者等」とは、住宅の購入若しくは住宅の建設工事の注文をし、若しくはしようとする者又は購入され、若しくは建設された住宅に居住をし、若しくはしようとする者をいう。」です。
具体的には、同法第3条にも規定されています。
「(日本住宅性能表示基準)
第三条 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならない。
2 日本住宅性能表示基準は、利害関係人の意向を適切に反映するように、かつ、その適用に当たって同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を付することがないように定め、又は変更しなければならない。
3 国土交通大臣又は内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該日本住宅性能表示基準又はその変更の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴くことができる。
4 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣にあっては社会資本整備審議会の議決を、内閣総理大臣にあっては消費者委員会の議決を、それぞれ経なければならない。
5 国土交通大臣及び内閣総理大臣は、日本住宅性能表示基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。」とあり、
その日本住宅性能表示基準の詳細は、: http://www.mlit.go.jp/common/000052946.pdf にありますから、見てください。
そこで、設問は、別表1 の 4 維持管理・更新への配慮に関すること 以下の表のように、共同住宅等とあり、マンションも含まれていますから、誤りです。

3 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、長期優良住宅建築等計画の認定の申請を行おうとする場合には、事前に「建築基準法」に基づく確認済証の交付を受けている必要がある。
X 誤りである。 建築基準法の建築確認の申請が同時にできる。
長期優良住宅建築等計画の認定の申請は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律 第6条
「(認定基準等)
第六条 所管行政庁は、前条第一項から第三項までの規定による認定の申請があった場合において、当該申請に係る長期優良住宅建築等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。
一 建築をしようとする住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること。
二 建築をしようとする住宅の規模が国土交通省令で定める規模以上であること。
三 建築をしようとする住宅が良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
四 前条第一項又は第二項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
イ 建築後の住宅の維持保全の方法が当該住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために誘導すべき国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
ロ 建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上であること。
ハ 資金計画が当該住宅の建築及び維持保全を確実に遂行するため適切なものであること。
五 前条第三項の規定による認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画にあっては、次に掲げる基準に適合すること。
イ 建築後の住宅の維持保全の方法の概要が当該住宅を三十年以上にわたり良好な状態で使用するため適切なものであること。
ロ 資金計画が当該住宅の建築を確実に遂行するため適切なものであること。
六 その他基本方針のうち第四条第二項第三号に掲げる事項に照らして適切なものであること。
2 前条第一項から第三項までの規定による認定の申請をする者は、所管行政庁に対し、当該所管行政庁が当該申請に係る長期優良住宅建築等計画(住宅の建築に係る部分に限る。以下この条において同じ。)を建築主事に通知し、当該長期優良住宅建築等計画が建築基準法第六条第一項 に規定する建築基準関係規定に適合するかどうかの審査を受けるよう申し出ることができる。この場合においては、当該申請に併せて、同項 の規定による確認の申請書を提出しなければならない。
3 前項の規定による申出を受けた所管行政庁は、速やかに、当該申出に係る長期優良住宅建築等計画を建築主事に通知しなければならない。
4 建築基準法第十八条第三項 及び第十二項 の規定は、建築主事が前項の規定による通知を受けた場合について準用する。
5 所管行政庁が、前項において準用する建築基準法第十八条第三項 の規定による確認済証の交付を受けた場合において、第一項の認定をしたときは、当該認定を受けた長期優良住宅建築等計画は、同法第六条第一項 の規定による確認済証の交付があったものとみなす。
6 所管行政庁は、第四項において準用する建築基準法第十八条第十二項 の規定による通知書の交付を受けた場合においては、第一項の認定をしてはならない。
7 建築基準法第十二条第七項 及び第八項 並びに第九十三条 から第九十三条の三 までの規定は、第四項において準用する同法第十八条第三項
及び第十二項 の規定による確認済証及び通知書の交付について準用する。 」とあり、
第6条2項によれば、「建築基準法第六条第一項」とあり、建築基準法第6条は、
「 (建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
(以下略)」とあり、
建築確認の申請を指していますから、長期優良住宅建築等計画の認定の申請を行おうとする場合には、同時に建築確認の審査を受けるよう申し出ることができますから、誤りです。
4 「建築基準法」における大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替のことであり、屋根の全面についての模様替工事はこれに該当し、建築確認の申請が必要である。
○ 正しい。
まず、「建築基準法」における大規模の模様替や建築物の主要構造部とは、建築基準法第2条に羅列されています。そこで、15号と5号が設問に該当します。
「(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
十五 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
」です。
設問の「大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替のことであり、屋根の全面についての模様替工事はこれに該当」していますから、前半は、正しい。
次の「建築確認」は、建築基準法第6条
「(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
(以下略)」とあり、
これにも該当していますから、選択肢4は、全体として正しい。

