★★       条 文 の 解 説        ★★

建物の区分所有等に関する法律

(この解説においては、略称:区分所有法 と言う)

第1章 建物の区分所有 第3節 敷地利用権

第二十二条 分離処分の禁止
第二十三条 分離処分の無効の主張の制限
第二十四条 民法第二百五十五条の適用除外
 
不動産登記法の概要 

V.第22条(敷地利用権 分離処分の禁止)から 第24条(民法第255条の適用除外)まで

マンション管理士・管理業務主任者を目指す方のために、区分所有法を条文ごとに解説しました。

試験問題は、過去の問題から出されるのではありません。条文から出題されます。

条文を勉強することが、合格への道です。

 

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第一章 建物の区分所有
第三節 敷地利用権
 
(分離処分の禁止)
第二十二条
1項 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
過去出題 マンション管理士 H24年、H22年、H20年、H19年、H18年、H16年、H15年、H13年
管理業務主任者 H20年、H19年、H15年、H14年、H13年

敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には...敷地利用権が土地の所有権、地上権、賃借権などで、これらが民法で規定する「共有」または「準共有」の関係にあるときは、持主は建物の「専有部分」と土地の「利用権」を別々には動かせない。原則として、建物の「専有部分」と土地の「利用権」は一緒に動く。

★ここからは、「第1章 建物の区分所有」の「第3節 敷地利用権」に入ります。
 「第3節 敷地利用権」は、第22条から第24条までで構成されています。

★敷地利用権の確認
  ここまで、勉強がすすんでくると、もう、前にやった区分所有法第2条での定義での説明は忘れた頃でしょうから、敷地利用権の復習です。

 区分所有法第2条 (定義)

 第二条  この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。

6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

  *敷地利用権とは...専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利です。(第2条6項)
               建物の敷地とは、その建物が存在する土地と規約により建物の敷地とされた土地です。(第2条5項)
               また、専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分です。
               では、区分所有権とは、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分を目的とする所有権です。(第2条1項)

   平たくいうと、マンションでの個人の権利が使える室(専有部分)を持っている場合に、一緒に持つ土地の権利です。

★区分所有法の最大の特徴「建物の権利」と「土地の権利」を一体化した条文。

*ただし、規約で別段を定められる。

*処分とは...譲渡、抵当権や質権の設定。区分所有者がうける差押えや仮差押えなどの法律行為。

★専有部分と敷地利用権の一体化 ― 分離処分の禁止 ― の理由

 ◎どうして、マンションでは、建物と土地の権利を一体化させなければならなかったか
  まず区分所有法の基本となっている、民法に戻りますが、
民法では不動産である土地と建物の権利は別々であるという構成をとりました。
  そこで、建物が適法に存在するためには、建物の下にある土地(敷地)を所有しているとか、借りている等の権利が必要となります。

 土地と建物の権利が別々に存在するということは、土地の所有者と建物の所有者は別の人でもいいということです。
 土地の権利と一戸建の場合には、土地と建物の所有者が異なっても土地に対する借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権:借地借家法第2条)が成立するだけで、権利関係さえはっきりさせておけば、土地利用上の問題はありません。



 マンションでも、この
民法の原則が適用され、建物の専有部分の所有権と土地の権利である敷地利用権は別々に売買・抵当権の設定などの処分が以前は出来ました。
 しかし、 土地の権利と建物の専有部分の権利が別々に譲渡など権利の移動ができるとすると、当然ながら土地の権利は持っていても建物の権利は持っていないなどの場合も発生し、権利関係が複雑になり、登記などの管理も面倒になります。 また、マンションのような建物の専有部分が関係する取引の実務では、建物と土地は一緒に処分されていました。

◎不動産登記からの問題
 
 民法に従うと、不動産である建物と土地が別々に処分(譲渡など)できるため、第三者へ対抗するためには、建物と土地を別々に登記が必要(民法第177条)であり、建物の専有部分は、各専有部分ごとに登記用紙が区分されているので、それほど問題がありませんが、登記された1つの敷地(1筆ともいいます)の上に多数の区分所有者がいるマンションでは、敷地についての区分所有者の全員の共有持分(または地上権、賃貸借の準共有持分)の取得の登記からはじまり、その各持分の移転、差押え(仮差押え)、抵当権の設定(抹消)などが、所有権に関するときは登記簿の甲区に、所有権以外のときは登記簿の乙区に、受付の順序に従って連綿と記載されていました。
 このため、該当する登記簿の記載内容は膨大となり、その記録の中から特定の区分所有者の権利関係を探し出し理解することは、大変な苦労となっていました。
また、登記簿も変更順に綴じているため一覧性がなく、登記簿の中から該当の個所を探すだけでも時間がかかり、登記事務処理上も多大の障害になっていました。

<参照> 民法 第177条 :(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

◎どうすればいいのか。
  このような登記の煩雑さを解決する方法としては、建物と土地の権利を別個のものとはせず、どちらか1つの権利に一体化させることです。そうすれば、登記簿の記録は減少され、面倒な問題は無くなります。
 しかし、それでは、日本が今まで基本としています
民法の規定を大幅に変えることになり、これまた大変な作業と時間が必要となります。

◎区分所有法独自の権利を創造した −区分所有権と敷地利用権−

 そこで、区分所有法では、民法が戸建で採用してきた建物の権利と土地の権利は別々であることを前提として、新しく建物の権利として区分所有権を、また土地の権利として敷地利用権という権利を創造し、そこで建物と土地との分離処分を禁止して一体性を図ったものがこの区分所有法第22条の規定です。

 そして、区分所有法の制定に伴い、不動産登記法も改正し、不動産登記簿でも、各専有部分(室)ごとにあった建物と土地の登記簿から、土地を建物の専有部分の登記簿上で「敷地権」として公示し、建物と土地に生じる権利変動に関する登記は、建物の専有部分の登記用紙にのみ登記し、「敷地権」の登記がなされると土地の権利(敷地利用権)についても同様の登記がなされたものとみなすことによって、たとえ権利の変動があっても土地(敷地)への登記はしないという簡略な扱いができ、権利関係が、単純化され分かりやすくなりました。

 区分所有建物を巡る過去のトラブルの解決策として立法者が、民法や不動産登記法とも見据えて苦労して築き上げた規定です。

★敷地利用権とは

 この第22条で規定される、敷地利用権とは、既存の建物所有を目的とする”土地の利用権”です(第2条6項)。この建物の土地(敷地)には、その建物が上に存在している土地(法定敷地)だけでなく、登記簿上、別筆であっても規約により建物の敷地とされた庭やテニスコートなどいわゆる、規約敷地(第5条参照)も含んでいますから注意してください。



 土地を利用できる権利としては、具体的には、
@所有権・A地上権・B賃借権・C使用借権の4種の権利に基づくことであり、所有権だけでなく賃借の場合なども含むことにも注意してください。
 
 本第22条で規定されます「建物の専有部分と土地に対する敷地利用権の分離処分の禁止」が適用されるのは、土地に対する敷地利用の権利が”数人で共同保有されている場合”というのですから、別の捉え方をすれば、敷地の権利が民法で定める所有権による
@「共有」のときと、所有権以外の借地権・使用借権のA「準共有」の場合になります。

<参照> 民法 第三節 共有

(共有物の使用)
第二百四十九条  各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

<参照> 民法 第264条
準共有
第二百六十四条  この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

*敷地を分有している場合

 しかし、区分所有法が誕生する前から存在する、一般には庭がついていてテラス・ハウスやタウン・ハウスと呼ばれる、建物の壁は繋がった1棟を土地に対して縦割りで区分所有する場合では、各専有部分ごとに下の敷地を単独所有する形態と、また下の土地を各々が独自に借地することがあります。(旧住宅公団=都市再生機構が昭和30年代の郊外の団地で、この形式で建てて分譲しています)
 この場合の土地の敷地利用権は、建物の専有部分に対応した個人が有するため、共有ではなく
分有といいます。 分有の場合には、敷地の上の建物は1棟で繋がっていても、下の土地の関係は戸建と余り変わりが無いので、専有部分と敷地利用権との関係は一体化されません。注意してください。

 

★分離処分ができない内容

  分離処分ができないということは、二つの物がある場合、どちらか1つだけに対する法律行為ができないということです。
 本第22条により、建物の専有部分に関する権利(区分所有権)とその敷地利用権を、単独に、別々に分離して処分できない例としては、
  ・譲渡
  ・抵当権の設定
  ・質権の設定
  ・遺贈
  などが考えられます。

  なお、自己の有する建物の専有部分(室)だけを賃貸に出すのは、敷地利用権には影響が及ばないため、可能です。

  また、マンションの敷地の地下に地下鉄を通す場合での、地下区分地上権(民法第269条の2)に対して、賃借権を設定する行為や、敷地の一部に賃借権を設定する行為は、専有部分と敷地利用権の分離処分でないという説がありますが、これは、民法の共有ともからみ、まだ、区分所有法だけの解釈として、そこまで言い切れるか、まだ、まだ議論の余地があります。

