中国との交流を願ってー中国民話の会ー
中国民話の会は、東京都立大学の中国文学研究室で、村松一弥さんのもとで中国の民間文学すなわち口承文芸の勉強をしていた者たちが一九六七年に結成した研究会である。現在でも事務局は都立大においてあるが、六十人ほどの会員には都立大以外の人の方が多くなった。
村松さんは、都立大へ来てまもなく、『少数民族文学集』(平凡社、一九六三年)の編集を担当することになり、それまで出ていた少数民族関係の資料を整理することに着手した。この本には飯倉照平や岩佐氏健も協力している。
やがて村松さんの学生として加藤千代、鈴木健之、西脇隆夫、篠原(現、志村)三喜子らが集まり、当初「民間文学研究会」と名づけられていた会の母胎を形作ることになった。昨年春に愛媛大学に移るまで、終始研究会の推進役であった加藤さんは、一九六九年以後、数回にわたってネパールを訪れ、タカリー族の民話を採集し、整理して刊行するなど、この会としてはめずらしいフィールド派で、その片鱗は本誌の文章からも察していただけたことと思う。鈴木さんと志村さんの出発点は、本誌の文章の主題とおなじく、それぞれ神話と少数民族の文学であった。
一九七二年に出された村松編の『中国の民話』上下二冊(毎日新聞社)は、会員の共同作業がもっとも熱心におこなわれた時期の記念すべき仕事である。これにつづいて、会員である久米旺生の督励のもとで、平凡社の東洋文庫から「中国の口承文芸」シリーズが刊行されはじめ、『義和団民話集』(牧田英二・加藤)、『苗族民話集』(村松ほかの共同翻訳)、『山東民話集』(飯倉・鈴木)、『北京の伝説』(村松ほか)が、一九七三年から七六年にかけて刊行された。この続刊として編訳されたヴィターレの『北京のわらべ唄』(瀬田充子・馬場英子)は、一昨年に、研文出版から上下二冊で出された。
一九七一年からガリ版刷りの『中国民間文学月報』八号と『中国民間文学報』三号が出されているが、一九七四年には中国民話の会と改称され、以後、タイプ印刷で『中国民話の会会報』が一九八五年までに十七号(通巻二十八号)出された。(そのあと経済的事情もあって会報の刊行を見合わせ、『中国民話の会通信』を季刊で七号まで出した)
文化大革命後しばらくして、一九八○年に中国民間文芸研究会(昨年から中国民間文芸家協会と改称した)との実質的な交流がはじまったあたりから、会の活動内容や会員の顔ぶれもだいぶ変ってきた。一九八一年、八二年、それに八四年には、会として雲南、貴州、湖西(湖南省西部)などの少数民族地区へ訪問団を送ることができた。その成果の一端は、飯倉編の論文集『雲南の民族文化』(研文出版、一九八三年)にまとめられた。最近では、個人とか少数有志での交流やほかの団体による調査旅行もさかんになったため、会としての訪問はしばらく止めている。その一方で、中国から日本を訪れる研究者がふえて、その接待に追われるような昨今である。
村松さんの健康状態がすぐれないため、昨年から伊藤清司さんに会長になっていただき、運営委員制で活動を維持している。現在の運営委員は、飯倉、加藤、鈴木、志村、牧田、あだち・がびん、谷野真之、坂巻里代子(会計)らが担当している。大黒柱の加藤さんが四国へ去って一年、いささか息切れしてきた感じだが、会員の根強い支持で何とか持ちこたえている。
研究者あるいは翻訳者の集団として出発した会であったが、中途から中国の未開放地区へ旅行できる窓口ともなったため、中国の、とくに少数民族の民俗や伝承に関心をもつ人たちが多<参加するようになった。今のところ例会のテーマも、中国を訪問した人や長期滞在をしていた人たちの報告、それに訪日した中国の研究者の話を聞くことなどが大半を占めている。さまざまな関心の持ち主が、専門家であるなしにかかわりなく、自由に質問をかわし、話し合う機会をもつことのできるのが、この会のなによりの特長といえるだろう。
その一方で、研究の積み重ねと交流の点では、まだまだ会として努力しなければいけない点があると思う。口承文芸の分野での調査や研究は、たいへん手間のかかるものであるだけに、持続的な仕事をつづけていくことが必要である。中国自体で口承文芸の分野での資料収集がますますさかんになりつつある現在、私たちのとりあげるべき対象はきわめて多岐にわたっている。
飯倉照平
(『民話の手帖』No.35 1988/春より)
民話の会世話人
飯倉照平(元東京都立大学教員・通信担当)
佐々木睦(東京都立大学教員・通信担当)
千野明日香(法政大学教員・会場担当)
鈴木健之(東京学芸大学教員・例会担当)
あだちがびん(民族学写真家・例会担当)
川野明正(東京都立大学教員・例会、発送担当)
木之内誠(東京都立大学教員・会計担当)
【会費】
次の会費を払う者を会員とします。
○会費 1年2000円
【振替】
会費などの入金は、郵便局振替でお願いします。振替番号と加入者名義は、次の通りです。
00190-6-138457 中国民話の会
入会申込は

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2、tel:0426-77-2145
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