答え:4 選択肢4 が正しいとは、過去問題から分かるが、エネルギーの使用の合理化に関する法律の選択肢1 や、日本住宅性能表示基準の選択肢2 は、まったく根拠を探すのに、時間がかかった。
上の「問38」の雑な出題といい、この「問39」 の各種法令からの出題といい、ただ単に、試験範囲として決められていますから、問題を作ってみましたのような出題方法はもう止めにして、真にマンション管理士や管理業務主任者業務に求められる出題を検討して欲しいものです。
最新の「マンション管理の知識」では、これらの解説があるのかな? でも1つの出版物だけを対象にした出題方法は、これまた、疑問がありますが。
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問40
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〔問40〕 マンションの遮音性能に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1 JIS (日本工業規格)による空気伝搬音の遮音等級の数値が大きくなるほど遮音性能は低くなる。
X 適切でない。 等級が大きくなれば、遮音性能も高くなる。 平成25年 管理業務主任者試験 「問22」 。
マンションの生活では、音への対応は重要です。 音には、話し声のように空気中を伝わる空気伝搬音と、建物の床から振動によって伝わる固体伝搬音があります。
遮音性は透過してくる音の減衰量(透過損失)によって示され、JISでは、サッシ・ドアによる JIS A 4706 と サッシ・ドア、壁・床等の各種性能を評価できる JIS A 1416 がありますが、ともに T-1 から T-4 までの4等級で示され、等級が高いほど性能が高くなりますから、適切ではありません。

2 同じ厚さのコンクリート床の場合、梁で区画されたスラブ面積を小さくすると、重量床衝撃音に対する遮音性能は低くなる。
X 適切でない。 梁で区画されたスラブ面積を小さくすると、重量床衝撃音に対する遮音性能は高くなる。
固体伝搬音である床の衝撃音は、足音や軽いものが落ちたときなどの軽量床衝撃音と、子供が飛び跳ねたときのような重量床衝撃音に分けられます。
軽量床衝撃音に対しては、カーペットを敷くことは効果があります。また、重量床衝撃音の対策としては、床を厚くしたり小梁を設けて床スラブの剛性を高めると、遮音性能も高くなりますから、適切ではありません。二重床にするとさらに重量床衝撃音に対する遮音性能が向上します。
3 床の仕上げ材による遮音効果は、軽量床衝撃音に対しては大きく、重量床衝撃音に対しては小さい。
○ 適切である。
選択肢2で述べましたように、足音や食器の落下など軽いものが落ちたとき、椅子のひきずり音などの軽量床衝撃音の対策としては、カーペットや床の仕上げ材としてクッション性のある材料を使用しますと、遮音効果はあがりますが、子供が飛び跳ねたときのような重量床衝撃音に対しては、遮音効果は小さいので適切です。
4 壁の遮音性能を高めるために二重壁にした場合、同じ面密度の一重壁よりもすべての音域において遮音性能が高くなる。
X 適切でない。 低周波域では共振もある。
コンクリートの壁に石膏ボードなどを貼り付けた二重壁は、確かに同じ面密度の一重壁よりも遮音性能は優れていますが、すべての音域ではなく、低周波域においては、共振現象がみられ(太鼓現象)遮音性能が悪くなりますから、適切ではありません。
答え:3
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問42
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〔問42〕 マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 剛心とは、構造物の床位置に水平力が作用するとき、ある層の床の水平面内における回転中心をいう。
○ 適切である.。
厳密に剛心と重心が異なっているとなると、面倒な出題のようですが、あまり厳しいことをいわないで。
剛心とは、地震などに対するその建物がもっている揺れに対する強さの中心点をいいます。建物の変形に対して抵抗する中心点です。建築物にねじれが生じたときに回転の中心となりますから、適切です。
また、重心とは、建物の重さの中心点です。
なお、地震が発生すると、その力は重心に対しても強く働きますから、地震に対してもっとも耐えることのできる剛心とのずれがあると、建物全体にねじれが生じて倒壊する危険性があるため、剛心と重心の位置は、一致することが望まれます。
建築基準法では、剛心と重心の偏芯率は0.3以下になるよう求めています。

2 摩擦杭は、地盤の土と杭周面の摩擦力及び強固な支持層による杭先端の支持力によって建築物の重量を支えるものである。
X 適切でない。 摩擦杭の先端は支持力がない。
建築物を支える地盤が軟弱でその地層が厚い場合には、杭を打って建物を支えます。この方法は杭基礎と呼ばれます。杭基礎には、軟弱な地盤を貫いて下の強固な支持層にまで先端の杭を打ち込む①支持杭とよばれる方法と、建築物の重量が比較的軽いときには、下の強固な層にまで届かず、杭の周囲にある土との摩擦力で支える②摩擦杭があり、摩擦杭は、強固な支持層による杭先端の支持力によって建築物の重量を支えませんから、適切ではありません。
これは、テキストでお馴染みの図があります。

3 建築物に作用する固定荷重は、躯体、仕上げ材料等、建築物自体の重量をいい、屋根、床、壁等の建築物の部分別に定められた数値により計算することができる。
○ 適切である。 平成20年 管理業務主任者試験 「問19」 。
建築物に作用する荷重や外力は、建築基準法施行令第83条に以下のようにあげられています。
「(荷重及び外力の種類)
第八十三条 建築物に作用する荷重及び外力としては、次の各号に掲げるものを採用しなければならない。
一 固定荷重
二 積載荷重
三 積雪荷重
四 風圧力
五 地震力
2 前項に掲げるもののほか、建築物の実況に応じて、土圧、水圧、震動及び衝撃による外力を採用しなければならない。」