<参照>民法第269条の2 : (地下又は空間を目的とする地上権)

第二百六十九条の二  地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。

2  前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。

★分離処分禁止の効果

 本第22条の規定により建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分が禁止され、建物と土地の権利の一体化が図られます。

 また、建物の共用部分の持分も専有部分と分離しての処分が禁止されていますから(区分所有法第15条2項)、これで、区分建物においては、すべての処分行為は専有部分を中心に動くことになります。

 建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分が禁止されるということは、建物の専有部分が譲渡されれば、建物の共用部分の使用権も付き、当然に土地の敷地利用権も共に譲渡されるということです。
建物の専有部分に抵当権が設定されれば、その効力は共用部分にもおよび、さらに敷地利用権にもおよびます。
そして、この建物と土地の一体化の原則は、不動産登記法により登記簿にも反映されます。

 分離処分禁止により、敷地の権利が所有権による共有のときや借地権・使用借権の場合の準共有にある時は、敷地の権利と建物の区分所有権のどちらか一方の譲渡・抵当権や質権の担保権設定行為は原則として無効となります。(ただし、第23条に例外あり)。

★敷地利用権:第2条6項 
 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

   ★敷地利用権...区分所有法が創設した土地に対する特別の権利。マンション(建物)が建っている土地の利用権。一般には所有権だけど、所有権以外もある(地上権、賃借権でも可能。)

   ★マンションの敷地が共有等のとき、マンションの室の専有部分(区分で所有している)と分離させると、権利関係が複雑になるので禁止した。

   例:土地だけに対する抵当権の設定があるとき、土地だけが競売されると、室の所有者と土地の所有者の名義が異なってしまう。これでは、権利関係が面倒になる。

★「ただし」書きの意味...規約で別段の定めができる。

  第22条本文では建物の専有部分(区分所有権)と土地の敷地利用権の分離処分を禁止していますが、ただし書きがあることにも注意してください。

 第22条のただし書きが意味する −規約で別段の定めを許す−のは、
 適切な規約があれば、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止の規定は排除できます。(第31条参照
 規約で分離処分の禁止を排除する具体的な例としては、  
   @既存の敷地利用権が分有の場合(例:テラスハウス)など
   A最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、分離処分を許す規約を設定できる(例:分譲前のマンション販売会社)
  の2つの場合があります。

 @既存の敷地利用権が分有の場合
  歴史的に不動産である建物の権利と土地の権利を別の物として扱い、各々が別々に処分(譲渡・抵当権の設定など)できるとしてきた民法との関係から、全てを新しく設定された区分所有法に遡及的に入れてしまうことは適切ではないため、建物の区分所有権と土地の敷地利用権の分離処分を禁止しない規約での別の設定も認めています。

  その具体的な例の1つとしては、今は稀になっています古い建て方ですが、棟割長屋とか、テラス・ハウス(タウン・ハウス)と呼ばれる建物では、土地の上の建物は壁を隔てて横に繋がった1棟ですが、下の敷地は建物の部分に応じて区画分割され、建物の区分所有者は区画ごとに土地の権利を分有(単独所有)しており、この場合には土地の権利(敷地利用権)は建物(専有部分)と別々に処分できます。

  タウン・ハウスのような、建物は繋がった1棟であっても、下の土地は、その建物の各部分に応じて単独所有(又は貸借も)されている場合には、建物の専有部分と土地の敷地利用権が一体化されていないので、普通の戸建と同じで土地との分離処分もみとめる事もあります。これが、「ただし」書きで規約での別段を許す1つの存在理由です。

 このような、土地と建物の権利が一体化されず別々に存在し、土地の権利と建物の権利の分離処分を認めることは規約で可能ですが、それを現実に移すと、土地の所有者と建物の所有者が異なる状況も可能となります。
 そこで、土地の所有者が上にある建物を壊すことができることとなると、(例えば、もともとはCさんが所有していた敷地Cと専有部分Cのうち、Cさんの敷地だけを新しく別人のDさんが取得する)、その1棟の建物の専有部分である1部分だけを壊すことは、当然に壁で繋がっている隣室に影響を及ぼすので、この場合は、敷地の権利者が、建物の区分所有者に対して、区分所有権を時価で売り渡せと請求できるのが、前に出ました区分所有法第10条の規定です。


  ここで、第10条の解説に戻ってくれると、うれしい。余談です:ここまできて、やっと区分所有法第10条の意味が分かるとは、本当に区分所有法の構成は不可解。

<参照>区分所有法 第10条:(区分所有権売渡請求権)
第十条  敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

 

 A最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、分離処分を許す規約を設定できる。
  第22条のただし書きでの、原則;建物の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止に反して、規約での別段の定めが許される場合の2番目としては、最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、公正証書で、建物の専有部分と敷地利用権の分離処分を許す規約の設定を可能としています。

  「最初」にとは、譲渡によらないで、建物の専有部分の全部を所有していることです。
この場合も規約があれば、専有部分と敷地利用権を分離して処分ができます。
 関係した分離処分を許す条文は区分所有法第32条に規定されています。

<参照>区分所有法 第32条:(公正証書による規約の設定)
第三十二条  最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる

   第32条は、マンションの分譲会社が販売前に、公正証書により、原則、専有部分と敷地利用権の分離処分が禁止されていても、例外として規約を設定できることを認めています。現実には、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止を排除することは、稀な規定ですが。

   また、広い1筆の土地に、順次マンションを建設・分譲するときにも、この「ただし」書きにより、対応しています。
  たとえば、広い1筆の土地(甲)があり、A棟を建てて分譲し、その後B棟を建てて分譲するときなどは、甲土地の全体がすでにA棟の法定敷地となり、A棟の購入者の共有になってしまい、あとから購入したB棟の購入者は甲土地を共有できません。(区分所有法第2条5項と第5条を思い出してください。)
  そこで、A棟の分譲時の規約で、B棟の共有部分を分譲業者に留保する項目を定めて、対応します。

 この建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分禁止の趣旨により、普通の分譲マンションでは、土地と建物の分離処分ができることは規約で認めないことが望ましい。
 これを受け、標準管理規約(単棟型)では、建物の専有部分と敷地や共用部分との分離処分を禁止しています。

<参考>標準管理規約(単棟型)11条:(分割請求及び単独処分の禁止)
 第11条 区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。

  2. 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない

第11条関係コメント
@ 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たらない。

A 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない旨を規定する。

    (注)@賃貸に出すのは、可
       A倉庫や車庫も別の専有部分となって所有しているときには、同じ区分所有者になら譲渡できる。

  ★この建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分禁止の規定により、不動産登記のやり方が大幅に変更になった。

不動産登記簿:区分所有法では「敷地利用権」と規定しているが、不動産登記法では、「敷地権」となっている。

★「敷地利用権」と「敷地権」の関係
  詳細に不動産登記法を読むと、どうして不動産登記法で区分所有法と同じ「敷地利用権」の名称を使わないのかが分かります。

 不動産登記法 第44条1項9号
九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

  区分所有法 第2条6項
6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

   区分所有法で定める「敷地利用権」は登記されなくてもかまいませんし、また規約や事情により専有部分と分離して処分ができることです。
 一方、不動産登記法での「敷地権」は、敷地利用権のうち、登記されていて、専有部分と分離処分が出来なくしたものです。
   つまり、区分所有法での敷地利用権の方が、不動産登記法の敷地権より広い概念です。不動産登記法の敷地権は区分所有法での敷地利用権の一部です。


★敷地利用権が賃借権の場合

 敷地利用権が所有権の場合には問題がないのですが、土地を借りてマンションを建てたときには、面倒な問題があります。

1.専有部分を譲渡する場合

 敷地利用権が例えば、期間50年の定期借地権(賃借権=債権)の場合、専有部分を譲渡する時には、土地の賃借権の譲渡も関係します。そして、土地の賃借権を譲渡するには、地主(賃貸人)の承諾が必要とされています。(民法第612条1項参照)

<参照> 民法 第612条 (賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 *多くのマンションの購入者は、土地のことまで知らない
  土地が賃借権の場合、所有権の場合よりも、マンションの購入代金が安くできます。

  そこで、分譲会社が、地主から土地を借りてマンションを建てます。
 そして、室(専有部分)の分譲があると、室の売買契約書の他に、地主と敷地の持ち分についての賃貸借契約書も各区分所有者は交わしています。
しかし、多くの場合、この土地の賃貸借契約は忘れられていて、その室が次の人へと譲渡がなされても、その際に地主(賃貸人)の承諾を得ることは、稀です。

 この場合でも、一応、敷地利用権は、専有部分(建物の区分所有権)に付随した権利として、土地の賃借権も移転すると考えられます。(民法第87条2項の主物・従物の類推)

<参照> 民法 第87条 
(主物及び従物)
第八十七条  物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2  従物は、主物の処分に従う。

 *地主(賃貸人)の承諾が得れらないときはどうなる
   
民法で定めるように、専有部分の譲渡契約時に、地主(賃貸人)の承諾が得られれば問題ないのですが、地主(賃貸人)の承諾が得られない時には、裁判所に申立てて、地主(借地権設定者)に代わって承諾を貰う方法(借地借家法第19条参照)もあります。

 しかし、最近は、マンション販売での中古市場もあることを鑑み、マンションでの借地権設定では、譲渡について個々に承諾を必要とせず、当初から地主(賃貸人)は包括的に承諾を与えているとの説もあります。

2.区分所有者が地代を滞納したら、誰が責任をもつのか?

