双子の星

宮沢賢治

双子の星 一

 天(あま)の川(がわ)の西の岸にすぎなの胞子(ほうし)ほどの小さな星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住んでいる小さな水精(すいしょう)のお宮です。
 このすきとおる二つのお宮は、まっすぐに向い合っています。夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座(すわ)り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛(ぎんてき)を吹(ふ)くのです。それがこの双子のお星様の役目でした。
 ある朝、お日様がカツカツカツと厳(おごそ)かにお身体(からだ)をゆすぶって、東から昇(のぼ)っておいでになった時、チュンセ童子は銀笛を下に置いてポウセ童子に申しました。
「ポウセさん。もういいでしょう。お日様もお昇りになったし、雲もまっ白に光っています。今日は西の野原の泉へ行きませんか。」


底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
   1989(平成元)年6月15日発行
   1994(平成6)年6月5日13刷
入力:野口英司
ファイル作成:野口英司
1997年10月28日公開
2003年6月1日修正
青空文庫作成ファイル:
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朗読

朗読サークル めだか

清藤陽子

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双子の星

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