そして、固定荷重については、同施行令第84条
「(固定荷重)
第八十四条 建築物の各部の固定荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる建築物の部分の固定荷重については、それぞれ同表の単位面積当たり荷重の欄に定める数値に面積を乗じて計算することができる。(表は略)」とあり、
屋根、天井、床、壁やその仕上げ材料など建築物自体の重量をいい、それらの部分別に決められた単位面積当たりの荷重(単位 一平方メートルにつきニュートン)を計算して求められますから、適切です。
4 建築物に作用する積載荷重は、人、家具、調度物品等、移動が比較的簡単にできるものの重量をいい、住宅の居室、事務室、自動車車庫等、室の種類別に定められた数値により計算することができる。
○ 適切である。
建築物に作用する積載荷重とは、建築物内の人間や家具・調度・物品など移動できるもの(固定荷重に含まれない)の重量による荷重のことです。建築物に作用する積載荷重については、建築基準法施行令第85条
「(積載荷重)
第八十五条 建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。(表は略)」とあり、
室の種類として、住宅の居室、事務室、教室、百貨店又は店舗の売場、自動車車庫及び自動車通路、廊下、玄関又は階段、屋上広場又はバルコニーなどが、(い)床の構造計算をする場合、(ろ)大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合、(は)地震力を計算する場合に別けられて、各々定められた数値があり、計算できますから、適切です。
答え:2 選択肢1が少し悩むか。 よく読めば、選択肢2の杭の先端の支持がおかしいとは気づく。
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問43
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〔問43〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 機械式排水方式は、地下の排水槽から排水ポンプで排水する方式である。
○ 適切である。
排水の方法には、放流先より高いレベルにあれば高所から低所に自然の落下(重力)で排水する①重力式排水と、放流先より低いレベルにあれば、一度排水槽に溜めてから排水ポンプを使って加圧しして排水する②機械式(加圧式)排水がありますから、適切です。
2 ディスポーザ排水処理システムは、台所から排出する生ごみの破砕と排水処理を行うシステムである。
○ 適切である。 平成21年管理業務主任者試験 「問20」
最近のマンションでは多く採用されています、ディスポーザ(-)排水処理システムは、台所で出る生ごみを裁断機(ディスポーザーです)で粉砕して、水とともに排水するシステムですから、適切です。
なお、ディスポーザーされた排水は、そのまま下水道にながすと下水管や下水処理施設に影響を与えるため、ディスポーザー排水処理システムの設置にあたっては、地元の下水道事業体の認可が必要ですから、注意してください。
3 雨水排水ますは、雨水管への下水臭気の逆流防止のため設置される。
X 適切でない。 泥をためる。
雨水排水ますは、雨水排水の泥などが、配管に流れないように設けるもので、下水臭気の逆流防止のために設置されませんから、適切ではありません。
なお、雨水管への下水臭気の逆流防止のため設置されるのは、トラップますです。

4 結合通気管は、排水立て管と通気立て管を接続するもので排水立て管内の圧力変動の緩和のため設置される。
○ 適切である。 平成21年 マンション管理士試験 「問44」 。
排水管内で生じる気圧と外気圧との差があると配水管内の流れが円滑でなくなるため、排水管には、空気が出入りする通気管も設けます。
高層建築物では、10階程度の間隔で、排水立て管内の圧力変化を防止・緩和するために、排水立て管と通気立て管を結合通気管で結んで、下の階で生じた正圧(プラス)を逃がし、また上の階で生じた負圧(マイナス)を緩和させるために設けられますから、適切です。

答え:3 ここは、選択肢3は悩むが、他との消去法で、決まる?
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問44
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〔問44〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 土中埋設の白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)が腐食したため、ポリエチレン管に交換した。
○ 適切である。 平成19年 マンション管理士試験 「問43」 。
埋設ガス管としては、1970年頃までは、白ガス管とよばれる亜鉛メッキ鋼管が使用されていましたが、埋設後20年程度すると、地中の微弱な電流などの影響で管が腐食し、ガス漏れが発生する危険性があり、現在は埋設部には使用が禁止されています。そこで、耐久性や耐震性にも優れたガス用ポリエチレン管が使用されています。適切です。なお、地中に埋設しない場合には、ほとんど腐食が進行しないので、使用されます。
2 高圧洗浄法による排水管の清掃は、排水管内にノズルを挿入し、高圧水をノズルから噴射して付着物を除去する。
○ 適切である。
排水管の清掃方法としては、機械的に取り除く方法とアルカリ性洗浄剤などを使用する化学的に取り除く方法があります。一般的には、機械的に取り除く方法が採用されます。
その機械的に取り除く方法としては、
1.高圧洗浄法...排水管内にホース・ノズルを挿入し高圧水をノズルから噴射して管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
2.スネークワイヤー法...スクリュー型などのヘッドを先端に取り付けたワイヤーを回転させながら管内に入れて、押したり引いたりして、管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
3.ロッド法...先端の棒(ロッド)にスネークワイヤーのようにヘッドを付けて、1mから1.8m程度の棒を繋ぎ合わせて、手動で排水管内に入れて、管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
4.ウォーターラム法...詰まった排水管内に水を注入して、空気ポンプ(圧力ガン)で圧縮空気を一気に送り、その衝撃で管内の付着物や閉塞物を取り除く方法
があります。
高圧洗浄法による排水管の清掃の説明として、排水管内にノズルを挿入し、高圧水をノズルから噴射して付着物を除去する、適切です。