  多くの場合、定期借地権などで建てられたマンションでは、地代も管理費や修繕積立金と同様に、自動口座引き落としにより、管理組合が、各区分所有者の口座から一括して集金して、その後地主(賃貸人)に支払う方法をとっていますが、この方法は問題があります。

 もともと、管理費などの滞納は、管理組合にとって重大な問題ですが、それとは別に、地代は、地主という第三者が関係するために注意が必要です。

 各区分所有者が正常に地代を払っていればいいのですが、滞納すると、その滞納分の支払いを管理組合がしなければいけないのか、それとも、地主が滞納者に直接請求をするのかの問題です。

 多くの場合、地主は地代を管理組合に総額で請求しています。また、課税等で土地代の変更があれば、変更額の通知を、各区分所有者宛ではなく、管理組合に通知してきます。
しかし、土地の賃貸借契約は、管理組合とは結ばず(また、管理組合が法人でないと結べない)、各区分所有者との締結です。

 そこで、地主は管理組合に対し滞納に関係なく全額請求(不可分債務)できるのか、滞納は、各区分所有者に対してのみ請求(可分債務)できるのか、この部分の法的解釈が大変に難しく、事件ごとに、今後も裁判で争われていくことになります。

 このトラブルを防ぐために、借地権で建てられたマンションでは、「管理規約」の中に、管理組合は地代の徴収など借地権に関する業務は行わないとするなどの規約を設けることも必要でしょう。 

 なお、借地の地代が滞納になりますと、これは債務不履行となり、地主は賃貸借契約を解除でき、借主(区分所有者)には敷地利用権の借地権が無くなりますから、その専有部分を収去しなければなりません。
この場合、地主は、区分所有法第10条の区分所有権売渡請求権を行使できます。


★古い区分所有建物では、専有部分と敷地利用権が分離処分できることが多い?

  区分所有法第22条1項の「専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止」の規定は、昭和58年(1983年)に新しく設けられた規定です。
この区分所有法第22条の規定により、不動産登記法での登記簿への記載が変更になりました。

 そこで、この改正区分所有法により、昭和59年(1984年)から5年後の昭和63年末までに、多くの古い区分所有建物は、その後の管理組合の総会なり、監督官庁の指導で、専有部分及びその専有部分に係る敷地利用権を分離処分できないとし、登記所にも届けたのですが、登記の申請は任意であり、規約の変更も、登記の変更も、何もしない区分所有建物も実在しています。

 そのような、古い区分所有建物は、放置しておくと、いつまでたっても、専有部分及びその専有部分に係る敷地利用権をどう処分するのかが明らかでないので、最終的には、昭和58年に制定された際の附則第8条

区分所有法附則

 第八条  附則第六条第一項の指定に係る建物以外の建物の既存専有部分等は、附則第五条本文の政令で定める日(注:政令で 昭和63年12月28日 となった。)に、新法第二十二条第一項ただし書の規定により規約で分離して処分することができることと定められたものとみなす。

 により、昭和63年12月28日付で、
 ”「専有部分及びその専有部分に係る敷地利用権は、分離して処分することができる」と規約で定めたものとみなす”こととしました。
区分所有法第22条とは逆に分離処分が出来ることに注意してください。

 そこで、専有部分及びその専有部分に係る敷地利用権をどう処分するのかが明らかでない、昭和63年12月28日に存在した区分所有建物では、法的な”みなし”の規定(そのマンションの規約で明文化されていなくても)が存在しますので、集会で区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数でこの”みなし規約”を変更・廃止(区分所有法第31条参照)しない限り「建物の専有部分の譲渡・抵当権の設定等は、建物の専有部分だけについて有効で、敷地利用権にはその効力が及ばず、また敷地だけの譲渡・抵当権の設定等も有効」となります。



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★改正 不動産登記法について
 新しい不動産登記法は、平成16年6月18日に公布され、平成17年3月7日から施行されました。改正というよりは、全部新しくなったので、注意が必要です。
 以下に改正の概要を述べます。

◎登記の基本

 1.申請主義...当事者の申請または官公署の嘱託に基づいて行う。(不動産登記法第16条1項)しかし、登記官が職権でできるものもある。(登記官の錯誤:不動産登記法第67条2項)

<参照>不動産登記法第16条:(当事者の申請又は嘱託による登記)
第十六条  登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。

 2.申請方法...登記の申請は、@コンピューター・システムによるオンライン申請 か
                      A書面 によってすること。(不動産登記法第18条)

             口頭での申請は認められません。

<参照>不動産登記法第18条:(申請の方法)
第十八条  登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。

   一  法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法

  二  申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法

 3.当事者出頭主義の廃止...オンライン申請ができるように改正されたので、当事者や代理人は登記所に出頭しなくていい。
                    郵送でもいいし、使者でもできる。また当事者が出頭してもいい。ただし、申請人や代理人が疑わしいときには、登記官から呼び出し調査がある(第24条)

 4.共同申請主義...原則として、登記権利者(登記記録上直接利益を受ける者)と登記義務者(現在の登記記録上に表示されている登記名義人であって、いま申請されている登記が実行されたら、権利を失ったり、権利の内容が縮小されるなど、直接不利益をうける者)とが共同して申請すること。(不動産登記法第60条)
  例:A(売主)からB(買主)への売買で、所有権移転の申請なら、A(売主)=登記義務者、B(買主)=登記権利者

  ただし、例外はある。所有権保存登記は所定の方法により単独で申請、相続の場合、判決による場合などがある。

<参照>不動産登記法第2条12号:13号
   十二  登記権利者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。

   十三  登記義務者 権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に不利益を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。

不動産登記法第60条(共同申請)
第六十条  権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

 このほか、不動産登記法の項目としては、以下の内容がある。

★登記済証(権利書)に代わる本人確認手段として、登記識別情報の制度の導入(第21条、第22条)...今まで作成されていた書面での登記済証はオンラインでは送信できないため、登記の完了後に申請人に登記識別情報を通知するように改正(ただし、電子申請したときの登記完了証のダウンロード、書面申請をしたときには書面で登記完了証の交付はある 規則182条1項1号、2号)。
   登記識別情報により、この登記名義人に関する申請は、登記識別情報を提供するだけで確認できるようになった。
   また、登記済証は一物件につき一通しか発行されませんでしたが、複数の登記権利者がいれば、各登記権利者ごとに別の登記識別情報が通知されます。

 そして、登記名義人の本人確認としての、「登記識別情報」(第2条14号)は、アラビア数字その他の符号の組み合わせで構成される(不動産登記規則61条)

<参照>第2条14号:
 登記識別情報 
第二十二条本文の規定により登記名義人が登記を申請する場合において、当該登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるものをいう。

不動産登記規則61条:
(登記識別情報の定め方) 登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せにより、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定める。

★登記識別情報の通知書の例

 なお、登記識別情報は、管理が面倒と考える場合なども考慮して、申請人は通知を希望しない方法をとれる(第21条ただし書き)

★保証書の制度を廃止し、新しく事前通知手続きを設け、資格者代理人による本人確認の制度化(第23条)...旧法では、登記済証の提出ができない場合には、登記を受けたことのある成年者2名以上が登記義務者に間違いないことを保証した書面(保証書)の提出が求められていたが、保証人がいない場合や保証人に作成の金額を払うなど、申請人の負担があったので廃止し、その代わりに登記官や資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士)が行う事前通知手続きを厳格にして、本人確認を行うことにした
 *保証人の制度は、悪用されていた背景もある...権利書(登記済書)が紛失されていることはよくあることで、それをいいことに、通じ合った保証人をつくり、真の権利者が関知しないのに権利の移動をしていた例も多かった。

★事前通知制度(原則方式)による本人確認では、時間がかかる
  「事前通知」の方法は、本人が確実に受領する「本人限定受取郵便」(法人の時は、代表者宛の「書留郵便」)によるため、回答を待っていたのでは時間がかかります。
 そこで、資格者代理人(権利に関する登記は、司法書士と弁護士。表示に関する登記については土地家屋調査士)が、登記名義本人であることを、運転免許証、パスポート等で確認した本人確認情報を提供し、登記官がそれを認めれば「事前通知」は省略できます。
  現実の不動産売買による登記では、この資格代理人による本人確認制度(特例方式)の方が、よく利用されます。

