ヘッター画像




1,盟主銅鼓山神傳


   保極伝を按ずるに云く、盟主昭應靈大王はもともと銅鼓山の神である。その山は安定県丹陀上社にある。
 昔李太宗がまだ太子であった頃、彼は兵を率いて占城を討伐しにいった。長沙に着いてそこで宿営した。夜三更を過ぎて、太子の夢に軍服を身にまとった神が現われ、次のように言った。
  「私は銅鼓山の神です。あなたが南征すると聞きました。是非私も連れていって下さい。戦功を立てたいのです。」
夢の中なのに、その記憶は鮮明だった。
 すでに占城を平定し終えた。王は軍隊を解散して帰京した。臣下に命じて紅河左岸の慈廉地区に祠堂を建てさせた。太祖が崩御し、李太宗が遺言に従い即位した。この夜、神がまた現われ太宗に告げた。
  「お前の三人の弟たち、武徳、翌聖、東征どもが、陰謀を張り巡らしているぞ。」
 翌朝、三王は城内に伏兵し、各門に攻撃を仕掛けてきた。
そこで太宗は武臣黎奉暁に兵を率いて抗戦するように命じた。彼は門を開き剣を抜いてまっすぐ廣福門に向かった。そして東征、武徳に大声で告げた。  
「あなた方は神器を窺い、そしてまた新帝を軽視している。恩を忘れ忠義を捨てるとはどうしたことか。この奉暁がこの剣をもって懲らしめてくれよう。」  
そういうとすぐに武徳王を斬り捨て、一方東征、翌聖は命からがらその場を逃れた。賊は皆遁走した。内乱は収められた。これというのも神の夢の賜物である。霊験あらたかであった。 皇帝は勅命をもって銅鼓山神を天下盟主に封じた。毎年四月四日に、帝は百官を集めて誓った。その誓いは次の通りである。  
『子にして孝を為らず、臣にして不忠を為せば、神が死をもって償わせる。』
 人々は皆おそれおののきあがめた。
 のちに奉暁は内乱の平定に功があったので太宗から褒美を授かった。彼のその忠節と勇敢さは遠く唐代の敬徳をしのぐほどであった。また王を助けて南征し、占城をおおいに破る。その功績は甚だしく、至る所にひびきわたった。このため祠堂を立て、霊験を祈るのである。そして歴代の皇帝は皆、王爵を授けるのである。



   
2,象を得て仙人を求める


       かつてある家に夫婦がいた。夫は漁師をしていたが、妻は働いていなかった。日々ただ座って金持ちになることを夢見ていた。ある日、魚を釣りに行っても何もとれなかった。昼になって空腹を我慢していると突然川の真ん中で大波が立ち、家の屋根のように巨大な魚が飛び出した。魚の背はとても不思議な赤や青に輝いた。彼はそれを見て大慌てで釣りざおを投げ捨て一心不乱に逃げた。 家につきこの話を妻にすると、妻は言った。  
「神の魚よ! 明日行ってもしあったら神の魚に住む家をくれるように頼んで!」
 翌日、彼が川岸ですわって魚を釣っていると、また神の魚が飛び出てきた。妻の言葉を思い出し大声で叫んだ。
 「神の魚よ!とっても貧しいんだ。日差しや雨をしのげる家をくださらないか。」
 神の魚は答えた。
 「わかった。家に帰りなさい。明日にはきっと家があるだろう。」
 翌日、漁師の夫婦が目を覚ますと、自分は壮麗な家に寝ているではないか。満足し非常に喜んだ妻は夫に言った。
 「ねえあなた! 家は手に入ったわ。明日また神の魚に田んぼや畑、それから犁を引くための水牛や牛を頼んで!」
 