3 受水槽の有効容量は、一般にマンション全体の一日使用水量の1/5程度に設定する。
X 適切でない。 全体の一日使用水量の1/2程度にする。 平成18年 マンション管理士試験 「問44」 。
マンションでの受水槽(タンク)の有効容量は、通常、マンション全体の一日使用量の1/2程度に設定しますから、1/5 では適切ではありません。

4 居室のシックハウス対策として、換気回数が、1時間当たり0.5回以上の機械換気設備を設置する。
○ 適切である。 平成21年 マンション管理士試験 「問45」 、平成17年 管理業務主任者試験 「問24」 など。
室内の仕上げとして使用される壁紙の接着剤や建築材料に含まれるホルムアルデヒトなど、また家具に含まれる各種化学物質によって、目がチカチカしたり、めまいや吐き気など住んでいる人の健康に悪影響を与える事例を、シックハウス症候群とよんでいます。
そこで、建築基準法により、石綿の使用禁止と並んで、居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用が禁止され、ホルムアルデヒドの使用の制限が規定されました。
建築基準法第28条の2
「(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)
第二十八条の二 建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第三号において「石綿等」という。)を添加しないこと。
二 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
三 居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。」とあり、
これを受けた建築基準法施行令第20条の4、及び第20条の5
「(著しく衛生上有害な物質)
第二十条の四 法第二十八条の二第一号 (法第八十八条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める物質は、石綿とする。
「(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
第二十条の五 法第二十八条の二第三号 の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。 」
また、室内における化学物質の人体への影響を少なくするためには、換気設備で、室内の空気をきれいにすることも必要です。
そこで、建築基準法施行令第20条の8
「(居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
第二十条の八 換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第二十八条の二第三号 の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
一 居室には、次のいずれかに適合する構造の換気設備を設けること。
イ 機械換気設備(ロに規定する方式を用いるものでロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものを除く。)にあつては、第百二十九条の二の六第二項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
(1) 有効換気量(立方メートル毎時で表した量とする。(2)において同じ。)が、次の式によつて計算した必要有効換気量以上であること。
Vr=nAh
この式において、Vr、n、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Vr 必要有効換気量(単位 一時間につき立方メートル)
n 前条第一項第二号の表備考一の号に規定する住宅等の居室(次項において単に「住宅等の居室」という。)にあつては〇・五、その他の居室にあつては〇・三
A 居室の床面積(単位 平方メートル)
h 居室の天井の高さ(単位 メートル)
(以下略)」 とあり、
住宅の居室では、換気回数は、 0.5回/時間(1時間で、部屋の空気が半分入れ替わる)のような、機械式換気設備(24時間換気システム)の設置が義務つけられていますから、適切です。

答え:3 ここは、易しい。
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問45
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〔問45〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 圧力水槽(タンク)方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、加圧(給水)ポンプで圧力水槽に給水し、圧力水槽内の空気を加圧することにより高置水槽に揚水し、水の重力により各住戸に供給する方式である。
X 適切でない。 高置水槽は不要。
圧力水槽(タンク)方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、加圧(給水)ポンプで圧力水槽に給水し、圧力水槽内の空気を加圧することにより、各住戸に給水する方式です。高置水槽に揚水しませんから、適切ではありません。水が使われてタンク内の圧力が低下したことを圧力スイッチが検知すると、加圧ポンプが稼動して、圧力タンク内の圧力を上げてタンクの必要な圧力を保持します。主に小規模なマンションで使用されます。

2 住戸内のさや管ヘッダ一方式の給水管として、水道用架橋ポリエチレン管や水道用ポリブデン管等が使用される。
○ 適切である。 平成22年 マンション管理士試験 「問43」 、平成22年 管理業務主任者試験 「問24」 。
さや管ヘッダー方式とは、施工時にあらかじめ樹脂製の刀のさやのように、中身を保護するためにかぶせる”さや管(CD管)”を敷設し、あとでそのさや内に軟質の管材(架橋ポリエチレン管やプリブテン管など軟質鋼管)の給水管を差し込んで給湯器と浴室のシャワーや台所の温水栓と結びつけますから、適切です。
従来工法の給湯機から一本の給湯配管が伸びて、途中で台所や浴室に分岐する工法とは異なり、さや管ヘッダー方式は、ヘッダー(一本の配管と多数の配管を分岐・合流させる装置)を給湯器やパイプシャフト周辺に設け、予めヘッダーから各給水栓までタコ足状に敷設したサヤ管(中に給湯管を通すための管)に、後から樹脂管を通管する工法をいいます。「ヘッダー」で分岐するため、在来工法に比べて、複数の水栓を同時使用したときの流量変動が小さいという特徴があります。
曲がりの多いさや管ヘッダー方式では、耐熱、耐寒、耐食性に優れた水道用架橋ポリエチレン管や水道用ポリブテン管が使用されます。
なお、架橋ポリエチレン管とは、熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させ、立体の網目構造にした超高分子量ポリエチレンをいいます。従って、架橋反応が終了した時点で、ポリエチレンはあたかも熱硬化性樹脂のような立体網目構造となり、耐熱性、クリープ性能(プラスチックが時間によって変形する現象)とも向上するのです。