★ただし、オンライン化されても、1回目の登記申請には、まだ登記識別情報を持っていないので、既存の「登記済書」が使用されるので、書面による申請となる。

登記原因証明情報の提供を必須のものとする(第61条)...登記の原因となる事実または法律行為およびこれに基づき権利の変動が生じたことを内容とする情報。登記官が形式的に審査する際に可能な情報。
  例;所有権移転なら、売買契約の当事者・対象不動産・契約年月日が明らかである売買契約書。抵当権設定なら抵当権設定契約書。なお、農地の取引では、農業委員会等の許可などの情報も別途必要となる。
  登記原因証明情報は、
利害関係がある者(媒介業者やこれから買おうとする者は入っていないため、売主からの委任状が必要)に限り閲覧の対象となり、保存期間は受付から10年です。(不動産登記規則28条9号)

★紙の登記簿(バインダー式帳簿)に関する規定を見直し、コンピューター登記簿(磁気ディスク)を前提とする制度にした(第2条9号、第12条)

★地図等を電磁的記録に記録できる制度にした(第14条6項)...でも地図の電子化は時間がかかるので以前の紙の地図も保管されている

★法文を現代語にした

予告登記制度の廃止...もともと登記での効力が中途半端であり、執行妨害目的で濫用されていたので廃止

★不動産登記制度の骨格及び国民の権利義務に関する事項(申請者及び申請義務、登記事項及び申請手続きの原則)は、不動産登記法でさだめ、申請手続きの細目や登記所内部の事務処理に関する事項は、新法に基づく下位の政令(不動産登記施行令)や省令で規定することにした(第18条、第22条、第25条13号、第26条、第70条3項など)

★土地登記簿と建物登記簿の区別を廃止した...旧法では、紙での登記簿が前提のため、効率上から、土地と建物を物理的に別の帳簿にして管理していましたが、新法では土地と建物の登記簿が電磁的記録媒体に全体として記録されています。
 この記録媒体から、プログラムで、土地なのか建物なのかを出力するため、物理的には、土地登記簿と建物登記簿の区別はありません。

登記記録は、表示に関する登記をする部分の「表題部」と、権利に関する登記をする部分の「権利部」に区分し(第12条)、不動産登記法では権利部の「甲区」「乙区」の用語は無いが、不動産登記規則4条4項により、従来の甲区欄は、権利部(甲区)、乙区欄は、権利部(乙区)となっている。
 甲区には所有権に関する事項、乙区は所有権以外の権利(抵当権、賃借権とか)に関する事項を記録する。

 なお、登記簿とは、多数の登記記録を集合的に記録した媒体(磁気ディスク)をいう。(第2条9号)

<参照> 不動産登記規則 4条4項
権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

★「筆界特定」(第6章)を新しく(平成17年4月13日公布、平成18年1月20日施行)追加した...資格者として、土地家屋調査士、司法書士が弁護士以外にも代理業務としてできる。
 土地の所有権登記名義人などの申請に基づいて、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえ、一定の手続きを経て、現地における筆界の位置について判断をする。筆界は一筆の土地の範囲を区画するだけで、所有権の範囲である所有権界とは一致しないこともある。今後は様々な場での証拠として活用が期待される。


★区分建物(マンション)における登記

◎建物の表題登記の申請(不動産登記法第47条、第48条)と敷地権の登記
 まず、新しく建物を建てたら、それを登記所に届けなければ、世間は知ることができませんから、必ず届けを出します。
これを「表題登記」とよび、この「表題登記」により新しくその建物に対する記録が始まります。(人間でいうと、子供が生まれたら必ず、役所に届けて戸籍簿を作ってもらうのと同じです。)

 新築建物が、区分建物(マンション)のときは、建物の表題登記の申請義務があるのは、「新築した建物の所有権を取得した者(多くの場合分譲マンションの分譲業者)」だけです。転得者には申請義務はありません(第47条)。
  所有権取得の日から1ヶ月以内に、一棟の建物に属する他の区分建物と一括して表題登記の申請をしなければなりません(第48条)。ただし、区分建物の原始取得者が死亡(法人では合併)等の時には、一般承継人も死亡した人(被承継人)を表題部の所有者とした表題登記が出来ます(第47条2項)

 1棟の建物に属する他の区分建物の表題登記と共に一括して申請する、「一括申請方式」で、共用部分や区分建物の敷地利用権(敷地権)があるときは、「一棟の建物の表題部」に敷地権の対象となる土地が表示されます。
敷地権も登記事項であるため、 登記官が敷地権の割合を調査するための一棟の建物に属する全区分建物の床面積が分かります(第46条)。
 一棟の建物の表示に続いて、各
「専有部分の表題部」に対象の部屋(専有部分)の床面積、そしてまた表題部として、敷地権の種類(所有権とか地上権とか)と敷地権の割合が(xxxx分のyyyyy)表示されます。(第44条7号、9号)

 「区分建物の登記記録の表題部」に「敷地権」と登記をするときは、当該敷地権の目的である「土地」の登記記録の方にも、登記官が職権で、所有権敷地権とか、地上権敷地権と記入し、これにより、建物の専有部分と土地の利用権は分離して処分できなくなります。(第46条)
 土地にも敷地権の表記があると、権利変動は建物の登記記録によってのみ公示されることになります。
 

<参照>不動産登記法第47条(建物の表題登記の申請)
第四十七条  新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

2  区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

    *表題登記の申請人...@建物を新築した者(原始取得者)
                    A原始取得者が死亡した時は、原始取得者(被承継人)を表題部所有者として、相続人が申請する。

<参照>不動産登記法第48条(区分建物についての建物の表題登記の申請方法)
第四十八条  区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

2  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。

3  表題登記がある建物(区分建物を除く。)に接続して区分建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。

4  前項の場合において、当該区分建物の所有者は、当該表題登記がある建物の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの者の相続人その他の一般承継人に代わって、当該表題登記がある建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。

    *一括申請が必要...区分建物の表題登記では、1棟の建物に属する他の区分建物の表題登記と共に一括して申請すること。
      この申請の添付情報としては、専有部分等に敷地権があれば、その目的となる土地の所在、敷地権の種類、規約敷地があれば、その規約を証する情報、敷地権の割合が規約によって別段で定められていれば、その規約を証する規約なども添付します。
    *規約を証する情報...規約を設定した公正証書の謄本(区分所有法第32条参照)、集会の議事録(区分所有法第42条参照。議事録に記名・押印した者の印鑑証明)などが該当します。

<参照>不動産登記法第44条(建物の表示に関する登記の登記事項)
第四十四条  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
   一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
   二  家屋番号
   三  建物の種類、構造及び床面積
   四  建物の名称があるときは、その名称
   五  附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
   六  建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
   七  建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
   八  建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
   九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

2  前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める。

    *共用部分又は団地共用部分の登記...専有部分であっても規約で共用部分(団地共用部分)とされた建物の部分は、登記をしないと第三者に対して対抗できませんから、(区分所有法第4条2項後半)必ず登記してください。この登記により、共用部分は表題部の所有者が抹消され、権利部もなくなり、以後専有部分の処分に従うことになります。(区分所有法第15条1項)

<参照>不動産登記法第46条(敷地権である旨の登記)
第四十六条  登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない

    *敷地権である旨の登記...登記官が敷地権の目的である土地の登記記録に、所有権敷地権とか、所有権x分のy敷地権とか登記する。
土地の登記記録に、敷地権として登記されると、区分建物の敷地利用権ともなり、以後、建物の専有部分と分離して処分ができなくなります。(区分所有法第22条1項)。実務上は、該当の土地の登記記録は、閉鎖されたのと同じになります。

<参照>不動産登記規則119条(敷地権である旨の登記)
第百十九条  登記官は、法第四十六条 の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない
   一  敷地権である旨
   二  当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番
   三  当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称
   四  当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号
   五  登記の年月日

2  登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3  前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

★これら不動産登記法の規定を受け、登記記録(登記簿)の様式は、不動産登記規則4条により具体的に決められています。
 敷地権が付いた区分建物には、表題部が2つあります。まず、
  @1棟の建物の所在地や敷地権が記載された「1棟の建物の表題部」 があり、次に、
  A各専有部分の部屋番号や敷地権の持分などが記載された「専有部分の表題部」 ができます。

<参照>不動産登記規則4条(登記記録の編成)
第四条  土地の登記記録の表題部は、別表一の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

2  建物(次項の建物を除く。)の登記記録の表題部は、別表二の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

