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亀の若者

 昔ある村に十人の娘を持つ夫婦がいた。母は早く死に、父がただ一人残された。 毎日、父は川岸で魚を釣り子を育てた。月日が経ち、子供たちは皆立派に成長した。
 ある日、父は簗を仕掛けたが、何も獲れなかった。 というのも、簗を仕掛けるため彼が覆った土手はすき間があったので、魚はそのすき間を通って逃げてしまったのだった。 彼は彼に悪意を持つ奴がいると疑った。それで様子をうかがうことにした。 彼は川岸のこんもりとした繁みに隠れ、森の中で鶏が鳴くまで待ち続けたが誰も現れなかった。  帰ろうとしたとき、突然上流から笛の音が聞こえてきた。笛の音はだんだん近づいてきた。 彼は今度こそ自分の邪魔をした奴を捕まえることができると確信した。しかしその笛を吹く主を見たとき彼はあぜんとした。 というのもそれは人間ではなく亀だったからである。彼は声をかけた。

 「そこの亀さん! 僕が簗をおけるようにそこの岸のすき間を直してくれよ。魚が逃げないようにさ。 君が好きなものをあげるからさ。」
 「いいよ。直してあげる。でも僕に一体何をくれるの?」
 「鍋はどう?」
 「だめさ!」
 「じゃあ、酒甕は?」
 「だめだよ!」
 「じゃあ、娘一人でどうだい?」
 「わかった!」

 すき間に土を詰め終えると、亀は父について家に帰った。集会場に着くと二人はそこで村人たちとお供えをし、酒を飲んだ。 その間、父の娘達が順番にやってきては父を食事に呼んだ。その度に、亀と結婚してくれるかどうか尋ねた。 彼女達は皆亀を小馬鹿にし、拒絶した。父は悲しくなって食事には行かなかった。 末娘に尋ねると、亀の妻になることを承諾した。
 のちに娘達は次々と夫を娶ったが、亀夫婦をいまだに軽べつしていた。 彼女達は知らなかった。妻と一緒に暮らしはじめた最初の夜から、亀は極めて賢そうな若者に変身したのである。 最初の数日、末娘は彼が自分の夫とは信じなかった。彼女は一定の距離以上自分に近づかないでくれと頼んだ。
 そんな状態で五日目の夜を迎えた。彼女はやっとその若者がまさに亀の化身であると信じた。 亀が人間に変身するたび、末娘の部屋が光輪のごとく輝いたので、姉達は火事と思って大声をあげ助けを求めた。 ある日、父は病に倒れた。彼は娘夫婦皆を呼んで告げた。

 「儂は魚の脳を食いたい。儂を大事に思ってくれるなら、探して儂に食わせておくれ。そうすれば死んでも満足じゃ。#

 それで数人の婿達は四方八方に行き水面を探した。一方、亀は魔法を使い魚全てを呼ぶとやってきて尋ねた。 彼は魚を一匹捕まえ、あるいは同類と不和を引き起こし殺し、脳を取り小さな葉に包んで持って帰った。 彼は村人に次のように告げた。魚の脳を入れるのでたくさんの菅笠をひっくり返してくれと。 村人はただの亀だと思っていたので信じなかった。妻はすぐに菅笠を取って高床の至る所に並べた。 いくつかの菅笠を並べたが、魚の脳を入れるには足りなかった。父は飽きるほど魚の脳を食べ、病を克服した。 父があまりにもずっと亀を褒めるので婿達は亀を嫉んだ。
 父はまた子供たちに告げた。誰が一番水牛を太らせることができるかという競争だった。今度も亀が勝利した。兄姉たちは非常に怒り、呼びつけてまた挑戦した。今度は父は誰が一番美しい家を建てられるか競争させた。亀がまた勝利した。 
 この勝利の後、亀はラオスに商売をしに行くことになった。その時、妻は妊娠していた。 出発する前、亀は自分の妻が苦労しないよう、姉達からものを借りることがないように薪、米、籾、塩のような必需品を準備した。 さらに亀は妻にお守りとして、三つの物を渡した。それは卵と刀と椰子の実である。そして次のように言った。

「お前がどこに行くときでも、食べるときも寝るときも、この三つのものを自分のそばに置いておきなさい。産まれる前には戻ってくるから。」
 そう言うと彼は出ていった。
 彼が留守の間、姉達は妹を殺してしまおうと考えた。彼女達は一緒に末っ子を誘った。

 「私たちと一緒に薪拾いに行きましょう。」

 「薪はまだあるから。」

妹はそう答えた。
 姉達はまた塩を買いに行こうと誘った。妹はまた答えた。「塩もまだあるわ。」

 姉達はさらに妹をシーソー遊びに誘った。彼女はまだシーソーで遊んだことなどなかった。それで姉達についていった。 彼女がシーソーをこいでいる最中に姉達が下でシーソーを切って折ってしまった。彼女はひっくり返り即死した。 姉達は渕に遺体を運び魚に食わせてしまおうと川に投げ込んだ。これ以後、姉達はただ亀の帰るのを待ちわびた。そして自分を妻にしてもらうつもりだった。

 しかし妹は魚の腹の中で生き返り、そこで子供を産んだ。ある日、魚は満腹して砂浜で横になって日差しの中で体を乾かしていた。 妹は刀を取り出し、魚の腹を割いて身をかがめて脱出した。持っていた卵から孵ったばかりの雄鶏も続いた。 彼女は一番乾燥した高い場所を探し出し、椰子の実を植えた。瞬く間に椰子の実は芽を出して高く大きな椰子の木になった。 子供を小脇に抱えた彼女と鶏はその先に上った。椰子の木はどんどん高くなった。木の先で、彼女はラオスまで見渡した。 彼女はすぐに雄鶏に亀が帰ってくるよう呼ばせた。雄鶏の声を聞き、亀はすぐに帰路についた。
 帰り道で大雨が降り、風が激しく吹いてきたので、彼は椰子の木の下に避難した。すると光が差し、雨は止んだ。 しかし彼が進もうとするとまた大雨が降るので、仕方なく椰子の木の根元で雨を避けた。 亀が空腹であると口を滑らすと、高いところの椰子の木の先の食事が落ちてきて、咽が渇いたといえば椰子の実が落ちてきた。 彼が上を見ると、その上に自分の妻子がいるではないか。妻は子を抱き滑り降りた。 妻の話を一部始終聞き、彼は姉達を懲罰しなければならないと決心した。 妻と子を自分の背嚢の中に入れ、故郷に帰った。亀は子供に針を渡し言った。

 「もし背嚢を覗くものがいたら、この針でその目を刺しなさい。」

 家に帰りつくと、数人の姉達は亀が重そうな背嚢を持ってきたのを見て、珍しいものがたくさん入っているんだろうと思い、はしゃいで彼を迎えた。姉達が背嚢の中をのぞくと、すぐに子供に目を刺された。 ある者は犬に、ある者は猫になって亀夫婦のために家を守った。 彼は水牛を殺して村人を宴会に招待した。彼は村人を諭した。それで一緒に仲良く暮らした。これより、彼を村人は非常に尊敬した。
 
>To Van Hoc Dan gian編 2000,"Truyen co cac dan toc Viet Nam 2" nha xuat ban Da Nang

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