3 FRP (繊維強化プラスチック)製の水槽は、光透過性が高く、藻類が増殖する場合がある。
○ 適切である。
FRP(Fiber Reinforced Plastisc)はプラスチックをガラス繊維で補強したもので、強靭で安定した材料です。
そこで、FRP製の水槽は多く使用されていますが、光透過性が高く、藻類が増殖する場合もあり、適切です。定期的な清掃も必要です。

4 ポンプ直送方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、加圧(給水)ポンプで直接加圧した水を各住戸に供給する方式で、高置水槽は不要である。
○ 適切である。 平成24年 管理業務主任者試験 「問25」 、 平成22年 マンション管理士試験 「問43」 。
ポンプ直送方式は、水道本管から分岐して引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、加圧(給水)ポンプで直接加圧した水を各住戸に供給する方式で、高置水槽は不要ですから、適切です。
なお、ポンプ直送(加圧給水)方式には、水の使用量に応じて、ポンプの吐き出し側に取り付けた圧力スイッチや流量計などによって稼動させるポンプの台数をコントロールする「定速ポンプ方式」と、ポンプの吐き出し側の圧力や流量を検知してポンプの回転数をコントロールする「可変速(変速)ポンプ方式」、またそれらを組み合わせた方式があります。
ポンプは水の流れが少量でも稼動しますので、あまり水の流れが少ない状態が続くとポンプが焼ける恐れがありますから、水の流れが少量時用に圧力タンクを設けます。