3  区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

4  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

 別表三 (第四条第三項関係)区分建物である建物の登記記録

第一欄 第二欄
一棟の建物の表題部
専有部分の家屋番号欄 一棟の建物に属する区分建物の家屋番号
一棟の建物の表示欄 所在欄 一棟の建物の所在
所在図番号欄 建物所在図の番号
建物の名称欄 一棟の建物の名称
構造欄 一棟の建物の構造
床面積欄 一棟の建物の床面積
原因及びその日付欄 一棟の建物に係る登記の登記原因及びその日付
建物を新築する場合の不動産工事の先取特権の保存の登記における建物の種類、構造及び床面積が設計書による旨
閉鎖の事由
登記の日付欄 一棟の建物に係る登記の年月日
閉鎖の年月日
敷地権の目的たる土地の表示欄 土地の符号欄 敷地権の目的である土地の符号
所在及び地番欄 敷地権の目的である土地の所在及び地番
地目欄 敷地権の目的である土地の地目
地積欄 敷地権の目的である土地の地積
登記の日付欄 敷地権に係る登記の年月日
敷地権の目的である土地の表題部の登記事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があることによる建物の表題部の変更の登記又は更正の登記の登記原因及びその日付
区分建物の表題部
専有部分の建物の表示欄 不動産番号欄 不動産番号
家屋番号欄 区分建物の家屋番号
建物の名称欄 区分建物の名称
種類欄 区分建物の種類
構造欄 区分建物の構造
床面積欄 区分建物の床面積
原因及びその日付欄 区分建物に係る登記の登記原因及びその日付
共用部分である旨
団地共用部分である旨
建物を新築する場合の不動産工事の先取特権の保存の登記における建物の種類、構造及び床面積が設計書による旨
登記の日付欄 区分建物に係る登記の年月日
附属建物の表示欄 符号欄 附属建物の符号
種類欄 附属建物の種類
構造欄 附属建物の構造
附属建物が区分建物である場合におけるその一棟の建物の所在、構造、床面積及び名称
附属建物が区分建物である場合における敷地権の内容
床面積欄 附属建物の床面積
原因及びその日付欄 附属建物に係る登記の登記原因及びその日付
附属建物を新築する場合の不動産工事の先取特権の保存の登記における建物の種類、構造及び床面積が設計書による旨
登記の日付欄 附属建物に係る登記の年月日
敷地権の表示欄 土地の符号欄 敷地権の目的である土地の符号
敷地権の種類欄 敷地権の種類
敷地権の割合欄 敷地権の割合
原因及びその日付欄 敷地権に係る登記の登記原因及びその日付
附属建物に係る敷地権である旨
登記の日付欄 敷地権に係る登記の年月日
所有者欄 所有者及びその持分

◎共用部分の登記(不動産登記法第58条)
 区分所有法では、建物の共用部分として、
  
@法定共用部分...廊下、階段室など と
   
A規約共用部分...集会室や管理人室など専有部分ともなりうるもの があります。(区分所有法第4条参照)
 このうち、@法定共用部分は、登記は不要(登記できない)ですが、A規約共用部分は登記しなければ、第三者に対抗できないため、登記の規定があります。

  区分建物の共用部分は、区分所有法上、区分所有者の共有が原則で、区分所有者が所有する部屋(専有部分)の処分と共に移動します(区分所有法第15条)。
 この共用部分となった建物は取引の対象としては独立性を失い、権利に関する登記から外されます。これは団地関係での共用部分でも同じです(区分所有法第67条3項で区分所有法第15条の準用あり)。

 登記の申請は、該当の建物の共用部分の表題部の所有者又は所有権の登記名義人(多くの場合はマンションの分譲会社)が、「共用部分である旨を定めた規約を設定したことを証する情報」(不動産登記令 別表18)や「団地共用部分である旨を定めた規約を設定したことを証する情報」(不動産登記令 別表19)を添付して行います。
 これらは、区分所有法第32条で定める「公正証書による規約の設定」に該当しています。

 建物の共用部分(団地共用部分)の登記がなされると、登記官が職権で、当該建物の共用部分の所有者の登記または権利に関する登記を抹消するため(第58条4項)、今後共用部分は単独で権利の移動はできなくなります。

 ★単独の共用部分と団地関係での共用部分は登記が異なる
   単に共用部分である時の登記は、同一棟に共用部分と記載されますが、団地関係では、その共用部分を共用する者の全部の建物(複数の建物)も表示されます。

<参照>不動産登記法第58条(共用部分である旨の登記等)
第五十八条  共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号(第三号を除く。)及び第四十四条第一項各号(第六号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
   一  共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨
   二  団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物(当該建物が区分建物であるときは、当該建物が属する一棟の建物)

2  共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

3  共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者の承諾を得たときに限る。)でなければ、申請することができない。

4  登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。

5  第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない。

6  共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

7  前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

◎敷地権である旨の登記がなされた土地
 区分所有法での敷地には、 
 
 @法定敷地...その上に、マンション(建物)がある土地 と
  
A規約敷地...その上に、マンション(建物)はないが、 マンションと一体で管理または使用することにした庭や通路、遊園地、駐車場など規約でマンションの敷地にした土地 がある。(区分所有法第5条 参照)
  これらは、区分所有法では「敷地利用権」と呼ばれ、不動産登記法では「敷地権」とよばれます。

    

 そして、区分所有法第22条1項により、土地の敷地利用権(敷地権)は、原則として単独で処分(権利の設定、移転、など)できず、建物の専有部分の権利と共に移動します。

 既に述べましたように、区分建物の登記(第44条)により、「敷地権」として1棟の表題部に記録されると、登記官の職権で、土地の登記記録にも、法定敷地も規約敷地も共に区別無く「敷地権である旨の登記」がなされます(第46条)。
 この登記がされると、区分建物に対して行われる所有権や担保権に関する登記は、その敷地権についても登記されたのと同じ効力を持ちます(第73条1項)。

 それは、言い換えると、敷地権となった土地には、今後、所有権移転の登記や担保権などの設定ができなくなることです。(第73条2項、3項)

 この規定により、建物の登記記録を通じて土地の敷地権に関する物権変動の公示が明確になっています。

 ただし、敷地権の登記をする前に既に登記された担保権や、登記前に生じていた仮登記、質権、抵当権であれば、対抗はできます。また、規約により、「分離処分を認める(区分所有法第22条ただし書き)」場合は、対抗できます。

<参照>不動産登記法第73条(敷地権付き区分建物に関する登記等)
第七十三条  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
   一  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
   二  敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   三  敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   四  敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)

2  第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

3  敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

★「表題登記」と「所有権保存登記」
  登記記録には、@表題部 と A権利部 があります。

  建物が新築されると、上で説明しましたように不動産登記法の規定に従って、それが敷地権の付いた区分建物ならその方式で、必ず「表題登記」がなされ(登録免許税は不要です。罰則あり)、その際に、(表題部)所有者として分譲会社などが記載されます。それが、登記記録の「表題部」です。これで、建物の現状などの記録が誕生します。 
 しかし、表題登記だけでは、権利が確定しないというのが、日本の登記制度です。

 表題部だけの不動産の権利を確定するためには、誰が所有しているのかを申請しなければなりません。
この、所有権を最初に届け出る行為が、「所有権保存登記」と呼ばれ、「権利部 甲区」に、所有者の氏名が記載され、表題部に記載されていた「表題部所有者」が抹消(現在は、コンピューター処理のため、その氏名の下に、下線がつきます)されます。
 所有権保存登記により、以降、登記記録の権利部に権利の移動(所有権なら甲区、それ以外の抵当権などは乙区)が記録されていきます。
しかし、所有権保存登記の申請する際には、登録免許税がかかりますし、また法的には強制されていませんから、区分建物ではほとんどあり得ませんが、戸建では表題部だけの建物も存在します。
 

★区分建物の「所有権保存の登記」

*申請人
  通常の所有権保存の登記は、
  @表題部所有者(原始取得者)又はその相続人その他の一般承継人 が申請しますが、
  A区分建物では、表題部所有者(原始取得者)から所有権を取得した者 も申請ができるという特例があります。(第74条2項)。この特例は、従来の慣行からきたもので、冒頭省略の保存登記とも呼ばれています。

<参照>不動産登記法第74条(所有権の保存の登記)
第七十四条  所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
   一  表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
   二  所有権を有することが確定判決によって確認された者
   三  収用(土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者

2  区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができるこの場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

*所有権保存登記の申請 
  それでは、区分建物の表題部所有者(原始取得者)である分譲会社から購入した場合の所有権保存登記申請は、
  分譲会社から購入した者が、申請人となり添付書類として、
    @登記原因証明情報(売買契約書)
    A住所証明書(住民票)
    B承諾書(分譲会社からの 不動産登記法第74条2項の規定による承諾書)

    を提出(司法書士を使うなら、C代理権限証書(委任状)も追加する)して行います。
    
    この場合、登記義務者が存在しないので、登記義務者の登記識別情報の添付は不要で、承諾書により、購入者が単独で申請することになります。


  関係する不動産登記法としては、以下のような条文があります。

<参照>不動産登記規則第4条:(登記記録の編成)
4項  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

<参照>不動産登記法第44条:(建物の表示に関する登記の登記事項)1項9号;
「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