  翌日、夫はまた神の魚に田や水牛、牛を頼みに川岸に行った。魚の神はうなずいた。翌朝、漁師の夫婦が起きると、家の裏に縛られた大きな、逞しいつがいの水牛が、家の前には広大な耕地があった。家、田、犁をひく水牛は手に入れた。しかし妻はまだ満足していなかった。彼女はまた夫に言った。  
「私、もうお金持ちになったわ。でもまだ平民であるのは変わりないわ。あなた明日神の魚に官位を頼んで!それから新鮮な果実がとれる果樹園を。そしたら官の家のようにみえるじゃない。」
   翌日、彼はまた妻の言ったことを神の魚に頼んだ。神の魚はうなずき、帰ればきっともてると告げた。
  夜が明け、家は前より三、四倍大きく、そして家の回りにはツヤツヤした、香りのよいたくさんの花が咲いていた。これより、漁師は朝廷の官吏になった。彼の妻は一日中ただ子にわめきちらし、召使いを呼びつけた。しかし彼女が官職で満足したのは一時的だった。  今度また違う欲が湧いてきて、夫に言った。
 「ねえ、あなた。神の魚に王様にしてくれと頼んでみて。あなたは官位に就いてるけど、私はまだ本当に満足してないの。」  
  王になるという話を妻から聞き、夫は非常に気に入った。すぐにぼろぼろの服をきて川岸に行き神の魚に言った。
 「神の魚よ! 私の妻も子も官職に満足してないんです。王で満足するそうです!」
 そう言って王にしてくれと頼んだ。  
神の魚はまたうなずき帰るように告げた。
 翌日、気がつくと夫は金の玉座にいた。その玉座の両側には龍が伺候し、虎が服し、剣、槍がきらめいていた。  
  彼はしばらく王位に就いた。ある日差しの強い日、あまりに暑かったので妻は多くの召使いに扇がせていたが全く涼しくならなかった。頭に来た彼女はまた夫に言った。  
「王になってもまだ天には負けますわ。陛下、明日また神の魚におっしゃって下さいな。陛下に雨を降らせたり、天気をよくする法術を授けて下さいと。そうすれば本当に満足するわ。」  
  その日の午後、彼は轎(かご)に乗って川に行った。しばらくして神の魚が現れた。彼はすぐに言った。  
「神の魚よ!私の妻は王になったのはうれしいけどまだ天気には勝てないから、まだ本当に満足してません。どうか雨を降らせたければ雨を降らせることができる、晴れさせたければ天気をよくすることができる法術を授けて下さい。」
神の魚は答えた。
 「よろしい。家に帰りなさい。明日になればきっと希望がかなうだろう。」  
彼は家に帰りこのことを妻に伝えた。妻はとても喜び言った。  
「これでもう私たちを越えるものはいなくなるわね。」   
 しかし翌朝起きると、二人はもう宮殿にはいなかった。周囲はまたなにもなく、傾きかけたテントと数枚のぼろぼろの服、二三の釣りざおが以前のようにあるだけだった。  
To Van Hoc Dan gian編 2000,"Truyen co cac dan toc Viet Nam 1" nha xuat ban Da Nang




   
3,竃神(要約)


    
ベトナム国家大学ホーチミンシティ校人文社会科学大学教授の語る話!



    越南の家庭には、祖先崇拝のほかにTho Cong(土公)信仰がある。Tho Congは土の女神の一形態である。そして守護、財産の神であり、家庭を邪神から守り、降りかかる禍福を左右するのである。どこで生活していても土公はそこにいるのである。  Tho Cong(土公)は夫婦でワンセットである。伝承は次の通りである。

 昔一組の夫婦がいた。その夫婦の暮らし向きは良くはなかった。 その家の妻は家を飛びだし金持ちの男と結婚した。
ある日、飯をくれと家にやって来た男がいた。妻が白米を持ってきて与えたとき、彼女は昔の自分の夫だと気づいた。 昼近く、夫が帰ってきたらわかるに違いないと思った妻は旧夫にワラ束の中に隠れてくれと頼んだ。
夫は戻ると畑にやる肥料がないので台所に来て灰をつくろうと、ワラを焼いた。
旧夫がワラの中で死んだのを見て、とても哀れに思い妻は火に飛び込みまた死んでしまった。
夫はそれを見て、何もわからなかったが、妻を哀れみ自分もまた火に入り死んでしまった。
天は三人の情義をみて、3人全員を竃神にした。
そのなかで、新夫は土公でその仕事は竃の番であり、旧夫は土地で仕事は家の見張りであり、妻は食事を作る仕事である。 土公は土の神であると同時に竈神である。
というのもヴェトナム人にとって農業は定住生活であり、土・家・竃、そして女性は同一であり、全て同じように重要なものなのである。


ヘッター画像

Ads by TOK2