答え:1 ここは、選択肢1で少し悩むが、もう過去問題をやっていれば、すぐにできる。
*2013年12月10日:気分が、設備に関して乗っていますので、解説は、このあと、平成25年 管理業務主任者試験 の設備関係 「問19」 などへ移ります。
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問46
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*注:問46から問50までは、マンション管理士試験か管理業務主任者試験の合格者には免除される部分です。また、この問46から問50は、「マンション管理適正化法」と同指針からの出題と決まっていますので、出題は似たような内容となります。過去問題はやっておくと楽です。
〔問46〕 次の記述は、「マンションの管理の適正化に関する指針」の「一 マンションの管理の適正化の基本的方向」の一部である。空白となっている A~D に下欄の ア~ク の語句を選んで文章を完成させた場合において、正しい組合せは、次のうちどれか。
(解説者より注:実際の試験問題では、A~D は四角形(□)で囲まれていますが、NETの言語HTMLでは表示できなないので、四角形は( )にしました。)
1 マンションの管理の主体は、マンションの (A) で、構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの (A) の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行うことが重要である。特に、その経理は、 (B) を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。また、第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する必要がある。
2 略
3 マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、 (C) 等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。
4 マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体及び (D) は、その役割に応じ、必要な情報提供等を行うよう、支援体制を整備・強化することが必要である。
ア 区分所有者 イ 区分所有者等
ウ 健全な会計 エ 正確な会計
オ マンション管理士 カ マンションの管理員
キ マンション管理業者の団体 ク マンション管理適正化推進センター
1 Aはア、Bはウ、Cはオ、Dはキ
2 Aはイ、Bはウ、Cはオ、Dはク
3 Aはア、Bはエ、Cはオ、Dはク
4 Aはイ、Bはエ、Cはカ、Dはク
* 平成24年 管理業務主任者試験 「問46」 、平成19年 管理業務主任者試験 「問46」 、 平成13年 管理業務主任者試験 「問47」 など。
「マンションの管理の適正化に関する指針」の「一 マンションの管理の適正化の基本的方向の全文は、以下の様になっています。
1 マンションの管理の主体は、マンションの A:区分所有者等 で構成される管理組合であり、管理組合は、マンションの A:区分所有者等 の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行うことが重要である。特に、その経理は、 B:健全な会計 を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。また、第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する必要がある。
3 マンションの管理は、専門的な知識を必要とすることが多いため、管理組合は、問題に応じ、 C:マンション管理士 等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である。
4 マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体及び D:マンション管理適正化推進センター は、その役割に応じ 、必要な情報提供等を行うよう、支援体制を整備・強化することが必要である。
解答の文を先に出してしまうと、もう解説もないのですが、このような穴埋めは、分かる箇所から攻めていくだけです。Cの”マンション管理士”あたりは、分かり易い箇所ではないでしょうか。Aの”区分所有者等”の等”は、少し悩む箇所でした。
答え:2 Aはイ(区分所有者等)、 Bはウ(健全な会計)、 Cはオ(マンション管理士)、 Dはク(マンション管理適正化推進センター)
指針からは、過去はほとんど出題がなかったが、平成20年以来の出題だ。
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問47
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〔問47〕次の記述のうち、マンション管理適正化法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 マンション管理適正化法上の管理組合とされるためには、管理者が選任されていなければならないが、その管理者はマンション管理業者その他の区分所有者以外の者であってもよい。
X 誤っている。 マンション管理適正化法上の管理組合では、管理者が選任されていなければならないという規定はない。 平成24年 マンション管理士試験 「問46」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問46」 、平成22年 マンション管理士試験 「問47」 など。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「マンション管理適正化法」といいます)で、管理組合とは、などといういわゆる定義条項は、第2条に羅列されています。
「(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
一 マンション 次に掲げるものをいう。
イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項
に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設
ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設
二 マンションの区分所有者等 前号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者をいう。
三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法第三条 若しくは第六十五条 に規定する団体又は区分所有法第四十七条第一項 (区分所有法第六十六条
において準用する場合を含む。)に規定する法人をいう。
四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項 (区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は区分所有法第四十九条第一項
(区分所有法第六十六条 において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。
五 マンション管理士 第三十条第一項の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者をいう。
六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。
七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。
八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受けてマンション管理業を営む者をいう。
九 管理業務主任者 第六十条第一項に規定する管理業務主任者証の交付を受けた者をいう。 」です。
そこで、マンション管理適正化法での管理組合とされるには、第2条3号によれば、区分所有法第3条で規定される区分所有者の団体、または、区分所有法第47条の管理組合法人、または区分所有法第65条に規定される団地管理組合、または区分所有法第66条に規定される団地管理組合法人であればよく、この規定では管理者の選任までは求められていませんから、誤りです。
なお、設問後半の、管理者は第2条4号によれば、マンション管理業者その他の区分所有者以外の者であってもかまいません。
2 マンションの管理に関する基幹事務には、共用部分及び専有部分の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整が含まれる。
X 誤りである。 専有部分は入っていない。
マンションの管理に関する基幹事務とは、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条6号
「六 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。以下同じ。)を含むものをいう。 」とあり、
基幹事務の中で、専有部分に関した維持又は修繕などは除きますから、誤りです。
3 区分所有建物の全部を一人で所有している者が、1戸の専有部分を居住用として使用し、他の専有部分のすべてを事務所又は店舗用として賃貸していても、その建物はマンションである。
X 誤っている。 区分所有者が1人では、マンションではない。
マンションとは、選択肢1で引用しました、マンション管理適正化法第2条1号イ
「一 マンション 次に掲げるものをいう。
イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」です。
これによりますと、マンションとは、2人以上の区分所有者がいて、居住用であることですから、区分所有者が1人では、マンション管理適正化法でのマンションではありませんから、誤っています。