不動産登記規則118条参照。(表題部にする敷地権の記録方法)
  第百十八条  登記官は、区分建物である建物の登記記録の表題部に法第四十四条第一項第九号 に掲げる敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、次に掲げる事項を記録しなければならない。
  一  敷地権の目的である土地に関する次に掲げる事項
    イ 当該土地を記録する順序に従って付した符号
    ロ 当該土地の不動産所在事項
    ハ 地目
    ニ 地積
  二  敷地権の種類
  三  敷地権の割合

     (注)規約共用部分の場合:登記されても、持分(割合)は登記事項でないことが敷地と違っている。

<参照>不動産登記法第46条:(敷地権である旨の登記)
第四十六条  登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

<参照>不動産登記規則119条:(敷地権である旨の登記)
第百十九条  登記官は、法第四十六条 の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない
   一  敷地権である旨
   二  当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番
   三  当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称
   四  当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号
   五  登記の年月日

2  登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3  前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

建物の表題部に「敷地権」と登記がされれば、その該当の”土地”に登記官が職権で、「登記の目的」欄に「敷地権」の種類(所有権敷地権とか地上権敷地権)を記入する。

また、2項でのマンションの「敷地が他の登記所の管轄区域にあるとき」は、規約敷地を考えると分かりやすい。

<参照> 分譲業者など最初の全部の所有者がする公正証書による規約の設定 区分所有法第32条に入っている項目(その3/4)。

*登記簿(登記記録)の例


★登記簿の見方;
 通常の敷地権が設定されている区分建物では、表題部が2つあります。
  1.1棟の建物の表題部...1棟全体の階数など概要と関係する敷地を記載している表題部 と
  2.専有部分の表題部...専有部分の床面積と関係する敷地権の割合などを記載している表題部。
 各々の詳細は以下のようになっています。

 1.1棟の建物の表題部に「敷地権の目的たる土地の表示」をする
   ここに、該当の
    @土地の符号、
    A所在地・地番、
    B地目(宅地、山林、畑とか)、
    C地積(u xx.xx)、
    D登記の日付 を記載する。
   これにより、各専有部分に共通の事項として、手続きと公示が簡単・明瞭になる。

 2.専有部分の表題部に「敷地権の表示」をし、敷地権の種類、割合を記録する
   上の1棟の表示に続いて、専有部分(区分建物)の表題部に「敷地権の表示」とし、明細として、
   @土地の符号(1棟の土地の符号に対応する)、
   A敷地権の種類(所有権、地上権、賃借権)
   B敷地権の割合(○○○分の○○、多くの場合床面積と異なる。床面積より広いのが普通
   C原因及びその日付(○年○月○日 敷地権)
   D登記の日付

 3.権利部
   @甲区...所有権に関する事項は、この甲区に記録されていく。
     ◎所有権保存の登記...所有権の登記のない不動産について初めてされる所有権の登記でここからその不動産に関する様々な権利の登記が始まる。

    A乙区...所有権以外の権利に関する事項、例えば抵当権設定など、はこの乙区に記録されていく。

★専有部分と敷地利用権が一体化していることを、建物の専有部分の登記簿に「敷地権」として公示し、権利変動の登記は建物の専有部分の登記用紙にのみ登記する。

  これにより、処分(担保権の設定とか)は敷地(土地)の登記簿には記載しない(記載できない)ことになり、権利関係の移動を合理化した。

  マンションで敷地権が設定されると、普通の登記では別々の、建物の登記と土地の登記で、土地の登記簿は閉鎖と同じ扱いになる

<参照>不動産登記法第73条:(敷地権付き区分建物に関する登記等)
第七十三条  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。

   一  敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
   二  敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   三  敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
   四  敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)

2  第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない
ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

3  敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない
ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

★敷地利用権(敷地権)には、所有権移転や担保権の設定ができない。
 原則として、土地が敷地利用権(不動産登記法では敷地権)として登記されると、この土地登記簿は閉鎖されたと同じになり、今後の権利の移動は、マンションの建物の権利移動となり、土地の移転や担保の設定はできなくなる。ただし、その権利が規約で認められたり、敷地利用権発生前なら、可能。

★抵当権設定での申請の例
 一般の抵当権設定を、代理人(司法書士)を介した場合の書面での申請書は以下の様になります。


{設問-1} 定期借地権設定契約に基づき建てられたマンションの101号室の管理又は処分に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、以下の記述は正しいか。ただし、規約に別段の定めはなく、当該土地の所有者Aと101号室の所有者Bとの間の定期借地権設定契約には、特約はないものとする。

*101号室を売却する場合、Aの承諾があれば、101号室それに係る借地権の準共有持分とを分離して譲渡することができる。

答え: 誤りである。区分所有法第22条1項によれば、借地権であって、地主Aの承諾があっても、専有部分とその敷地利用権を分離して処分することは出来ない。


{設問-2} 平成18年 マンション管理士試験 問18

マンションの敷地権の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 自己の所有する土地に新築したマンションの表題登記をした場合、区分建物の表題部に敷地権の表示がされる。

答え: 正しい。 不動産登記法第44条(建物の表示に関する登記の登記事項)1項9号「建物又は附属建物が区分建物である場合において、・・・当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権」の規定によれば、敷地権は表題部に表示される。
  不動産登記規則118条参照。(表題部にする敷地権の記録方法)
  第百十八条  登記官は、区分建物である建物の登記記録の表題部に法第四十四条第一項第九号 に掲げる敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、次に掲げる事項を記録しなければならない。
  一  敷地権の目的である土地に関する次に掲げる事項
    イ 当該土地を記録する順序に従って付した符号
    ロ 当該土地の不動産所在事項
    ハ 地目
    ニ 地積
  二  敷地権の種類
  三  敷地権の割合

2 マンションの近傍にある駐車場を規約により敷地とした場合、これを敷地権の目的である土地として登記することはできない。

答え: 誤りである。 区分所有法第4条により、規約により敷地となった土地も、敷地権の目的である土地として登記ができる。選択肢1の解説参照。

3 マンションの専有部分を所有するための敷地利用権が賃借権である場合、これを敷地権として登記することができる。

答え: 正しい。 不動産登記法第44条1項9号「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権」 とあり、敷地権は登記された敷地利用権でなければならないが、不登法第3条「 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
  一  所有権
  二  地上権
  三  永小作権
  四  地役権
  五  先取特権
  六  質権
  七  抵当権
  八  賃借権
  九  採石権」
   の八号によれば賃借権は登記可能な権利であり、敷地権となりうる。

4 敷地権付き区分建物について相続を原因とする所有権の移転の登記をする場合、敷地権の移転の登記をする必要はない。

答え: 正しい。 不動産登記法第73条1項「敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。」の規定により、建物の登記が敷地権たる土地の登記の効力も有するので、敷地権移転の登記は不必要。

正解:2


{設問-3}平成18年 管理業務主任者 問45

平成17年3月7目に施行された不動産登記法の改正内容(以下本問において「改正法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 改正法は、登記申請手続について、出頭主義を廃止し、オンラインを利用した申請ができることとした

答え: 正しい。 不動産登記法第18条「登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
   一  法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
   二  申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法
」となり、@電子申請とA書面申請として、出頭主義を廃止した。


2 改正法は、登記済証がない場合の保証書制度を廃止し、従来より厳格な「事前通知制度」と資格者代理人による「本人確認情報提供制度」を設けた

答え: 正しい。 登記済証(権利書)がない場合の保証書制度を廃止し不動産登記法第23条1項「登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。」の規定による事前通知制度、同4項1号「当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が当該代理人から法務省令で定めるところにより当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を相当と認めるとき。」の規定による本人確認情報提供制度が導入された。


3 改正法は、権利に関する登記を申請する場合において、登記原因証書がない場合の申請書副本制度を廃止した

答え: 正しい。  不動産登記法第61条「権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない」の規定により、登記原因証明情報を要求して登記原因証書がない場合の申請書副本制度を廃止した。


4 改正法は、仮登記について、仮登記権利者と仮登記義務者が共同申請したものに限り、本登記と同じ第三者対抗力を付与することとした

答え: 誤りである。 まず、仮登記とは、すぐに本登記をするには、実体法上または、手続法上の要件が完備しないときに、とりあえず仮に登記しておき、将来必要な条件が備わったときにする本登記のために、あらかじめその順位を確保するための登記である。この仮登記は、将来本登記がなされる可能性のあることを警告する作用をもっている。
  不動産登記法第106条「仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。」の規定によれば、仮登記には本登記の順位保全の効力はあるが、本登記ではないため、第三者には対抗力はない。
 なお、以前あった「予告登記」は、改正により無くなっているので注意のこと。

正解:4

***********************************************************


★中間省略登記は、オンライン化でできなくなった?  <参照>区分所有法第8条の特定承継人との関係

  不動産登記において、宅地建物取引業者(不動産業者)が不動産を購入しても、すぐにその業者へ所有権の移転登記をせず、その業者から購入した者に、元の売り主から所有権の移転登記をすることが多くありました。これは、登録免許税や不動産取得税などを節約するために用いられ、中間省略登記と呼ばれます。旧の不動産登記では問題がありましたが可能だったやり方です。

