浦島太郎

 むかし、むかし、丹後(たんご)の国水(みず)の江(え)の浦(うら)に、浦島太郎というりょうしがありました。
 浦島太郎は、毎日つりざおをかついでは海へ出かけて、たい[#「たい」に傍点]や、かつお[#「かつお」に傍点]などのおさかなをつって、おとうさんおかあさんをやしなっていました。
 ある日、浦島はいつものとおり海へ出て、一日おさかなをつって、帰ってきました。途中(とちゅう)、子どもが五、六人往来(おうらい)にあつまって、がやがやいっていました。何(なに)かとおもって浦島がのぞいてみると、小さいかめの子を一ぴきつかまえて、棒(ぼう)でつついたり、石でたたいたり、さんざんにいじめているのです。浦島は見かねて、
「まあ、そんなかわいそうなことをするものではない。いい子だから」
と、とめましたが、子どもたちはきき入れようともしないで、
「なんだい。なんだい、かまうもんかい」
といいながら、またかめの子を、あおむけにひっくりかえして、足でけったり、砂(すな)のなかにうずめたりしました。浦島はますますかわいそうにおもって、
「じゃあ、おじさんがおあし[#「おあし」に傍点]をあげるから、そのかめの子を売っておくれ」
といいますと、こどもたちは、
「うんうん、おあし[#「おあし」に傍点]をくれるならやってもいい」
といって、手を出しました。そこで浦島はおあし[#「おあし」に傍点]をやってかめの子をもらいうけました。


                                                                  楠山正雄 浦島太郎
                                                             読みの底本;  青空文庫ファイルより

                                                       (青空文庫の作成記録)
                                                      底本「むかし むかし あるところに」童話屋
                                                                            1996年6月24日初版発行
                                                                    1996年7月10日第二刷発行
                                                     底本の親本「日本童話宝玉集(上中下版)」童話春秋社
                                    
                                                                 入力;鈴木厚司
                                                                 校正;林幸雄
                                                             ファイル制作;野口英司
                                                                              2001年12月19日公開
                                                                              2002年 1月24日修正 
         

                                                朗読 ;籾山久雄(音の図書室 音訳ボランティア)2002,4,15

   

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