4 マンション管理適正化法上のマンションには、一団地内の土地又は附属施設が当該団地内にあるマンション管理適正化法第2条第1号イに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設も含まれる。
○ 正しい。
選択肢1で引用しました、マンションを定義しています、マンション管理適正化法第2条1号ロ
「一 マンション 次に掲げるものをいう。
ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設」とあり、
団地であっても、マンション管理適正化法のマンションに該当しますから、正しい。
答え:4 かなり易しい問題でした。
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問48
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〔問48〕マンション管理士に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンション管理士は、5年ごとに、国土交通大臣の登録を受けた者が国土交通省令で定めるところにより行う講習を受けなければならず、これに違反した場合は、10万円以下の過料に処される。
X 誤っている。 過料はない。 平成24年 マンション管理士試験 「問50」 、平成22年 マンション管理士試験 「問46」 など。
マンション管理士試験に合格してマンション管理士として無事に登録をされると、マンション管理適正化法第41条
「(講習)
第四十一条 マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、次条から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)を受けなければならない。」とあり、
「国土交通省令で定める期間」とは、マンション管理適正化規則第41条
「(法第四十一条 の国土交通省令で定める期間)
第四十一条 法第四十一条 の国土交通省令で定める期間は、五年とする。」とあり、
マンション管理士となると、5年ごとに講習を受けなければなりません。この講習を受ける趣旨は、マンション管理において新しい知識を吸収させるためのようですが、単に国土交通省の天下り団体を存続させるための規定のようです。
それは、さておき、この講習を受けないと、マンション管理適正化法第33条
「(登録の取消し等)
第三十三条 国土交通大臣は、マンション管理士が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
一 第三十条第一項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
二 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
2 国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。 」とあり、
第41条違反として、第33条2項に該当して、登録の取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止となります。
罰則として、10万円以下の過料に処されることはありませんから、誤りです。
2 マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理士でなくなった後においても、同様とする。これに違反した者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。
○ 正しい。
マンション管理士となると、業務上の守秘義務があります。
それが、マンション管理適正化法第42条、
「(秘密保持義務)
第四十二条 マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理士でなくなった後においても、同様とする。」です。
これに違反すると、マンション管理適正化法第107条
「 第百七条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第十八条第一項(第三十八条、第五十八条第三項及び第九十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第四十二条の規定に違反した者
2 前項第二号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」とあり、
第42条違反は、第107条1項2号に該当し、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されますから、正しい。
3 マンション管理士でない者がマンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用した場合には、30万円以下の罰金に処される。
○ 正しい。 平成15年 管理業務主任者試験 「問46」 、平成14年 マンション管理士試験 「問46」 。
法定資格であるマンション管理士の名称は、マンション管理士でない者には使用できません。
それが、マンション管理適正化法第43条、
「(名称の使用制限)
第四十三条 マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。」とあります。
もしこれに違反すると、マンション管理適正化法第109条
「第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三十三条第二項の規定によりマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用したもの
二 第四十三条の規定に違反した者
三 第四十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
四 第五十六条第三項の規定に違反した者
五 第九十八条の規定に違反して契約を締結した者 」とあり、
第43条違反として、第109条2号に該当し、30万円以下の罰金に処されますから、正しい。
4 国土交通大臣は、試験事務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理適正化法第11条に規定する指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
○ 正しい。
指定試験機関なんてものは、もうマンション管理士試験に合格すれば、まったく関係がありませんが、 マンション管理適正化法第22条
「(立入検査)
第二十二条 国土交通大臣は、試験事務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関(注:マンション管理適正化法第11条に規定)の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 」とあり、
第22条1項に規定されていますから、正しい。
答え:1 この出題も、易しい。
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問49
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〔問49〕 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 管理業務主任者は、マンション管理業者が管理組合との間で管理受託契約を締結しようとするときに、マンションの区分所有者等及び管理組合の管理者等に対して重要事項の説明を行う。
○ 正しい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問47」 、 平成22年 管理業務主任者試験 「問50」 、 平成18年 マンション管理士試験 「問50」 など。
管理業務主任者の仕事の1つとして、「マンション管理業者が管理組合との間で管理受託契約を締結しようとするときに、マンションの区分所有者等及び管理組合の管理者等に対して重要事項の説明」があります。
それは、マンション管理適正化法第72条
「(重要事項の説明等)
第七十二条 マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約(新たに建設されたマンションの当該建設工事の完了の日から国土交通省令で定める期間を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除く。以下「管理受託契約」という。)を締結しようとするとき(次項に規定するときを除く。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるもの(以下「重要事項」という。)について説明をさせなければならない。この場合において、マンション管理業者は、当該説明会の日の一週間前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
2 マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない。
3 前項の場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
4 管理業務主任者は、第一項又は前項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。
5 マンション管理業者は、第一項から第三項までの規定により交付すべき書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。」とあり、
設問は第72条1項に該当し、正しい。
2 管理業務主任者は、マンション管理適正化法第64条第2項の規定による禁止の処分を受けたときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に提出しなければならない。これに違反した場合は10万円以下の過料に処される。
○ 正しい。 平成20年 管理業務主任者試験 「問48」 、 平成15年 管理業務主任者試験 「問48」 。
管理業務主任者が、マンション管理適正化法第64条2項の規定による禁止の処分を受けたときとは、まず、マンション管理適正化法第64条
「(指示及び事務の禁止)
第六十四条 国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該管理業務主任者に対し、必要な指示をすることができる。
一 マンション管理業者に自己が専任の管理業務主任者として従事している事務所以外の事務所の専任の管理業務主任者である旨の表示をすることを許し、当該マンション管理業者がその旨の表示をしたとき。
