ケーの一族
昔々、一度狩にでれば、たくさんの森の獲物を手に入れることができたものだった。その中でも大きなリスがいて、その尾はピアロロンの花のようで、太陽よりも赤かった。
 夜、人々は火の回りに集まると、獲物をみんなでわけてやいて食べた。その日の晩、祭りのように楽しかった。酒甕の酒が互いに交わされ、焼いた肉の香りが漂った。皆騒いだ。男女はふざけあい、老人は若者に昔の話をした。深夜になるほど、皆酩酊し、話しも面白くなり、酒甕の酒はなくならず、肉も十分だった。ある人が言った。「みんな、今晩中に赤いリスを食べなくちゃ。」人々はすぐに立ち上がってリスが入る大きな竹筒を探した。そしてその竹筒を囲炉裏の火にかけた。皆リスの肉が焼けるまでしばし沈黙した。炎は燃え上がり、緑色の竹筒は茶色になった。そしてついに黒くなった。
「できた。」
 男達は皆、口々にそういうと竹筒を囲炉裏から引き上げて割った。
 リスは依然として竹筒の中で前の格好のままで、毛も太陽より赤いままだった。鼻は湿っているし爪はピンク色だった。そして尻尾はというとやはりピアロロンの花のようだった。
「まだ焼けてないぞ!」
アリアイが言った。一人が他の竹筒を取りに行った。アリアイは自らの手で筒にリスをいれ、囲炉裏にかけた。またしばし待ったが今回もリスは全然焼けなかった。それはまだ原形を保ち、ピアロロンの花のようだった。アリアイはリスをつかみ火にかけ薪をくべた。不思議だ。リスはまだもとのままだった。その真っ赤な毛は決して焼けてるようには見えなかった。全ての人々は皆恐怖で震えた。リスの周りに集まって騒いだ。
 これより、この人々はリスを神霊とみなし、射ること、殺し食べることをやめたのだった。このリスの肉を食するのを禁忌とする一族は、ケーの一族である。

Nguyen Thi Hoa ,1987, Truyen Co Ta Oi 民族文化出版社より

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