 新しい登記方法の制定で、登記原因証明情報や本人確認が求められていますから、中間の者が登記されていない状態では、中間の業者から譲渡されても、最終購入者は登記できません。
 不動産業者が売主から買った時に正式に移転登記をしていれば問題はないのですが、不動産業者は無駄な出費は省きたいものです。
そこで、法律の抜け道的なことを考えた頭のいい(?)やり方があります。

 それが、「第三者のためにする契約」によるやり方です。

 これは、中間の者が、元の権利者との間に「当該契約に基づく物権移転を第三者である新権利者に対して行う」とする売買契約を結ぶ方法です。これにより、新しい不動産登記法でも中間省略登記が可能となっています。
 なお、「第三者のためにする契約」の身近な例としては、被保険者が受取人を他人として保険会社と結ぶ保険契約があります。


★ではまた、不動産登記法から区分所有法の解説に戻ります。

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第二十二条

2項  前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。

過去出題 マンション管理士 H14年、
管理業務主任者 未記入

*前項本文の場合...1項の「ただし」以降は含まない。
敷地利用権の割合...原則、専有部分の床面積の内法(うちのり)の持分で比例配分する。これは、共用部分の持分の割合と同じやり方。しかし、規約で別に決められる。ただし、第14条の1項から3項までは適用されるが、4項は入っていない。

<参照>区分所有法 第14条:(共用部分の持分の割合)
1項 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

2項  前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。

3項  前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。

4項 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。(注:ここは、 建物の共用部分の規定なので入っていない。)

★2項の趣旨
 区分建物の専有部分とその敷地利用権の一体性の規定(分離処分の禁止)では、区分建物の各専有部分は独立して権利の処分(譲渡・担保の設定など)の対象になるわけですから、それに対応した敷地利用権の割合も専有部分単位で構成されなければ意味がありません。
 従って、ひとりの人が複数の専有部分を持っているなら、一定の土地の共有持分を持つ場合は各専有部分と一体となるべき土地(敷地)持分を割り付けてやる必要があります。

 つまり、各専有部分にどれだけの敷地利用権が対応し、専有部分と敷地利用権が一体化されるのかを明らかにする必要があります。
この場合の割付は共有持分に準拠するのが通常は最も合理的ですので、各専有部分への割り付けが持分によるとするのが2項の規定です。

 ただ、区分所有法では持分は専有部分の床面積によるものとし、且つその場合の面積計算は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積という内法計算によるのが原則ですから(第14条1項から3項の引用)、持分を壁芯計算面積比や価値比で計算する場合には、本2項での但し書きにより規約で別段の定めができることとなっています。

<参照> 分譲業者など最初の全部の所有者がする公正証書による規約の設定 第32条に入っている項目(その4/4)。

★専有部分の床面積に比例して、共用部分の持分と敷地の持分が決められる −共有持分−
   多くの場合、建物の共用部分の持分割合も、敷地の共有部分の持分割合も、分譲時に、専有部分の大きさを考慮した方法で決まります。ただし、規約で別の決め方も可能です。

 そこで、第14条で定めた規約による共用部分の持分と、規約で定めた敷地利用権の割合は一致しない場合もありますが、それも有効です。

  敷地に関する持分は、不動産登記においても厳しく規定され(不動産登記規則118条 参照)
  専有部分の表題部に「敷地権の表示」をし、敷地権の種類、割合を記録する
   上の1棟の表示に続いて、専有部分(区分建物)の表題部に「敷地権の表示」とし、明細として、
   @土地の符号(1棟の土地の符号に対応する)、
   A敷地権の種類(所有権、地上権、賃借権)
   B敷地権の割合(○○○分の○○、多くの場合床面積と異なる。床面積より広いのが普通
   C原因及びその日付(○年○月○日 敷地権)
   D登記の日付
 と、敷地の持分も登記されていますが、建物の共用部分の持分は登記の対象ではありません。そこで、共用部分の持分は規約で定める必要があります。

★数個の専有部分を所有するときは、この規定により第14条で定める「専有部分の床面積の割合」によるが、専有部分を1つしかもっていない人に対しては、区分所有法では規定がない。

でも、これは、分譲の時に、マンションの登記で、敷地に対する共有持分を記載されるので、規定していないと考える。


<参考>「標準管理規約(単棟型)」10条:(共有持分)
10条 各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。

別表第3  敷地及び共用部分等の共有持分割合
住戸番号 持  分  割  合
敷地
及び 附属施設
共用部分
○○号室 ○○○分の○○ ○○○分の○○
○○号室 ○○○分の○○ ○○○分の○○
○○号室 ○○○分の○○ ○○○分の○○
○○号室 ○○○分の○○ ○○○分の○○
合計 ○○○分の○○ ○○○分の○○

第10条関係コメント
@ 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。
   ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
   登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、
   共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。

A 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。
なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである

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第二十二条

3項  前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。

過去出題 マンション管理士 未記入
管理業務主任者 未記入

前二項...前にある2つの項。つまり、第22条1項と第22条2項が準用される。

★ここも分かり難いが、例えば、分譲業者が1社でマンションを新築して、売りに出すという場合を想定している。

  この規定により、別の規約が無い限り、各専有部分と敷地利用権を分離して処分できなくなっている。

★3項の趣旨
 建物において区分所有関係が生じていれば、建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分の禁止および一体性は、1人の者が全専有部分と土地の単独所有権を有している場合でも同じですから、3項でこの場合にも前2項すなわち前に規定されている2つの項(3項から前2つですから1項と2項のこと、前の2項だけと読んではいけません。)を準用することとしています。

 具体的には、マンションの分譲前の状況を考えて見ましょう。
 マンションの分譲前では、1人(1社)が全専有部分と土地の単独所有権を有して、敷地利用権は1人(1社)だけの単独所有権で、まだ第22条1項での規定にある複数による「共有」の関係は発生していませんが、前2項を準用して土地の単独所有権を全共有持分の所有とみなして各専有部分に敷地利用権を割り振ることができます。
 ただし、単独所有のままで土地所有権の共有登記は第23条の敷地権の登記をする場合を除いてできませんから、その割り振りは潜在的なものとなります。
その後、どれか専有部分を分譲(譲渡)したときに本来当該専有部分と一体である割合の土地持分を2項に定める割合で譲渡することにより(そのような譲渡をしない場合は2項で無効です。)、実施した割り振りが顕在化し正規の形になります。

★区分所有する意思はいつから表示になるのか

  マンションの分譲会社が建物を建てても、そのまま分譲しなければ、区分所有建物には該当しません。

  この第22条3項の要件を満たすのは、分譲会社がその建物を区分所有建物として登記の申請をしたとき、またはマンションとして売り出す広告をしたときからとなります。

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(分離処分の無効の主張の制限)

第二十三条  (注:不動産登記法の年は変更済み)
前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでない。
過去出題 マンション管理士 H20年、
管理業務主任者 未記入

善意とは...ある事実を知らないこと。(反対語:悪意...ある事実を知っていること)

無効を主張することができない...分離処分ができないことを知らなかった人には、その行為は有効となり分離処分ができる。ただし、敷地利用権として登記(敷地権となる)されている場合は、知らなくて別々に処分しても無効である。

★善意の相手方に主張できないことの趣旨 − 知らない人を保護する −
 本第23条は前の第22条に定める専有部分と敷地利用権の分離処分禁止の効力に関する規定です。
 第23条の本文(ただし、で続く但書の前の文章)では、第22条違反の分離処分の無効の主張を善意(事実を知らない)の相手方に主張できないと規定します。

 第22条で説明しましたように、もともと、民法では、歴史的に土地と建物は、各々別の物であり、土地だけ、また建物だけを自由に処分できることが日本の法律としての原則ですから、多くの人はこの認識にそって行動します。
 特別法である区分所有法の一篇の条文の中で、土地と建物の権利を「分離した処分は無効」ということを貫徹すると、その取引が、特殊な場合であることが一般には分かりません。
 そこで、他の土地・建物と同様であるはずとの原則的な考えの下に、分離処分が禁止されている物件と知らずに(これが善意の意味です。)敷地又は区分建物を取得した者(これが相手方です。)は不測の損害を受けてしまいます。
そのような結果を回避するため、第22条の分離処分禁止も、そのことを知らない者には主張できないとして善意の相手方を保護するのが本文の趣旨です。


 新しく、区分所有法が制定された当初は、この規定も意味がありましたが、現在、マンションの売買では、室(専有部分)とその敷地が共に動くことを多くの人が認識し、不動産取引においては取引の際に、通常「登記簿」は見るでしょうから、この規定で保護される第三者は、現在はほとんどいないといえるでしょう。