二 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して管理業務主任者である旨の表示をしたとき。
三 管理業務主任者として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。
2 国土交通大臣は、管理業務主任者が前項各号のいずれかに該当するとき、又は同項の規定による指示に従わないときは、当該管理業務主任者に対し、一年以内の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。」です。
第64条2項に該当すると、第60条
「(管理業務主任者証の交付等)
第六十条 前条第一項の登録を受けている者は、国土交通大臣に対し、氏名、生年月日その他国土交通省令で定める事項を記載した管理業務主任者証の交付を申請することができる。
2 管理業務主任者証の交付を受けようとする者は、第六十一条の二において準用する第四十一条の二から第四十一条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下この節において「登録講習機関」という。)が国土交通省令で定めるところにより行う講習(以下この節において「講習」という。)で交付の申請の日前六月以内に行われるものを受けなければならない。ただし、試験に合格した日から一年以内に管理業務主任者証の交付を受けようとする者については、この限りでない。
3 管理業務主任者証の有効期間は、五年とする。
4 管理業務主任者は、前条第一項の登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。
5 管理業務主任者は、第六十四条第二項の規定による禁止の処分を受けたときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に提出しなければならない。
6 国土交通大臣は、前項の禁止の期間が満了した場合において、同項の規定により管理業務主任者証を提出した者から返還の請求があったときは、直ちに、当該管理業務主任者証を返還しなければならない。
」とあり、
第60条5項に該当し、「禁止の処分を受けたときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に提出」しなければなりません。
もしこの規定に違反すると、今度は、マンション管理適正化法第113条
「第百十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第五十条第一項の規定による届出を怠った者
二 第六十条第四項若しくは第五項、第七十二条第四項又は第七十七条第三項の規定に違反した者
三 第七十一条の規定による標識を掲げない者」とあり、
第113条2号に該当し、第60条5項違反として、10万円以下の過料に処せられますから、正しい。
3 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならないが、この説明をするときに当該管理業務主任者は、管理者等からの請求がなければ、管理業務主任者証を提示することを要さない。
X 誤っている。 管理業務主任者証の提示は、請求がなくても行うこと。 平成24年 マンション管理士試験 「問48」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問50」 、平成23年 マンション管理士試験 「問50」 など、 多い。
管理事務の報告は、マンション管理適正化法第77条
「(管理事務の報告)
第七十七条 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
2 マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
3 管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。 」とあり、
設問は、第77条1項に該当します。すると、同3項により、「管理業務主任者は、前二項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければなりません」。
この場合の、「管理業務主任者証の提示」は、相手の請求がなくても、管理業務主任者がしなければなりませんから、誤りです。
4 国土交通大臣は、管理業務主任者の事務の適正な遂行を確保するために必要があると認めるときは、その必要な限度で、管理業務主任者に対し、報告をさせることができる。この場合に管理業務主任者が報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、30万円以下の罰金に処される。
○ 正しい。
まず、国土交通大臣が管理業務主任者に対し、報告を求めるは、マンション管理適正化法第67条
「(報告)
第六十七条 国土交通大臣は、管理業務主任者の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、管理業務主任者に対し、報告をさせることができる。」とあり、
前半は正しい。
そして違反は、マンション管理適正化法第111条
「第百十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第六十七条又は第八十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第七十三条第一項の規定に違反して、書面を交付せず、又は同項各号に掲げる事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
三 第七十三条第二項の規定による記名押印のない書面を同条第一項の規定により交付すべき者に対し交付した者
四 第八十条又は第八十七条の規定に違反した者
五 第八十六条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
六 第八十八条第一項の規定に違反した者
七 第九十九条第一項の規定による事業計画書若しくは収支予算書若しくは同条第二項の規定による事業報告書若しくは収支決算書の提出をせず、又は虚偽の記載をした事業計画書、収支予算書、事業報告書若しくは収支決算書を提出した者
2 前項第四号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。 」とあり、
第67条違反は、第111条1項1号に該当し、30万円以下の罰金に処せられますから、全体として正しい。
*ところで、罰金と過料の違い、科料との違いも分かりますか?
答え:3 前の「問48」はマンション管理士の罰則で、この「問49」は、管理業務主任者の罰則とは、少しばかり、手が込んだ出題だ。 また、区分所有法での罰則は、「問11」 にあった。
平成25年の出題者は、罰則がお好きなようです。
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問50
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〔問50〕 マンション管理業に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
○ 正しい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、 平成23年 管理業務主任者試験 「問49」 など。
マンション管理業者の書類の閲覧としては、マンション管理適正化法第79条
「(書類の閲覧)
第七十九条 マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。」とあり、
正しい。
2 マンション管理業者は、管理組合の同意があれば、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務を一括して他人に委託することができる。
X 誤っている。 管理組合の同意があっても、基幹事務の一括委託はできない。 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 、平成23年 管理業務主任者試験 「問48」 など。 よく出る問題。
設問は、マンション管理適正化法第74条
「(再委託の制限)
第七十四条 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。 」とあり、
例え、管理組合の同意があっても、基幹事務については、一括して他人には委託できませんから、誤りです。(では、一部なら?)
3 マンション管理業者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理業者でなくなった後においても同様とする。
○ 正しい。 平成24年 管理業務主任者試験 「問49」 、 平成23年 マンション管理士試験 「問49」 など。
マンション管理業者にも、当然ながら守秘義務が課されています。
それが、マンション管理適正化法第80条
「(秘密保持義務)
第八十条 マンション管理業者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理業者でなくなった後においても、同様とする。」とありますから
、正しい。
4 国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
○ 正しい。
マンション管理業者の事務所への立ち入り検査は、マンション管理適正化法第86条
「(立入検査)
第八十六条 国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」とあり、
第86条1項に該当していて、正しい。
答え:2 ここも、条文のままとは、かなり易しい問題でした。
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2014年 2月21日:再度見直した。
2014年 2月 8日:再検討した。また、リンクを入れた。
2014年 1月26日:再度検討し、長い引用条文の後に、1行入れて、見やすくした。
「問35」の会計での数字が乱れているので、TABLEに変更した。
2014年 1月18日:1月10日のマンション管理センターの合格発表を受けて、正解を確認した。
2013年12月21日:一応、解説終わり。
2013年12月15日:「問26」から開始。
解説の開始:2013年12月 6日~10日:設備関係 「問36」、「問40」、「問41」、「問42」、「問43」、「問44」、「問45」を先にやった。
問題文Up:2013年11月28日

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