★その結果と悪意の場合
 このように第23条本文により,、専有部分と敷地利用権の分離処分が出来ないことを知らなかった善意の相手方に無効を主張できない場合は、分離処分が有効となりますが、その後の土地の権利がない場合などの処理は区分所有法第10条等の区分所有権の売渡等の問題になり、土地と建物の権利が別々のまま結果的に問題は先送りされることとなります。
 また、この第23条の規定は善意の相手方を保護する規定ですから、善意の相手であっても自ら無効を認めることは差し支えなく更に、悪意(分離処分禁止の物件であることを知っている。)の相手方は保護に値しませんから、第22条の原則どおり無効のままということになります。

★敷地権の意味と効果
 しかし、善意者と悪意者の取扱いを本条のように区別しても、本来分離処分すべきでないものの分離を認める結果は決して好ましいものではありません。
 善意・悪意の区別無く同一の結果にすべきですが、その手段として土地と建物は別の物との
民法での前提を修正できない以上、分離処分禁止の旨を広く世間に知らしめることが次善の策となります。
このような考えから、不動産登記簿に区分建物と敷地利用権を一体表示してその一体性を公示し、その旨知ろうと思えば知れるようにして分離処分禁止効を貫徹しようとするのが、但書で定める登記された「敷地権」の制度です。

★「敷地権」の登記 −不動産登記法との関係−
 たびたびで恐縮ですが、「敷地権」とは不動産登記法上の概念であり、区分所有法に敷地権なる言葉はありませんが、不動産登記法によれば敷地権とは登記された敷地利用権で専有部分との分離処分が禁止された権利、即ち登記された敷地たる土地の共有持分、借地権(地上権又は賃借権)の準共有持分をいうものとされています。

◎登記簿での敷地権は、
   @1棟の建物の登記の表題部に対象たる敷地の所在・地番・面積等の表示がなされ、
   A
専有部分の登記の表題部に対象たる敷地権が所有権か賃借権か等の権利の種類とその割合(持分)が公示されます。

   同時に、該当の土地登記簿にも敷地権設定の登記がなされて(不動産登記法第44条)土地の移転登記が登記上規制され、それ以後は建物の登記にそれに付随する敷地権が記載され、建物の専有部分の処分に敷地権が随伴するようになります。

  このようにみると、区分所有法における敷地権登記は、区分所有法第22条の定める専有部分と敷地利用権の分離処分禁止という消極的規制を越え、区分建物に土地の敷地権が随伴するという、建物の共用部分が専有部分との一体性を与えられたように土地に対しても同様な建物との一体性を認める、今までの
民法での土地と建物は別であるという扱いとは異なった共有等での土地の積極規制の方向に更に一歩踏み込んでいる感があります。

 ★敷地利用権(土地)だけを売ったとき:原則 相手が分離処分の禁止を知らないとき(善意)は、有効。

        ただし、登記がされていれば、誰が敷地利用権だけを買っても無効。

<参照> 不動産登記法 第44条:「建物の表示に関する登記の登記事項」
第四十四条  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
   一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
   二  家屋番号
   三  建物の種類、構造及び床面積
   四  建物の名称があるときは、その名称
   五  附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
   六  建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
   七  建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
   八  建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
   九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

2  前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める。

<参照> 不動産登記法 第46条:「敷地権である旨の登記」
第四十六条
 登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない


    *建物:1棟の全体表題部に敷地権と表示される。敷地利用権でなく単に敷地権として。
    建物の各専有部分の表題部に敷地権と表示される。
    土地の登記用紙にも、共有(所有権)なら「甲区」に、
                 準共有(地上権、賃借権など)なら「乙区」に登記官の職権で敷地権と登記される。


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(民法第二百五十五条 の適用除外)

第二十四条
1項 第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条 (同法第二百六十四条 において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。
過去出題 マンション管理士 H20年、H19年、H18年、
管理業務主任者 未記入

<参照> 区分所有法 第22条1項:

1項 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。

ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

★まず、民法第255条の規定とは、

<参照> 民法 第255条:「持分の放棄及び共有者の死亡 」:

 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する

民法 第264条:「準共有」:
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

★どうして、敷地利用権が共有や準共有だと民法を適用しないのか?

  それでは、民法に従った場合を考えてみましょう。

  1.建物の専有部分は国の物となる
    区分所有者が、相続人も特別縁故者もいなくて死亡したら、また相続人が相続の放棄をしたら、建物の「専有部分」は個人財産なので、所有者がいない状態となり、国の物になる(民法 第239条2項、第958条の3、第959条)。
  2.土地の権利は、国の物ではなくなる
    しかし、共有関係にある土地の「敷地利用権」は民法 第255条の規定によると、国の物とならず、マンションの他の所有者達の共有になる。

  この結果、専有部分(室)は国が所有者となるが、土地の敷地利用権はマンションの他の共有者へと、建物の専有部分と土地の権利が分離してしまう。

<参照>民法 第239条:無主物の帰属」
所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

2  所有者のない不動産は、国庫に帰属する

 この状況を防ぐために、敷地利用権も建物の専有部分の所有者(特別縁故者または国)の物とさせるやりかたにした。

★趣旨
 第24条は、敷地利用権に民法255条即ち、「共有者が持分を放棄したときや、相続人が無くて死亡の場合、その持分は他の共有者の物になる」が適用されない旨の規定です。

 何度もいいますが、区分所有法の狙いは、建物の権利と土地の権利が一体化されて(=分離されないで)移動することです。

 区分所有法第22条でせっかく建物の専有部分と土地の敷地利用権の分離処分の禁止(一体性)を認めても、相続関係でまた敷地利用権に民法第255条を適用すると建物の専有部分とその敷地利用権たる共有持分の帰属先が異なりその一体性がなくなってしまいます。
従って、第22条1項本文により、専有部分とその敷地利用権の一体性が認められている場合には、民法第255条の相続での適用が無く、その敷地利用権は他の共有者に属さずに専有部分とともに、専有部分の所有者に帰属するというのが第24条の趣旨です。

★しかし、民法第255条が適用されないのは敷地利用権が「数人で有する所有権その他の権利である」場合だけです。
 敷地利用権が共有や準共有に該当するときだけ、第24条の適用となります。
 分有などの単独所有(テラスハウスを思い出してください)では、民法第255条は適用されます。


{設問} 平成18年 マンション管理士試験 問16

区分所有者Aがその所有する301号室に居住していて死亡した場合における同室の帰属等に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aに相続人はいないが、Aと生計を同じくしていた特別縁故者Bがいるときは、Bに当然に帰属する。

答え:間違い。  民法第959条「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する」の規定により相続人の無い財産は国庫に帰属するが、被相続人と特別の縁故にあった者は民法第958条の3「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」により、家庭裁判所の審判によりその全部又は一部を取得することができる。従って、特別縁故者Bはできるであり、当然には帰属しない

2 Aの相続人の生死が明らかでないときは、その遺産について相続財産法人が当然に成立し、相続財産管理人が管理する。

答え:間違い。  民法第951条「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」の規定により、相続財産は法人とされ、その場合民法第952条の規定により管理人が選任されるが、相続人の生死が明らかでないときは、生存を前提に財産の管理が開始される(民法第953条「不在者の財産の管理人に関する規定の準用」参照)ので、当然には相続財産法人は成立しない。

3 Aに相続人はいないが、その遺産全部についての包括受遺者Cがいるときは、Cが当然に承継取得する。

答え:正しい。 包括受遺者は被相続人の一切を受け継ぐ者として相続人と同視でき、包括受遺者が存在する場合は、相続人の有無が不明の場合とはいえない(最判H9.9.12)。包括受遺者は民法第990条「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」ので、民法第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」により、Cが当然に承継取得する。

4 Aに相続人があることが明らかでなく、相続人としての権利を主張する者がないときは、国庫に当然に帰属する。

答え:間違い。 相続人のあることが明らかでないときには、民法第951条以下の規定により相続財産法人の成立、相続人の捜索の公告、相続債権者・受遺者への弁済、特別縁故者への分与を経て、処分されなかった相続財産が国庫に帰属する。相続人の全財産が国庫に帰属するわけではない。

正解:3

ページ終わり

謝辞:Kzさんの了解により一部転用・編集をしています。

最終更新日:
2014年 2月23日:平成25年の出題年を記入。(該当なし)
2013年 7月26日:第22条や「不動産登記法」を大幅に追記。
2013年 3月24日:平成24年の出題年を入
2012年12月21日:不動産登記法に一部「表題登記」と「所有権保存登記」を追記。
2012年 8月19日:第22条の分離処分に古いマンションでの扱いを追記。(附則第8条)
2012年 2月223日:平成23年の出題など確認すみ。
2011年 6月 6日:ちょろちょろと
2011年 5月24日:ちょろちょろと
2011年 1月15日:平成22年の出題記入
2010年6月4日:ちょろちょろと
2010年2月2日:不動産登記法にイラスト入
2009年10月27日:敷地利用権が賃借権での問題を追加
2009年5月23日: 不動産登記法の解説を追加

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